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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
76/530

第28話 響也VSゴートマン

日輪が焼く我が皮膚は


ひび割れ


剥がれ


真実を暴き出す

1


突如来襲したリザードマンの攻撃に、クロナは為す術がなかった。


「がはっ!」


腹に強烈な一撃を喰らい、そのまま、小道を外れ、崖の下へと落下する。


「クロナさん!!」


響也が「追え、架陰」と指示するよりも先に、架陰は崖の下へと飛び降りていた。


約80度の急勾配を一気掛けおりる。


生え出た木々を躱し、剥き出しとなった岩を躱す。


重力に任せて、前方三十メートル先のクロナに向かって一直線に進む。


「クロナさん!!」


「架陰!!」


クロナも受身を取りながら落下の衝撃を和らげているが、ほぼ落下していると言っていいこの斜面では、上手く身体を固定出来ない。


(あと少し・・・)


架陰はクロナに手を伸ばした。


だが、その瞬間、架陰の足首に異変が起こる。


「えっ!?」


強い力で握られたのだ。


猛スピードで動いていた架陰の身体がピタリと止まり、体内の内蔵が三ミリ動いた。


「お前は!?」


振り向くと、リザードマンが架陰の足首を掴んで、勢いを完全に殺していたのだ。


(こいつ、速い!?)


そして、爬虫類質の剛腕を使い、架陰の身体を地面に叩きつける。


ボンッ!!!


黒い土が粉砕して、架陰の身体が三センチ地面にめり込んだ。


「ぐはあっ!!」


リザードマンは架陰の足首を掴んだまま離さない。


そのまま、隣に生えた杉の木の幹に叩きつける。


ゴリッと、鈍い音が耳の奥で響いた。


(こいつ、強い!!)


右胸がカッと熱くなった。肋骨の一、二本が折れたらしい。


「くそっ!!」


架陰は腰の木刀に手をかけると、思い切り身体を捻って回転した。


「僕は、腕の粉砕骨折をしても平気だった!!」


回転を威力に変え、リザードマンのティラノサウルスのような頭に蹴りを入れる。


ゴツッ!!と、手応えありの音。


架陰の足首を掴んでいた手の力が弱まった。


「よしっ!!」


架陰はスルッとリザードマンの拘束から逃れる。


「【魔影】発動!!」


空中で体勢を整える間に、自分の能力を行使した。


眼球が赤く染まり、皮膚から黒い霧のようなオーラが染み出す。


それを、木刀に纏わせ、黒い大剣に変化させた。


「【魔影刀】!!」


隙を見せたリザードマンの右肩に、魔影を纏わせて作った刀を叩き込む。


ボンッ!!!


黒い刃が衝撃波を発生させ、リザードマンの二メートルはある巨体を地面に叩きつけた。


「お返しだ!!」


一矢報いることには成功したものの、仕留め損ねた。リザードマンは強力な力で倒されただけで、刀特有の切り傷は出来ていない。


(やっぱり、木刀に魔影を纏わせても、【切れないもの】というイメージが付与されるから、威力が上がらないのかっ!!)


だが、架陰に追撃をしてリザードマンの命を奪う余裕は無かった。


こうしている間に、クロナが崖の下へと転落して、見失う可能性がある。最悪、死だ。


「クロナさん!!」


架陰は再び重力が働く方向を見た。


「頼むぞ、魔影!!」


木刀に宿った魔影を、今度は脚に纏わせる。


「魔影・弐式・魔影脚!!」


架陰の脚が、漆黒のオーラを纏った。


魔影の能力は、触れた物質との間に衝撃波を生み出すということ。


そのため、魔影が宿った刀は、超強力な斬撃を放てるし、魔影が宿った腕は超剛腕になる。


ならば、魔影が宿った脚は。


(強力な、バネになる!!)


架陰は思い切り地面を蹴り出した。


まるで魚雷のような勢いで、架陰の身体が、頭から崖の下へと発射された。


「これで、一気にクロナさんの所まで!!」


と思った矢先、架陰の目の前に岩が迫る。


「おわっ!?」


架陰は身をよじってそれを躱した。


架陰の降下スピードが上がったのは良かったが、その分、回避能力が下がったのだ。


「だったらっ!!」


架陰は足裏に魔影を集中させた。


「空気を、反発させる!!」


その瞬間、架陰の一直線を描いていた軌道が直角に逸れた。


「できた!!」


架陰は空気と魔影の間に衝撃波を発生させた、強引に軌道をずらしたのだ。


「このまま!!」


架陰は魔影を使ってスピードを上げ、魔影を使って、身体の軌道をコントロールしながら崖の下へと向かった。


木々の間を抜け、岩を躱し、そして、平坦な場所へと抜ける。


「クロナさん!!」


魔影を足に纏わせたまま、着地する。


結果、足裏と地面の間で爆発が起き、地面を深く抉ることとなった。


「どこですか!?」


架陰は抉った穴から飛び出すと、クロナの姿を探した。


真っ直ぐに降りて来たのだ。この辺にいるはずだ。


「あ」


発見。


クロナは、異様に捻れ曲がった木の枝に引っかかっていた。身体中泥で薄汚れ、髪や着物の袖が力なく垂れ下がっている。


「クロナさん!」


架陰は魔影を利用して跳躍すると、クロナを枝から救出した。


こめかみから血が滲んでいる。ここを打ち付けたことが、気絶に繋がったのだろう。


「失礼します」


架陰はクロナの胸に耳を当てた。


(やっぱり、小さいから聴きやすいな)


クロナの心臓は脈を打っていた。


「よかった・・・」


とりあえずホッとする架陰だった。











その②に続く




UMA図鑑【リザードマン】


ランクA

体長2m

体重97キロ


その名の通り、【トカゲニンゲン】。爬虫類質の体表は堅く攻撃を通さない。脂肪がほとんどなく、締まった筋肉を持っているので、攻撃力も優秀。能力は【再生】で、外傷は簡単に治る。

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