表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UMAハンターKAIN  作者: バーニー
448/530

架陰VS鬼丸 再戦 その②

悪魔の羽化を見たことがあるか?


「おおおりゃあああああああッ!」


全力で、鬼丸の刀のガードに、魔影拳をねじ込む架陰。


コンクリートをも粉々に砕く一撃だと言うのに、鬼丸の刀はびくともしない。


「くそ…! 硬い!」


「この私の刀を、甘く見ないことだな…」


鬼丸は両腕を使って、架陰の攻撃を押し返した。


空中に放り出される架陰。


視線は鬼丸から外さず、すぐさま体勢を整える。


鬼丸が刀を逆手に持ち替えて、ドンッ! と、粉々に砕けた地面を踏み込んだ。


ぶわっと、波のような殺気が架陰に押し寄せた。


「また来る!」


先ほど、架陰に大ダメージを与えたあの攻撃。


とてつもなく広い攻撃範囲に、内臓を内側から圧迫するような衝撃波。


「【鬼乃坂月】!」


地面を擦り、天を突くように刀を切り上げた。


その瞬間、鬼丸の刀から、赤みがかった衝撃波が放たれ、空中の架陰に迫った。


「二度は、喰らわない!」


攻撃範囲が広いために、完全に躱すことは不可能。


空中で上手く身動きが取れない架陰がすべきは、この一撃を相殺することだった。


「振り絞れええええええええッ!」


魔影を纏わせた刀を、衝撃波の中心地に狙いを定めて一閃した。


「【悪魔大翼】ッッ!」


黒い斬撃が、空気を鳴らしながら放たれる。


そして、迫りくる赫赫とした衝撃波に激突した。


衝撃と衝撃。


二つの高エネルギーが衝突した瞬間、辺り一体に爆風が吹き付けた。


「くっ!」


吹き飛ばされそうになった架陰は、脚の魔影で上手く軌道を修正してその場に留まった。


パンッ!


と風船でも割れるかのような音が響いたと思うと、衝撃波は跡形も無く相殺された。


「よっしゃ!」


と、思ったのも束の間。


鬼丸がさらに、刀を一閃したのだ。


今度は、手首のスナップを利用した、俊敏かつ豪快な一撃。


「【鬼々爪乃吐息(ききつまのといき)】!」


ヒュンッ!


と空気が静かに鳴いたと思った瞬間、架陰の右肩に、銃に撃ち抜かれたかのような激痛が走った。


「くっ!」


見れば、肉に穴が空いて血が吹き出していた。


血を抑えながら、地面に着地。


ぐらっと身体が揺れるのに耐えて、鬼丸を睨んだ。


「射程範囲を絞った! 高密度の斬撃か!」


「ご名答!」


鬼丸は、振り切った刀を腰の鞘に戻す拍子に、さらに一閃した。


「【鬼々爪乃吐息】ッ!」


まるで空間をワープしてくるように、超高速で、貫通に重きを置いた攻撃が架陰に迫った。


「くそ!」


すんでのところで、架陰は上体をのけ反らせてそれを躱す。


腹筋の反動をつかって身体を起こした瞬間、間を詰めた鬼丸がすぐそこにまで攻めてきていた。


「っ!」


ギンッ!


刃と刃がぶつかり合う。


架陰は刃に魔影を走らせると、爆発するような衝撃波を放って、鬼丸の刀を弾いた。


ぐらっと、鬼丸がよろめいた拍子に、彼の懐に潜り込む。


刀の柄を腹に押し当て、魔影を炸裂させた。


ドンッ!


と、腹に衝撃波を放たれた鬼丸が半歩後ずさる。


「なかなか、いい身のこなしだ」


「あれで吹き飛ばないのかよ!」


不意を突いた攻撃だったのに、完全に勢いを殺された。


だが、これで心が折れる架陰ではない。


「まだまだだ!」


魔影を再展開すると、鬼丸に襲い掛かる。


(集中しろ…!)


集中だ。


架陰の前の前に立ち塞がる鬼丸を倒して、その背後に控える、【王】がカレンの悪魔を完全に吸収する前に、悪魔を奪い返す。


だが、今は目の前の鬼丸に集中しなければならない。


(より強力に!)


鬼丸の斬撃を押し返し、黒い斬撃を放つ。


(より正確に!)


斬撃は、鬼丸の首筋を正確に狙った。


(己の、『勝利への欲望』を、余すこと無く…!)


鬼丸は咄嗟に首を守る。


(体現しろ!)


だが、防御の展開が間に合わなかった。


バチンッ!


と、斬撃が鬼丸を拭き飛ばす。


鬼丸が吹き飛んだ勢いに合わせて、架陰も魔影脚で地面を蹴って身体を打ち上げた。


「お前に勝つ!」


拳に魔影を纏わせて、未だ体勢を整えることができぬまま吹き飛ぶ鬼丸の腹に。


「叩き込む!」


拳が、彼の腹にめり込んだ。


初めて、まともに攻撃が命中した瞬間だった。


「おりゃあ!」


「くっ!」


鬼丸の澄ました顔が苦痛に歪んだ。


守る隙も、反撃する隙も与えない。


今ここでやるつもりで、さらに腕をねじ込む。


「はあッ!」




その③に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ