表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UMAハンターKAIN  作者: バーニー
494/530

初めての共闘 その②

蜥蜴を見つけたら


茂みに帰してやろうと思う


恩返しを望みながら


切れた尻尾を見つめながら


「で、どうするの?」


架陰はリザードマンを見ながら、隣のココロに聞いた。


「このまま、ワンマンプレイを続けるわけ?」


「言い方が悪いな」


ココロは舌打ち混じりに言った。


「ボク一人で十分だって言っているわけ」


「やられそうになったクセに」


「もう慣れたよ」


ココロは、足袋を履いた足で、軽く地面を蹴って跳ねると、刀を下段に構えた。


呼吸を整え、心臓の鼓動を制限する。


風が吹き付けたタイミングで、再びリザードマンに向かって斬りかかった。


「今度こそいける!」


「また勝手に…」


架陰もまた、ココロを援護するために走り出した。


ココロの接近に、リザードマンが爪を研いで身構える。


ココロは姿勢を低くして、ぬるりとリザードマンの懐に潜り込んだ。


「心響流…、一の技…!」


刀を斬り上げる。


「【一条】ッ!」


しかし、渾身の一撃は虚しく空を斬った。


リザードマンが上体をのけ反らせて躱したのだ。


「こいつ…! どんな動体視力をしているんだよ!」


リザードマンは、身体を戻すときの反動で、ココロに爪を振り下ろした。


咄嗟に防ぐ。



ギンッッ!



と甲高い金属音が響き、彼女の身体が数センチ後ずさる。


「この…!」


何とか踏みとどまったココロは、奥歯を食いしばると、強引にリザードマンの突破を試みた。


「ココロ! 無茶だ!」


すかさず、架陰がリザードマンの背後に回り込み、刀を振る。


しかし、リザードマンはそれに気づいて、上空に跳躍した。


「気づかれた…!」


「センパイ! こいつ、なかなかさどいですよ!」


上空に逃げるリザードマン。


差し込む太陽を背に、その黒光りの体表をうねらせ、鋭い爪を反射しながら二人に襲い掛かる。



ギンッ!



先に狙われたのは架陰の方だった。


「くっそ!」


何とか防いだ架陰は地面を擦りながら後退する。


その間隙を縫って接近するリザードマン。


自慢の爪を使い、連撃を架陰に叩きこんだ。


ギンッ! ギンッ! ギンッ!


と、甲高い金属音が立て続けに響き渡る。


「くそ!」


一撃一撃が重い。


防戦一方でいると、すぐさまココロが援護に入った。


「センパイ!」


「ココロ! 二人で叩きこむよ!」


架陰はココロの位置を把握すると、リザードマンの攻撃を受け流し、奴を茂みの方にまで追い込んだ。


一度離れる。


そこから、合流したココロと共に、二人同時で攻撃を叩きこんだ。


「魔影刀ッ!」


「一の技! 【一条】ッ!」


二つの斬撃が、同時にリザードマンに迫る。


リザードマンは紙一重のところで身を捩らせて、その攻撃を躱そうとした。


ボンッ!


と鈍い音が響く。


次の瞬間、リザードマンの右肩から脇腹にかけての肉が、斬撃によって痛々しく抉れた。


抉れた場所から、赤黒い血が吹き出す。


「やった!」


「まだだ! 叩きこめ!」


一度リザードマンと戦ったことがある架陰だからわかることだった。


リザードマンは優れた再生能力を持っている。この程度の傷、十秒もあればすぐに治してくる。


治される前に。


「止めを刺すッ!」


架陰はさらに一歩踏み出すと、刀の切っ先に魔影を纏わせた。


「【魔影】…、弐式…、【魔影刀】」


黒い刃を、リザードマンの首に向かって突き刺す。


「はあっ!」


切っ先から放たれた衝撃波が、リザードマンの首を吹き飛ばした。




その③に続く






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ