表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UMAハンターKAIN  作者: バーニー
444/530

【第133話】 激戦開幕 その①

至高こそ戦い


戦いこそ至高


刃こそ我が身であり


我が身は刃となる


「よかった、本当に、よかった…」


架陰は、暴走していたカレンが元に戻ったことを涙ながらに喜んでいた。


「本当に、一時はどうなるかと思いました」


「ごめんね」


カレンはいつものように、慈愛に満ちた笑みを浮かべた。


しかし、カレンが元に戻り、悪魔の堕彗児から奪還舌とは言え、まだ桜班、椿班、薔薇班にはするべきことがあった。


「それにしても…」


クロナは頬にじとっとした汗をかきながら辺りを見渡した。


「さっきまでいた、悪魔の堕彗児は何処に行ったんでしょう?」


逃げた。というわけではないようだ。


地面を見れば、悪魔の堕彗児の一人である蜻蛉の【陽炎】の能力によって発生した肉塊がこびり付いている。


蜻蛉はこの能力の射程距離を「半径一キロ」と説明した。


つまり、まだ半径一キロ以内に、敵が潜んでいるということだった。


「一体、何処に…?」


架陰も、クロナに吊られて辺りを見渡した。


その時だ。


ボコリと、足元の肉塊が動く。


「はっ!」


下から突き上げてくるような感覚に、慌ててその場から飛びのこうとする。


しかし、それよりも先に、地面の肉は柱のような形となり、架陰を吹き飛ばした。


「架陰!」


クロナがすぐに援護に向かおうとするが、彼女の足元からも肉の柱が突き出して、吹き飛ばした。


響也も同じだった。


カレンを除いた、架陰、クロナ、響也の三人がほぼ同時に飛ばされた。


「まさか!」


その場に残されたカレンは、茫然と立ち尽くす。


その瞬間、地面から肉の壁がせり上がり、カレンの四方八方を取り囲んだ。


(幽閉された…?)


空から、三人の人影が降ってきて、カレンの前に音も無く着地した。


一人は、武士の着物を身に纏った【鬼丸】。


もう一人は、女子高生の制服を着こなした【蜻蛉】。


そして、あと一人は、身体中に包帯を巻いて、鼻を突くような臭いを漂わせる男だった。


「悪魔の…」


「時は満ちた」


鬼丸の細い目の奥で、金色の眼球がギラリと光った。


腰の刀に手を当てて、目にも止まらぬ速さで抜刀する。


その瞬間、カレンの両足の腱がパックリと裂けた。


「あ…」


脚に力が入らず、カレンはその場に膝まづいた。


すかさず、蜻蛉が肉片を操り、カレンの両四肢を拘束する。


「動かないでくださいね。これから、楽しいことが起こりますから」


「何を…!」


困惑するカレンの顔に、包帯男の焼けただれた手が伸びた。


拒む隙すら与えず、包帯男が彼女の顔面を鷲掴みにする。


「アア、ヤット、コノ時ガ、来タヨ…」









「どういうことだ!」


肉片に吹き飛ばされた架陰、クロナ、響也たちは、すぐに体勢を立て直して、着地した。


「カレンさんだけが! 肉片の壁に閉じ込められた…?」


すると、架陰の頭の中で悪魔が叫んだ。



(何トシテモ、アイツラヲ止メロ!)



「え…」


(ハヤクッ!)


「ああ、もう!」


言われるがまま、架陰は腰の刀を抜いた。


能力を発動して、白銀の刃に、漆黒のオーラを付与する。


「ちょっと! 架陰! 中にはカレンさんがいるのよ?」


クロナが慌てて制止を求めたが、本能的に危険であることを悟った架陰は、多少強引な手段にでた。


「肉壁だけを! 破壊する!」


黒いオーラを纏った刀を、虚空の先の肉壁に向かって振り下ろした。





「【悪魔大翼】ッッ!」





刃から、三日月の形をした斬撃が放たれ、地面に亀裂を走らせながら肉壁に迫った。


直撃。


そして、肉壁が吹き飛んだ。


飛び散る肉片、舞い上がる土煙。


そして、その奥から現れたのは、鬼丸と、蜻蛉、そして、彼らが【王】と崇める、包帯男だった。


「あいつは!」


「ヤア、ヒサシブリダネ」


包帯男は、あの時のように、しゃがれた声で気さくに架陰に手を振った。


三人の足元には、腱を切られて脚から血を流すカレンが倒れていた。


「カレンさん…!」


「悪いな、市原架陰…」


鬼丸が一瞬で架陰との間を詰めて、彼に向かって刀を振り下ろした。


ギンッ!


「くっ!」


「UМAハンターたちは、ここで仕留めさせてもらう!」




その②続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ