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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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化けの皮が剥がれる時 その③

子の刻


三歩進んで


虎の尾を


踏んで逃げるか


馬の尻

3


「うそでしょ.......」


唐草は半笑いを浮かべながら、自分の頭をポリポリと掻いた。


自分の膝から下の足が切り落とされ、断面から血が溢れ出している。


「本当に化け物かよ」


ニヤッと笑ったが、内心はどうしようもなく焦っていた。


(脚をやられたか.......)


恨みがましく、壁に磔にされている城之内カレンを見る。


城之内カレンは「私は城之内カレン私は城之内カレン」と呟きながら、それでいて、目はしっかりと見開いて、唐草を凝視している。


(さしずめ、この女の能力.......!)


とりあえず、唐草は革鎧の懐から紐を取り出すと、自分の太ももを強く縛り付けた。


止血のつもりだったが、気休めにしかならない。


「クソ.......、神谷殿が居ないとダメだ.......!!」


このままでは、すぐに失血死してしまう。


「鬼丸殿には申し訳ないけど、僕は自分の命の方が大事なんだ.......」


そういうと、唐草は腕を床につき、腕力だけで体を浮かせた。


「さーて、逃げるか!!」


蹴り技が得意な唐草だが、腕力だって鍛えているのだ。


腕の力を使い、逃走を開始する。


だが、一歩踏み出した瞬間、空間から何かが飛び出してきた。


ザンッ!!


と、唐草の右腕が吹き飛ぶ。


「へっ!?」


飛び散る血。


両足、右腕を失った唐草は、その場に倒れ込んだ。


(うそ、だろ!?)


血が流れる。


意識が遠のいていく。


突如空間から現れたもの。それは、五センチ程の幅で、表面に鋭利な棘が無数に生えた、薔薇の茨だった。


本物ではない。時々、半透明になるので、恐らく能力によって構成されているもの。


「空間系の能力か.......!」


首を擡げて、城之内カレンを見る。


城之内カレンはニイッと笑った。


「私は、城之内カレンよ」


彼女の胸の辺りから、薔薇の茨が出現し、唐草に向かって一直線に伸びてきた。


「くっ!!」


唐草は、唯一残った左手で床を押すと、その場から飛び退いた。


しかし、薔薇の茨は方向を転換する。


さして、彼の胸に突き刺さった。


「がはっ!!」


胃袋をやられたようで、喉の奥から血を吐く唐草。


茨は自立した生き物ように動き、彼を宙に持ち上げた。


「なんだよ、この能力.......」


右腕に、両足。そして、腹を貫通された。


唐草はみるみると弱っていき、目から生気が消え失せた。


がくっと首を折り、動かなくなる。


その瞬間、天井から夜行を抱えた鬼丸が飛び降りてきた。


「これは.......!!」


唐草が茨に貫かれているのを見て、一瞬で状況を把握する鬼丸。


「なるほど、覚醒したか!!」


空中で夜行を放り投げると、腰の刀に手をかけた。


「居合.......」


目にも留まらぬ速さで斬撃を放ち、唐草を貫く茨を切断する。


ぐらっと、落下する唐草。


彼の身体が床に激突する前に、鬼丸が彼を受け止めた。


「唐草、大丈夫か!?」


「..............」


返事がない。


だが、脈と呼吸音がする。


床に降り立った鬼丸は、歩法を使って高速移動をすると、床に落ちた唐草の右腕、両足を回収した。


一度、この茨の能力の保持者であろう城之内カレンから距離をとり、床に唐草を横たえさせた。


「回復薬だ.......」


着物の懐から、竹に入った塗り薬を取り出すと、切断された箇所にそれを塗りたくり、切り落とされた部位を付けていく。


「安静にしていろ。すぐに治る」


「..............」


返事がない。


悪魔の堕慧児は、人間と比べて身体は丈夫にできている。しかし、死ぬ時は人間と同じように死ぬ。


(唐草の【山羊男】の能力は、攻撃特化だから、ダメージへの体制が無い.......、少し厄介だな.......)


パンッ!!


と音がした。


鬼丸が顔を上げた瞬間、無数の肉片が飛んできて、彼の身体に降り注ぐ。


「この肉片!!」


肉片は、ザワザワと蠢き、ひとつの場所に集結して形を作っていった。


そして、夜行の頭が生成された。


夜行は上目遣いで鬼丸を睨む。


「おいおい、こりゃ、どういうことだ!?」


「夜行、無事だったか」


「あたぼうよ。オレは不死身だぜ?」


雑に放り投げた夜行が、一瞬で肉片に変えられた。


それだけ、あの女の能力の攻撃力が高いということだ。


いや、そんなことはどうでもいい。


今考慮するべきは、この能力の効果だった。


(見たところ、射程距離が広いな.......、それに、縛られた状態で発動している.......)


これは、鬼丸にも想定外のことだった。


「夜行、すぐに身体を治せ」


「オレに命令すんな」


と言いながらも、夜行は再生を促進させて、首から下の部位を生成する。


あっという間に、元の姿に戻った。


「さて、どうすんだ?」


「決まっている。あの女を止める」


「止めてどうするんだよ。あの女の暴走は、【悪魔】の力によるものだぜ? だったら、このタイミングで魂から剥離させる方がいいじゃねぇか!!」


「そうしたいところだが.......」


鬼丸は腰の刀を抜いた。


(我らが【王】は、まだ力を取り戻していない.......、あの女の悪魔を吸収する前に、返り討ちにされる可能性だってあるな.......)


強く刀の柄を握る。











「やはり、ここで弱体化させるぞ」











第124話に続く


補足


鬼丸は作中でも最強格です。基本的に、彼が城之内カレンとタイマンを張れば勝つのは鬼丸です。ですが、覚醒した城之内カレンの強さに他の悪魔の堕慧児がついていけていないので、彼はその分の補佐をしなければなりません。

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