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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
497/530

襲撃 その②

蛇が出るか


獅子が出るか


毒で死ぬか


食われて死ぬか


「まあ、でも、変な神様を信仰していたのは確かだな」


「変な神様?」


「ああ…、ボクの村には…」


そう言って、ココロが自分の暮らしていた村について語ろうとした、その時だった。


突如、上空に黄金の光が走った。


バチバチッ! という音と共に、身の毛がよだつ殺気を感じ取った架陰はすぐに動く。


「ココロ! 下がってッ!」


ココロの首根っこを掴むと、一気にその場から離れた。




バチンッ!




と、天空から落ちてきた雷撃が、二人が立っていた地面に命中し、草木を黒く焦がす。


辺りに風船が破裂するような音がこだましたと思えば、一瞬で鼻を突く異様な香りに包まれた。


「な、なんだよ…」


突然の襲撃に、ココロは驚きを隠せない。


架陰は冷静に状況を把握した。


(この雷撃は…!)


見覚えがあった。


顔をあげて見ると、空の高い場所に人影が見えた。


「あそこかッ!」


すぐさま刀を抜いて、上空に浮かぶ者に向かって一閃する。



「【悪魔大翼】ッッ!」



振り切った刃から、魔影で構成された黒い斬撃が発射され、空中の人影に迫った。


人影は「おおっ!」と素っ頓狂な声を洩らしながら斬撃を回避する。


そして、二人がいる場所に降り立った。


「よお、久しぶりだな。架陰」


「お前は…!」


猫のように吊り上がった目。挑戦的にニヤリと笑う口元。髪は赤茶でぼさぼさとしている。黒いマントを身に纏い、下半身が存在しない。代わりとでも言うように、背中からは蝙蝠のような翼が生えて、それで空中を浮遊していた。


「悪魔の堕彗児の、【笹倉】ッ!」


「よっす、名前、覚えてくれたな」


笹倉は久しぶりに会った友人を相手している蚊のように、気さくに手を振った。


ココロが警戒した声で架陰に聞いた。


「おい、先輩、あいつ何者だよ」


「前にも言っただろ? あれが【悪魔の堕彗児】だよ」


悪魔の堕彗児。


それは、十年前に悪魔が世界中に蔓延させた『DVLウイルス』の力を利用して、自身の身体を『UМA』に変えてしまった、元人間のことを言う。


彼らは、人間の姿と、UМAの姿を両立しており、度々、悪魔本体の力を宿す架陰を襲撃してくるのだ。


「どうした? 今日は何の用?」


架陰は挑発的に言うと、刀の切っ先を笹倉に向けた。


ガーゴイルの姿に変身している笹倉は、「わかるだろ?」と肩を竦めた。


「お前を連れ去りに来たんだよ」


「一人で?」


「仲間と…、と言いたいところだけど…、マジで今回は一人だぜ」


笹倉はは背中の翼を羽ばたかせながら、深いため息をついた。


「前に、お前らUМAハンターと全面戦争しただろ? あれのおかげで、オレたちの主力がみんな戦闘不能にされちまってよ。今は人員不足ってわけ!」


「そうだね。鬼丸は僕が倒したからね」


「そうだよ。よくもオレらの憧れの鬼丸さんをやってくれたよな」


笹倉は恨みがましく言いながら、腰のベルトに挟まれた刀に手を掛けた。


それから、架陰の背中に隠れるようにして立っているココロを一瞥する。


ぺろりと、下唇を湿らせた。


「へえ…、やっぱりそうか…」


「や、やっぱり?」


「ああ、気にするな。オレの独り言だからさ」


そう言って、腰の刀を抜く。


「名刀…【雷光丸】ッ!」


金色の刀身が姿を現し、外気に触れた途端、バチバチッ! と雷撃を纏った。


「さて、戦おうぜ。架陰」


「言われなくとも! また返り討ちにしてやる!」


刀を構える架陰。


彼が殺気を放っているのに対し、笹倉は冷静に辺りの状況を推察した。


(なるほどね…。やはり、あの女…、鉄火斎殿の刀を握っていたか…)


今回の笹倉の目的は、「架陰を連れ去る」ことではない。彼の隣にいる、ココロの「刀の奪還」だった。


「行くぜ、覚悟しな」


笹倉はそう言うと、悪魔のようにニヤリと笑い、二人に刀を突きつけた。


その③に続く



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