表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第2部 真の敵の淵源
105/683

第1話 新国家1(キャラ名版)

 通常大陸の主要都市、大都会カルーティアス。同都市により、シュリーベル・デハラード・リューヴィスがその支配下となった。しかし、実際の所は態と明け渡したに過ぎないが、王城の方は相手を屈服させたと公言している。街並みは一変し、恐ろしいまでに寂れる事となる。


 今後、大都会の住人が移住を希望してくるなら、それに応じるべきである。しかし、今現在は下手に動けば、こちらへの加担と題した、要らぬ罪を押し付けられる可能性もある。非常に重苦しいが、3大都市の移住を最優先として実行させて貰った。


 それに、皮肉な話だが、灯台下暗し的な感じで居座れば、大都会こそ安全そのものである。それすらも出来なくなった時こそ、彼らに助け船を差し伸べるべきだ。一時的に見殺し的な行動を取ってしまったため、何かあった場合は必ず助けると誓った。


 しかし、その彼らが私利私欲に走り出すなら、手を差し伸べる必要はない。そこは明確に割り切らねばならない。まあ、王城側が馬鹿な真似をしなければ、新大陸への移住などを実行する事もなかったのだがな。本当に救い様がないカス共だわ。




 通常大陸から新大陸に移動し、新シュリーベルと題した港町へと到着した。ギガンテス一族はミュティナ達の超怪力により、レプリカ大和を寄港できる程の港も作られている。また、海岸線は全て断崖絶壁に覆われているため、実質的に新大陸への出入りは新シュリーベルを通してしか入れない。


 交易的にはかなり不利な立地ではあるが、その自然の様相が驚異的な防御力を誇る大島へと至っている。今はまだ不毛の土地だが、難攻不落の大島であるのは間違いない。


 自然と性転換状態が解けて男性へと戻る。それはいいのだが、目の前には初めて会う人物がいる。イザリアが姉、大魔王ことイザデラである。傍らには妹の魔女ことイザネアがいる。死んだとされていた、オルドラの義理の娘だ。


ミスターT「お初にお目に掛かります。俺はミスターT。」

イザデラ「大魔王・・・いえ、デュネセア一族はイザデラと申します。それに畏まらないで下さい。貴方様の事は妹から何度も伺っております。それに、我らが女王デュヴィジェ様の小父様との事で。」

イザネア「イザネアと申します。姉が大変お世話になりました。本当にありがとうございます。」


 超が付くぐらいの淑女そのものだ。イザリア自身も相当な淑女だったが、それを凌駕する様は見事である。その彼女達が、悪役の魔王・大魔王・魔女を担っている現状、何だか複雑な気分になってくるわ。


イザリア「・・・姉と妹を好奇な目で見ている感じですか。」

ミスターT「お前さんを含めて淑女だろうに・・・。」


 見事なまでの茶化しが入る。それを伺った周りの女性陣から、凄まじいまでの殺気に満ちた目線で睨まれる。特に酷いのが、リューヴィスの女性陣だ。この上ない程の殺気に満ちた目線は恐ろし過ぎる・・・。


ミツキ「でも、3人ともデュネセア一族の家系わぅね。どこからどう見ても、人間そのものにしか見えないわぅけど。」

ミスターT「ああ、そうだな・・・。」


 ボソッと語るミツキの言葉に、自然と頷いた。そう、自然である。


 無意識にイザデラとイザネアを呼び寄せる。近付いて来た両者を、ソッと胸の中に収めた。そのまま、優しく頭を撫でる。すると、こちらの心中を察したのか、徐に涙を流しだした。その涙に込められた一念は、異世界惑星での戦いの全てを物語っている。


 俺の行動を見た周りの女性陣は、静かに見守ってくれている。特に先程の殺気が凄かったリューヴィスの女性陣が顕著で、その目線は自愛に満ちたものだった。


デュヴィジェ「・・・小父様のその無意識から繰り出される一念、本当に感謝するしかありません。その子達の境遇は、私達の中で一番苦痛に満ちた生き方でしたから。」

ヘシュナ「自ら悪役を買って出てまで、異世界惑星の平穏を得る戦いを貫いた。私では途中で折れたかも知れません。本当に素晴らしいです。」


 何時の間にか、傍らにデュヴィジェとヘシュナがいた。転送移動により現れたのだろう。その2人が胸の中の姉妹を優しく労っている。


ミツキ「宇宙種族が、人間が、そんな種族の概念など一切度外視で、己が定めた使命を全うする。なかなか出来る事ではありませんよね。」

デュヴィジェ「何を仰いますか。ミツキ様のその笑いの一撃に、私達がどれだけ救われているか計り知れません。確かに真面目会話が途切れる時もありますが、全てにおいて適切に放つその一撃は、本当に感嘆するしかありませんし。」

ナツミA「それを無意識レベルでやってのけるからねぇ・・・。」

ヘシュナ「フフッ、お2方の絶妙なコンビネーションが炸裂ですよね。」


 本当にそう思う。ミツキとナツミAのボケとツッコミは、時と場合によっては不真面目さを醸し出す。しかし、総合的に考えると、適材適所的に放たれる一撃なのだ。ムードメーカーの極地とも言えるだろう。それを無意識レベル、超自然的に行うのだから、実に恐ろしいわ。


デュヴィジェ「小父様、皆様方、この子達をよろしくお願いします。」

ヘシュナ「私も小母として、同じくよろしくお願い致します。」

ミスターT「ああ、委細承知。」


 深々と頭を下げる2人。そのまま転送移動により去って行った。突然現れて激励をするも、直ぐに去って行く様相には、周りの面々は呆気に取られている。潔いと言うのか何と言うか。


ミツキ「うーむ、嵐のペアわぅ。」

ナツミA「貴方もその心意気を汲んでいたし、五分五分かしらね。」

ミツキ「裏方家業は辛いものなのさベイビー♪」


 何ともまあ。即座にボケとツッコミが繰り出される様相に、自然と笑ってしまった。見事なまでの一撃である。これを狙ってやっていたとしたら、超絶的な策士だろうな。


イザリア「・・・小父様、色々とありがとうございます。」

ミスターT「はぁ・・・魔王から小父と言われるのはな・・・。」

ミツキ「“怖じ怖じ”してたらダメわぅね!」

ナツミA「“怖”気付いてもダメよね。」

ミスターT「はぁ・・・そうですか・・・。」


 何処までもボケとツッコミが繰り広げられる。最後のは両方ともボケだったが、嫌味な程に当てはまる感じのものである。それに周りの面々は爆笑しだしていた。何ともまあ・・・。


 和気藹々となるこの場。胸の中にいるイザデラとイザネアの、両者の胸中の痛みが和らいだのを感じた。数万年以上生きてきた事を踏まえれば、宇宙種族の生き様は筆舌し尽くし難い。それでも、それを貫く姿勢は、彼らの持って生まれた使命そのものだ。


 その彼らの剣盾になれる事に、心から感謝したい・・・。




ミスターT「そう言えば、ここに新国家を作るとか言っていたが。」

ラフィナ「ああ、王城への言わば宣戦布告そのものですね。」


 幼子の面倒を見つつ、雑用を行う俺達。主力陣は宇宙種族チーム同伴の元、新大陸の探索に向かって行った。今も野生の魔物がいるため、万全の体制での進軍である。


エリシェ「ここの規模が、通常大陸と同程度の広大さ。しかも、周辺を断崖絶壁で守られている。難攻不落の国家としては上出来かと思います。まあ、交易に関しては、新シュリーベルしかないのが痛いですが。」

イザリア「アルドディーレの方々もお誘いしてみてはどうでしょうか?」

ラフィナ「それも考えたのですが、魔大陸と板挟みになっているのと、海賊群の問題を踏まえると、現地から動けないのですよ。」

エリシェ「下手に動いたら、通常大陸全土を王城に支配されるでしょうし。」


 メカドッグ嬢達偵察部隊の情報を元に、通常大陸と魔大陸、そして新大陸の全体地図を作成してあった。それを目の前の机に広げ、思索を繰り広げる3人。


イザリア「魔大陸の方も、新大陸と同じく断崖絶壁で守られている島になります。それに野生の魔物も数多く生息しているので、迂闊には近付けないと思いますよ。」

ミスターT「海賊共も、海からの侵攻は厳しそうだしな。」

ラフィナ「あんな木造船では、手数を揃えても何も出来ませんよ。」


 吐き捨てるように言うラフィナ。ヲタク気質を持ちながらも、やり手の総帥補佐を担う故に、戦術・戦略共に隙がない動きを見せる。それは同じ総帥のエリシェもしかり。


イザリア「あの愚物共はどうしてますかね。」

ミスターT「ああ、偽勇者共と偽魔王か。暗躍中のシルフィアさんとスミエさんからの情報だと、目立った動きはないみたいよ。」


 胸の中で寝てしまっている幼子2人を抱きつつ、偽軍団がどう動くかを考えてみる。まあ、行き着く先はラスボス扱いになるのは明白だろう。


 偽軍団と位置付けたが、実際には結構な腕前を持つ存在だ。特に魔王カースデビルは、魔王と言うだけあり、上辺では本家の魔王イザリアと同等の力を持っていた。ただ、彼女が本気を出した場合、瞬殺する恐れがあるが・・・。


 それ以外にも、伯爵共や制服共など、数多くの愚者がいる。アレで終わるとは到底思えないため、何れ必ず侵攻して来る。問題は、どんな手法を取ってくるか、だ。


ミスターT「喫緊の問題は3つ。アルドディーレの防衛、王城共の動向、新大陸の様相だ。」

イザリア「特に、旧デハラードの宇宙船が問題と。」

ラフィナ「魔力や魔法、この場合は魔術ですか、それらで宇宙船を動かす事が怖いですよね。」

イザリア「十分有り得ます。本来なら、善悪判断センサーが働くのですが、魔力自体はニュートラルの位置付けになるので、下手をしたら動かされる恐れがありますし。」


 何時の間にか、3人にも抱き付く幼子達。そのまま、眠り出してしまう。遠巻きに見ていた母親達がアタフタしているが、気にするなと目配せをした。


カネッド「・・・何処からどう見ても、父親と母親ですよね。」

ダリネム「特にミスターTさんが抱かれるお子さんが、一番安堵の表情を浮かべてますし。」

ミスターT「ばあさまが言ってたわ。俺が孤児院にいた頃、こうして幼子をあやして眠らせていたとの事だ。航空機事変で忘れちまったが、生命には刻まれているみたいだの。」

アクリス「お子様方は素体を見抜いて来られます。貴方の優しさが伝わっている証拠ですよ。」

ミスターT「変態気質の変人には、荷が重いわな。」


 似合わない姿だとボヤくと、小さく笑う女性陣。それでも、この子達が笑顔でいられる場を作る事が、警護者たる俺の使命であろう。より一層奮起せねばな。


 一種の託児所的な感じになるも、そのまま作戦会議を続ける。むしろ、俺達が幼子を引き受けているため、リューヴィスの女性陣は他の行動ができてもいる。大所帯で大移動して来たため、言わばここが家そのものになっていた。


 だが、どの面々も苦悩の表情は浮かべていない。現状は王城の柵から解放され、自由を得た事になる。これはリューヴィスの住人全てではなく、デハラードとシュリーベルの住人全てが該当する。知らずのうちに、王城からの圧力が迫っていた証拠だ。


 以前挙げた通り、大都会に住まう方々は安全ではある。台風の目的な感じで、悪の巣窟ほど安全な場所もない。実に皮肉な話だ。一番危険とされるのは、造船都市アルドディーレになるだろう。まあ、現地は結構な防備があるため、直ぐには陥落する事はない。


 それに、ウインド・ダークHに、ヘシュナ・ナセリス・ミツキTといった布陣が駐留中だ。メカドッグ嬢達も200人ほど駐留してくれている。更に沖合いには、デュヴィジェが指揮するレプリカ伊400も待機中だ。現地は問題ないだろう。


    第1話・2へ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ