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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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第28話 響也VSゴートマン その②

死神は


死を見るが故に


死を恐れる

2


クロナが崖から突き落とされた瞬間、響也は「追え、架陰!!」と叫んでいた。


架陰が崖の下へと消える。


それに続いて、リザードマンも架陰を追って飛び降りていた。


(あいつは任せたぞ・・・)


押さえ込んでいたゴートマンが響也を押し返した。


「くっ!!」


響也は直ぐに飛び退き、The Scytheを振った。


キンッ!!


TheScytheの刃と、ゴートマンの斧の刃がぶつかり合い、火花を散らす。


「カレン、援護しろ!!」


「言われなくても、わかっているわよぉ!!」


カレンが突風を放ち、ゴートマンの攻撃の邪魔をする。


その隙に響也が斬りかかった。


「命刈り!!」


だが、ゴートマンは斧で防ぐ。


(堅い!!)


斬撃の勢いがThe Scytheを通して返ってきて、響也の腕を痺れさせた。


「・・・・・・」


ゴートマンはその剛腕で刃を押し返すと、斧を指先で回し、美しい弧を描いて響也を切り裂いた。


「ぐあっ!!」


響也の肩に赤い線が走り、血が吹き出した。


(戦闘服で防げない威力!!)


「響也!!」


「大丈夫だ!! そのまま援護しろ!!」


肩の傷は深くない。止血する必要もなかった。


「舐めるなよっ!!」


足元がおぼつかない地面の上で、響也は舞うようにThe Scytheを振る。


だが、ゴートマンも流麗な動きで斧を振り回し、響也の攻撃全てをいなした。


「響也、一度下がって!!」


カレンの指示に従い、響也はバックステップを踏んで後退した。


カレンが地面に叩きつけるように翼々風魔扇を振る。


「風神之砂塵!!」


地面を、竜巻の槍が抉った。


爆発するような音と共に、黒い砂が舞い上がる。


「視界を奪ったわァ!!」


「よくやった!!」


響也は背後にあった杉の木の幹を蹴り、砂煙の真上に跳躍した。


(舐めるなよ・・・、UMAごときがっ!!)


煙の微弱な動きを読んで、煙の中にいるゴートマンの位置を把握する。大丈夫、動いていない。


「三の技・・・」


The Scytheを空を穿つような形で構える。そして、身をよじって、ディスクソーサーのように回転した。


「雷刈り!!!」


回転しながら、煙の中に飛び込んで行く。


そのまま、ゴートマンの頭蓋に、The Scytheの刃を叩き込めば、この戦いは終わる。


だが。


「!?」


響也の斬撃が、またしても堅いものに防がれた。


「斧!?」


まるで、上空から響也が攻撃してくることを読んでいたかのように、ゴートマンが頭上に斧を構えていたのだ。


「・・・・・・」


「しまったっ!!」


ゴートマンの馬鹿力が響也を押し返した。


空中では防御姿勢が取れない。


がら空きとなった響也の腹部に、鋭利な刃を持つ斧が叩き込まれる。


(躱せない!!)


響也の脳裏に、腸が飛び出した自分の死体の姿が過ぎった。


「響也!!」


斧が響也の腹を切り裂く前に、カレンが翼々風魔扇の柄の部分でその一撃を防ぐ。


「私の家族に手は出させないっ!!」


カレンはそのまま翼々風魔扇から風を発生させ、斧を弾き返す。


「風神之槍!!!」


間髪入れず、ゴートマンの腹を竜巻の槍が穿った。


風に押されたゴートマンはそのまま背中ごと山肌に激突する。


「武器を手放した!!」


ゴートマンの手から斧がすっぽ抜け、数メートル離れた地面に突き刺さった。


「この隙に叩き込むわよぉ!!」


カレンが翼々風魔扇で竜巻を作り出し、もう一度放つ。


その瞬間、ゴートマンの指が猛禽類の鉤爪のような形になった。


まるで見えない糸を手繰るように手を引く。すると、地面に突き刺さっていた斧が浮かび上がり、一瞬でゴートマンの手の中に収まる。


「斧が、勝手に動いた!?」


ゴートマンは斧を一薙ぎして、カレンの竜巻を消し飛ばした。


「竜巻が!?」


間髪入れず、カレンに襲いかかるゴートマン。


響也が直ぐにカレンとゴートマンの間に割って入り、振り下ろされた斧を受け止めた。


「重っ!!」


響也の足が三センチ沈む。


鉄製のThe Scytheの棍の部分が微妙にしなった。


(このままじゃ、The Scytheが折れる!!)


響也は腕を引いて斧の剣圧を受け流すと、返す刃でゴートマンの首を狙った。


だが、ゴートマンも直ぐに斧を引いて、持ち手の部分でその刃を弾く。


「くそ、読まれてる!!」


「まだよォ!」


カレンが竜巻の槍を発射する。狙いは、ゴートマンの顔面。


「・・・・・・」


一瞬で、ゴートマンの姿が視界から消えた。


竜巻は空を切り、山肌に衝突して、壁を砕く。


「嘘だろ!?」


見上げれば、ゴートマンは五十メートル程跳躍していた。


その脚力、まるで、山羊。


重力を味方につけて、ゴートマンの強力な一撃が空から降り注ぐ。


ドンッ!!!


間一髪で躱した。


勢いのあまり地面が粉砕する。


(こいつ、とんでもなく強い!!)


死神として多くのUMAを葬り去って来た響也の脳裏に、【死】の一文字がチラついた。










その③に続く








その③に続く

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