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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
498/530

襲撃 その③

さらばと手を振る雉の群れ


降りしきる羽根に彩り添えて


彼女は歳末の光雲を愛でている


「行くぜ、覚悟しな」


にやっと、八重歯を見せて笑った笹倉が、刀の切っ先を二人に向けた。


架陰は腰の刀に手をやって、腰をぐっと落とす。


立ち塞がる笹倉に注意を払ったまま、ココロに指示を出した。


「ココロ、こいつが、前に言っていた【悪魔の堕彗児】だよ」


「へえ、こいつが…」


警戒して口調が強くなる架陰に対して、ココロの声は楽しそうに聞こえた。


ココロは下唇を舐めて湿らせた。


カチンッ! と、腰の刀を数センチ抜く。


「UМAと人間の姿を併せ持つ怪物か…、なかなか面白いじゃないか! 狩りがいがあるよな!」


「まて、ココロ…」


今にも笹倉に飛び掛かりそうなココロを制した。


多分、言っても聞かないとは思いながら忠告する。


「笹倉は強いよ。油断するな」


「わかってら。あいつの立ち振る舞い見てたらわかるっつーの」


「特に、あの刀…」


名刀【雷光丸】。


「あれは雷撃を放つことができる武器だよ。だから、近接だけでは対応できないと思う…、僕が指示を出すから…、うまく立ち回って欲しい」


「立ち回るだ?」


ココロは馬鹿にしたように首を捻った。


「そんなちんけな事できるかよ! 要は、当たらなければいいんだろ?」


案の定、架陰の言葉を無視したココロが、地面を蹴って飛び出す。


「ココロッ!」


「すぐに仕留めてやるよ!」


ココロの先制攻撃に、笹倉は身動き一つとらない。


ふっと、口元がにやりと笑った。


「っ!」


その笑みに、何かを感じ取ったココロ。


次の瞬間、「あぶねッ!」という悲鳴をあげて、その場から飛びのいた。


バチンッ!」


と、笹倉の立っていた地面より、半径五メートルの範囲から、黄金の雷撃がせり上がる。


すんでのところで躱したココロは、そのまま地面を転がった。


「くっ!」


「おっと、気づかれちゃったか…、お前、結構勘がいいなあ…」


想定内。とでも言うように、余裕そうな笑みを浮かべる笹倉。


「すごいだろ? 【雷雷地雷】だ。あらかじめ、刀から出る雷撃を地面に忍ばせておけば、オレの射程距離に入った人間、みんな感電するぜ?」


「だったら! 遠くから攻撃すればいいってわけだ!」


すかさず、架陰がココロの横から飛び出し、魔影を纏わせた刀を一閃した。



「【悪魔大翼】ッッ!」



黒い斬撃が、笹倉に迫る。


「お前も飽きないねえ…」


笹倉はニヤリと笑うと、翼を羽ばたかせて上空へと回避した。


空を切る黒い斬撃。


「あ! また空に逃げる!」


「馬鹿言えよ、『回避』したんだ。お前の斬撃を喰らったらひとたまりもないもんな」


これで三度目の交戦。


お互いに、手の内は理解していた。


笹倉は【名刀・雷光丸】の切っ先を天に向けると、雷撃を放出させた。


「雷雨」


四方八方に飛散した雷撃が、まるで雨のように地上の二人に降り注ぐ。


バチン! バチンッ! バチバチンッ!


と、当たった場所で黄金の輝きを放って弾けた。


「くそっ!」


架陰は咄嗟に、ココロの腕を掴んで抱えると、地面を蹴った。


脚に魔影を纏わせて、それにより上昇した脚力でさらに加速する。


大きく回避して、降り注ぐ雷撃の雨を躱した架陰は、木の枝に飛び移り、そこでココロを下ろした。


「ココロ! あいつの雷撃は変幻自在だ! フィールドをうまく利用して立ち回るんだ!」


「わかってるって!」


ココロは頬の泥を拭って頷いた。




第151話に続く




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