猫通信のその前の
私は、事故で下半身が動かなくなりました。
この間までは普通に動いていた足が、今はただの重りのように感じます。下半身の神経が完全に機能しないので排泄などの当たり前だったハズのことすらできず、お母さんには苦労をかけているのが現状。本当に親不孝な娘でごめんなさい。
お母さんはそれだけでなく、事故の裁判にも追われています。私は一時病院で集中治療を受けていて面会遮断の状態だったので、相手がいつ逮捕され、裁判の現状がどうなっているのかすらいまだに把握できていません。なにより、お母さんが私に負担をかけたくないと情報を制限しているのも把握できていない理由のひとつです。
そして、私はなんとか退院すること出来ました。
久々の家は、思っていたよりも変化はありませんでした。強いて言うなれば、片付けにうるさいお母さんが珍しく食べ終わったカップラーメンの器を放置してある程度です。
真っ白な子猫のルナもいつもの時間の通りに夕飯を催促しに来ました。ルナの腹時計の正確さには思わず感心してしまいます。
変わり果てた私の姿を見てもルナは驚いた様子も見せずにすり寄ってきました。猫に人間の事情なんて関係ないので、当たり前といってしまえばそれまでなのですが、私はやっと気を緩めることができたのです。
…ルナにはいつも助けてもらってばかりですね。
段差の多いこの地域で車椅子を使うことになれていない私は家から出る機会が減るだろう。そう思っていた私は病院で見たテレビで渡り鳥にカメラを付けて飛行距離や休憩地などの生活を観測するというものを見てあることを閃き、準備をしていました。
「ルナ、こっちにおいで?」
私がそういうと、ルナはピョンと驚異のジャンプ力で私の膝の上に乗りました。賢い子です。
「ごめんねルナ。首輪にこれを付けてもいいかな?」
私は小型のカメラをルナに見せて一応確認してみました。ルナはこてんとお腹を見せて停止。どうやら了承をしてくれたようです。
予想通り、ルナは私の家を拠点として行動をしているのら猫なので、やはりいろいろな所へ行っていました。視点が低いのも新鮮で、カラスとケンカしたり屋根から屋根へ飛び移ったり、予想以上に面白い世界です。それから毎日、私はルナの生活を見るようになりました。
ルナが、私に新しい世界を運んでくれる。
「ルナ? ルナ、ご飯食べないの?」
ある日、ルナはご飯を食べませんでした。けれどぽっこりしたお腹を見る限り、どこかでエサをもらってきたようです。
確認すると案の定、ルナはエサをもらっていました。
「他の家の人に迷惑かけちゃダメよ?」
そうやって注意をしてみましたが、効果は無かったようです。
「ダメって言ったじゃない。もぉー」
仕方がないので、そのお家の人宛にルナがお世話になっているお礼の手紙を書くことにしました。
これが、ルナが運んだ長い長い縁とは知らずに…
絃目華音さんからの依頼による特別編でした!
ルナちゃんモフモフしたいw




