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覆面の探索者 ~己が生き様を貫く者~  作者: バガボンド
第1部 異世界の旅路
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第13話 新天地へ4(キャラ名版)

 大都会での大乱闘後、準備を整えてシュリーベル南東の桟橋へと向かった。3大都市は蛻の殻状態になったため、大都会の住人が殺到しだしているという。意識が全てそちらにいっているようで、俺達の行動には一切関知して来ない。


 むしろ、困った事があったのはその道中だ。大都会を中心に巨大都市を構築したためか、それ以外では野生の魔物が蔓延りだしたのだ。ゴブリンなどが顕著だが、数が多くなりだしているようである。


 当然、道中に待ち構える連中は、全て撃退して回っている。特に女性陣にとっては、これらゴブリン共は天敵とも言える存在だ。片っ端から叩き潰しているのが何とも言えない。



 そして、シュリーベル南東の桟橋に差し掛かった頃、そこでもゴブリン共と一戦繰り広げる面々がいた。ナツミAを筆頭に、ミツキやトラガンチーム、そしてリューヴィス女傑陣だ。


ナツミA「そろそろ来られる頃だと思ってましたよ。」


 近場のゴブリンに飛び蹴りを放ち、後続の女性陣に任せるナツミA。そこに攻め入って来る他のゴブリンに、ミツキのジャンプ叩き付け攻撃が炸裂していた。


ミツキ「おりょ? 四天王がいるわぅ!」

ウエスト「あー・・・。」

ナツミA「何? 何か文句ある?」

ナッツ「い・・いえ・・・滅相もない・・・。」


 戦闘中とあり、興奮気味の彼女の目線は、恐ろしいぐらいにまでギラ付いている。それを見た四天王は、恐怖に震え上がっている。存在そのもので恐怖させるというものだろう。俺には叱咤激励の目線にしか見えないのだが・・・。


エリシェ「何ですか、ナツミA様の視線を叱咤激励にしてしまうとは。」

ミスT「はぁ・・・心中読みはやめれ・・・。」

ラフィナ「フフッ、女性を甘く見てはいけませんよ。」


 マデュース改を持つエリシェに、ガトリングガン改を持つラフィナ。女性陣の援護を行っているようだが、その様相は怖ろしい事この上ない。放たれる弾丸は驚異的な致死性を帯びるため、それを感じ取ったゴブリン共は近付けないでいる。


 むしろ驚いたのは、リューヴィス女傑陣だ。男性への恐怖心は今も健在なのだが、四天王を見ても驚いた様子を見せない。仕舞いには共闘すらしだしている。どうやら、トラガンチームの女性陣とのコミュニケーションが、彼女達に安心感を与えているのだろう。


 今まで、リューヴィス女傑陣に四天王の事をどう言うか悩んでいたため、その和気藹々とする様に脱力感が凄まじい。取り越し苦労とはこの事だわ・・・。


サラ「実は、ナツミAさんが四天王の事を前もってお話していまして。」

ミスT「ああ・・・そう言う事だったのか。」

セラ「普通なら直ぐに信用できるものではありませんが、トラガンの皆さんからもフォローがあった感じで。」

ミスT「俺の場合はまあ、いきなり変身したからな・・・。」


 落ち込み様が酷かったのか、サラとセラが訳を話しつつ慰めてくれた。確かに、事前に彼女達からのフォローがあれば、初対面の四天王に対しては一定の心構えはあるだろう。俺の場合だと、まだその心構え度すらない時だったからか、あの様な感じになったのだと思われる。


ミスT「まあ何だ、後は新天地に赴くだけだな。殿は任せてくれ。」

エリシェ「私もお供致しますです。」

ラフィナ「重火器の出番ですよ。」


 言うか否か、自前の重火器を射撃していく2人。今までは援護射撃程度だったが、本格的な狙撃へと回っている。それを見たトラガンチームが、リューヴィス女傑陣に撤退を促した。


 俺も封印状態だった武装を解放する事にした。トリプルマデュース改の20mm機関砲での射撃を開始したのだ。今までは弾薬の問題で、一切射撃は行わなかった。だが、後方支援により弾薬が手に入るため、思う存分射撃ができるようになっている。


 人工腕部3本が持つマデュース改が織り成す、致死性の弾丸の嵐。その様相はエリシェとラフィナをも超えるもので、それを見たゴブリン共は恐怖に駆られて逃げ惑いだしている。


 当然、連中を生かしておけば要らぬ火種となるのは言うまでもない。容赦ない一撃で葬る必要がある。そう、無慈悲なほどの容赦ない一撃だ。放たれる弾丸のどれもがゴブリン共を瞬殺していく。


ミスT「はぁ・・・ついに重火器の投入か、パワーバランスが崩れた瞬間だな・・・。」

エリシェ「まあまあ。この程度は全く問題ありません。私達は魔法が使えない手前、重火器での相殺が必要になりますし。」

ラフィナ「鉄の弾丸を火薬という魔力薬を使い、重火器という魔法武器で放つ、これですよ。」

ミスT「はぁ・・・そうですか・・・。」


 茶化しつつも、その行動はエゲツナイほどの様相だ。華奢な2人が持つには不可能とされる超重量火器兵器だが、それを難なく操る姿は脅威の何ものでもない。だが、そこに最強の力を持つ存在としてダブらせるからか、何処か優越感が出てくるのが何とも言えない。


 俺達が弾丸の嵐を繰り広げている間に、女性陣が桟橋から小型船舶に乗り込みを終えた。そのままレプリカ大和へと向かって行く。結構な人数がいたため、小型船舶2隻分の移動手段となるようだ。



ナツミA「お3方、そろそろ撤収準備を。」

ミツキ「チェックメイドだぎゃー!」


 近場のゴブリンに弾丸が撃ち込まれる。その射線軸上を見ると、2隻目の船首でスナイパーライフルによる狙撃を繰り広げるナツミAとミツキ。同船も完全バランス機構を有しているため、船体が揺れる事は皆無だ。それ故の精密射撃である。


 殿の攻撃を止めて、桟橋より小型船舶に乗り込む。その際もゴブリン共の襲来が後を絶たない状態だ。話によると、ここへの襲撃はほぼ毎日行われていたようである。どういった経緯で襲来していたかは不明だが、敵には変わりない。つまり、殺害しても全く問題はない。


 小型船舶が発進する際も、ナツミAとミツキの援護射撃は続く。同船にいるトラガンチームの女性陣も、重火器による援護射撃を行ってくれていた。肉弾戦も重火器戦も、何でも可能な万能女傑達である。



 桟橋から100mほど離れた所で、ゴブリン共の追撃は終わった。連中は泳ぐ事ができないようで、これ以上の追撃はないとの事だ。マーマンとか出た場合はどうするのかと思うが、この世界の海の生物は強い個体はいないらしい。


 まあ、仮にいたとしても、バリアとシールドの防御機構がある手前、どの攻撃も全て無効化されるのがオチだが。本当に万能の防御機構である。




ルビナ「お帰りなさい。」

ミスT「ああ、ただいま。今までありがとな。」


 小型船舶からレプリカ大和へと乗り込むと、甲板にてルビナに出迎えられた。エリシェとラフィナが支援攻撃に出向いたため、同艦の指揮を取っていたとの事だ。帽子こそ被ってないのだが、十分艦長の風格を醸し出している。


ミスT「そう言えば、新天地への距離はどのぐらいなんだ?」

ルビナ「大凡50kmですね。そこそこ長旅になるので、到着までお待ち下さいな。」

ミスT「50kmか・・・。」


 通常大陸から離脱したレプリカ大和。甲板から現地を見ながら一服をする。結構な距離だと思いつつ、色々な思いが脳裏を過ぎった。


 先程まで交戦を繰り広げていた場所から、北西に進んだ所に召喚された。あれから数ヶ月が経過している。あっと言う間の出来事のようだ。


 最初はソロ行動かと思ったが、早々に妹達10人と出逢う。後に先発隊として、ミツキTが精神体で到来した。その後は今までの流れとなる。こちらに来る事は厳しいとされながらも、今では身内の大多数や巨大兵装すらも運べるようになっている。


 異世界惑星のパワーバランスを崩しかねない俺達だが、助けを求める声があるのなら、如何なる手段を投じようが手を差し伸べるべきだ。それが警護者の生き様である。


エリシェ「マスター、まだ安心はできませんよ。新天地に赴けば、今度は現地での生活の確保が最大の課題となります。3大都市の大多数の方々が到来されていますし。」

ミスT「新天地の規模はどのぐらいなんだ?」

ラフィナ「通常大陸と同程度の規模ですね。ただ、未踏査状態であるため、まだ何があるか全く以て不明です。ミュティナ様方が探索に乗り出してくれていますが、私達も続いた方が良いと思いますよ。」


 先の海賊船事変時でも分かったが、既に現地ではミュティナ達が激闘を繰り広げてくれている。シュリーベル先発隊の面々と共に、周辺の探索と生活圏の確保に乗り出していた。


ミスT「未踏査地区調査、か。」

ミツキ「ヴィク・・・むぐっ?!」

ナツミA「はいはい、“面倒は嫌いなんだ”、なのでしょう。」

ミスT「はぁ・・・。」


 久方振りに聞いた、ミツキとナツミAによるボケとツッコミ。それを見た周りの面々は、呆気に取られるも小さく笑っている。毎度の事のようだが、これが言わば癒しの一撃である。


ナツミA「まあでも、マスターが懸念されるのは、3大都市の移住を行った後の、要らぬイザコザがでないか、でしょうけど。」

ミツキ「オルドラさんも懸念してましたよ。幾ら団結力があったとしても、そこから出る個々人のエゴなどは避けられないとも。」

ミスT「・・・人は、歴史とは、繰り返されるもの、か。」


 甲板上ではしゃぐ幼子達を見つつ、小さくボヤいた。この子達の様に、純粋無垢に過ごす事ができるのなら、要らぬ争いなど消え失せるのだが、これも人間の業病たるものだろうな。


ラフィナ「そこで、私的に考えたプランは、魔王イザリア様を主とした新国家の樹立です。」

ミスT「・・・お前さんはそれで良いのか?」

イザリア「はい。私達宇宙種族の概念は、全ての生命の安穏を勝ち取る事です。それに一役買えるのなら、喜んで担わせて頂きます。」

エリシェ「現地ではイザデラ様とイザネア様が指揮を取っていらっしゃいますよ。」

ミスT「・・・オルドラさんの義理の娘イザネアさんと、大魔王イザデラさんか・・・。」


 何ともまあ・・・。俺がリューヴィスなどで行動をしている最中に、既に裏の方で色々と行動をしていたようだ。イザリアの姉イザデラと妹イザネアを召喚していたとは。


イザリア「私達の寿命からして、長期政権になるのは間違いありません。ですが、今の世上に憎まれようが、後の世上が住み易い場になるのなら、悪役だろうが憎まれ役だろうが何でも担う覚悟ですよ。」

ミスT「はぁ・・・魔王が聖王に化けた瞬間だわな・・・。」


 デュネセア一族の姉妹、イザリア・イザデラ・イザネア。異世界惑星での魔王・大魔王・魔女として君臨していた3人が、次の役割は聖王・大聖王・聖女という感じになる、だな。人は何処でどう化けるか分からないものだわ。


ミスT「まあ、お前さん達が決めたのなら、その生き様を貫き続けるといい。俺は、お前さん達に降り掛かる災厄を、全て払い除ける剣盾となろう。それに、次は国家間抗争になるしな。」


 再び通常大陸を向きつつ、吐き捨てるようにボヤいた。通常大陸が王城の支配で固まるのであれば、次は他の大陸への進出となるだろう。海賊共と結託したのが良い例だわ。それに、デハラードの地下に眠る、宇宙船がカギとなるだろう。


ミスT「イザリアさんや、デハラード以外に眠る宇宙船は何処にある?」

イザリア「魔大陸に1隻と、新大陸に1隻です。」

ミスT「はぁ・・・嫌な分布だなこりゃ・・・。」


 彼女の発言をして、予想はしていたが、嫌な流れになりそうな気がしてならない。


 デハラードの宇宙船は大都会の目と鼻の先にあるが、運用方法が分からない現状、それが脅威となるのは先になる。魔大陸の宇宙船と、新大陸の宇宙船も同じだろう。むしろ、3隻の所有者となる姉妹の力があれば、直ぐに稼動は可能と思える。


 今後考えられるのは、魔力や魔法による宇宙船の強制的な稼動だろう。デハラードの宇宙船が真っ先に使われると思われる。その次が魔大陸だ。新大陸の方は、俺達がいるという事を踏まえて、最後になるのは間違いない。


 規模の面もヘシュナの戦闘宇宙船と同等らしく、直径20kmを超える巨大な宇宙船だ。大都会の直径が10kmなので、丁度同都市を覆い尽くす規模である。火力も相当なもので、顕著なのがレールガンだろう。エネルギータイプの場合は、異世界惑星を一撃で破壊する力を秘めている。


ミスT「ルビナさんや、宇宙船の最大出力のエネルギーレールガンを、バリアとシールドの防御機構で防ぐ事は可能か?」

ルビナ「朝飯前ですよ。そもそも、あの黒いモヤ事変で、同モヤすらも覆い尽くして封じ込めたのですからね。スーパーレールガン、ハイパーレールガンの最大火力でも貫通できません。」

ミスT「・・・一応、デハラードの宇宙船への対策は可能だな。」


 恐ろしいとしか言い様がない・・・。もはや規模が人知を超えた様相である。魔力や魔法の概念すらも通用しない超絶的なレベルだ。地球では使われる事はなかったが、この異世界惑星の仕様からすれば、確実に使われるのは目に見えてくる。


ミツキ「人知を超えた最強難度、ワンフェッショナルわぅ。」

ナツミA「皮肉だけど、今の様相に当てはまる感じよね。」

ミツキ「どんな状況だろうが、やる事は同じなのだよ。」

ナツミA「フフッ、その通りよね。」


 珍しく、ボケのままでマトモな事を語るミツキ。それに感心しながら頷くナツミA。意外な言動に呆気に取られるも、笑いに繋げるのがミツキ流の生き様だろうな。


ミスT「まあ、諸々は分かった。今は新大陸の方を何とかしよう。」

ミツキ「新大陸をワンコ帝国と命名する!」

ナツミA「ニャンコ帝国は?」

ミツキ「お前をモッフモフのモフモフにしてやろうか?!」

ナツミA「王様は某悪魔閣下かしら。」

ミツキ「フハハハハッ! 怖かろう!」


 ・・・最後はボケとツッコミで締められた。今度は普通に笑う周りの面々。通例的なものになるだろうか。何ともまあ・・・。


 ともあれ、今は新大陸に向けるべきだろう。他にも課題は山積みだが、何とか攻略していくしかない。調停者と裁定者の役割は、本当に気苦労が絶えないわ・・・。


 そんな考えを巡らせつつも、レプリカ大和は大海原を進む。異世界惑星でも、その勇姿は十分際立っていた。むしろ、異世界惑星だからこそ際立つのかも知れないな。警護者専用のガンシップ、総意の懐刀として活躍してくれているのだ。感謝に堪えない。


 戦いは、まだ始まったばかりだと言える。今後も更に気を引き締めねば・・・。


    第2部・第1話へ続く。

 何時もご閲覧、ありがとうございますm(_ _)m 分割として、ここで第1部として終了します。次からは第2部として分けます><; 今後ともご閲覧、よろしくお願い致しますm(_ _)m

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