決戦! 笹倉!! その②
望月を少しだけ削ろう
ぱくりと食べて白兎
天の甘みに酔いしれて
明日の十五夜なんのその
2
「良く躱したね!」
「そりゃあ、何回もお前と戦っているからな!」
背後から放たれた斬撃を、身を屈めることで躱した笹倉は、翼を仰いで旋回すると、架陰の方を向き直った。
振り向きざまに、刃を振る。
「【雷撃刃】ッ!」
雷撃で形成された斬撃が架陰に向かって放たれた。
架陰はすかさず、名刀・赫夜の銀色の刀身に魔影を纏わせると、雷撃を迎え撃った。
「【魔影刀】ッ!」
ボンッ!
と高エネルギー同士の衝突で、辺りに衝撃波が走る。
木々の木の葉が揺れ、粉塵が巻き上がった。
「はあっ!」
雷撃を相殺する。
そのまま、木の枝を蹴って飛び上がると、空中の笹倉に斬りかかった。
「【魔影刀】ッ!」
「【雷光丸】ッ!」
魔影を纏った刃と、雷撃を纏った刃。
二つの刃が衝突する。
ギンッ! と空間を裂かんばかりに甲高い金属音が響き渡った。
空中で、ギリギリと鍔迫り合いを始める二人。
「くっ!」
笹倉は歯を食いしばるが、架陰の勢いに後ろに押し込まれた。
「へえ! 力が増したのか!」
「いつまでも弱い僕じゃないからね!」
「そりゃそうか! 鬼丸さんがやられるわけだ!」
「減らず口はそこまでにしたらどうだい?」
架陰がニヤリと笑う。
笹倉が架陰に気をとられている隙に、その背後にいたココロは刀を構えなおし、音もなく斬りかかった。
ココロの刃が笹倉を切り裂く寸前…。
「おっと!」
野生の勘という奴で察知した笹倉は、咄嗟に身を反転させて架陰の斬撃を受け流した。
「なっ!」
突然迫ってきた先輩の背中に、ココロは思わず刀を引いた。
ドンッ!
と二人が激突する。
「ぐっ!」
「きゃあっ!」
二人同時に地面に墜落し、背中を地面に擦りながら倒れこんだ。
「ごめん! ココロ!」
「いや、ボクの方も気配を消しきれなかった…!」
二人が顔をあげると、笹倉は上空の高い場所へと飛び上がっていた。
そこで、名刀雷光丸の切っ先を天に向けていた。
「さあ、行くぜ」
刀の切っ先を回転させる。
すると、その回転の中心に雷撃が集合し、バチッ! バチバチッ! と激しい音をほとばしらせた。
「ココロ! 僕の背後に下がって!」
大技が来ることを悟った架陰は、ココロの小さな身体を背中に隠した。
「絶対に出てきたらダメだ!」
【名刀・赫夜】を鞘に納める。そして、代わりに黒い柄紐が巻かれた刀を抜いた。
しゅぽっと乾いた音と共に、刀身の無い刀が姿を現す。
それを見て、ココロが声をあげた。
「ちょっと先輩! その刀何だよ!」
「いいから黙ってて!」
彼女が文句を言うのはよくわかる。
赫夜の代わりに抜いたこの【名刀・夜桜】には、刀身・、つまり刃が無かった。柄と鍔だけで製作された、二代目鉄火斎の最高傑作。
「【名刀・夜桜】…、刀身顕現!」
そう言って、刀に魔影を纏わせる。
すると、根元の部分から魔影が寄り集まり、硬質化し、一つの『刃』に変化した。
それを見た笹倉が「ははっ!」と笑った。
「それがお前の新しい刀か!」
「ああ、そうだよ!」
名刀・夜桜。
この刀が真価を発揮するときは、『魔影』の能力を発動させた時。
魔影は集まって刃となり、全てを破壊する強力な一撃を放つ。
「喰らえやッ! 【雷竜閃】ッ!」
笹倉が上空から莫大な雷撃を振り下ろした。
それに合わせて、架陰も夜桜の刃を斬り上げた。
「【悪魔大翼・獣陰】ッ!」
その③に続く




