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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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【第122話】 茨の道 その①

茨の道


三歩進んで


死終原

1


歩いてきた男の姿を見た時、響也の全身が粟立った。


(あいつは.......!!)


侍のような袴と着物。腰には装飾のされていない刀を携え、艶やかな髪の毛は後ろで結っている。


悪魔の堕慧児の一人、【鬼丸】。


思い出すは、前回の【市原架陰奪還作戦】の時、狂華に止めを刺そうとした響也の前に現れた男。


奴は、狂気染みた強さで、その場にいた響也と、椿班の八坂を圧倒。両者、瀕死の状態まで追い込まれたのだ。


響也にとっても、そして、刀を折られた市原架陰にとっても因縁の相手。


(あいつが、ここで何をしている.......!?)


響也は息を潜めながら、鬼丸の様子を路地裏から伺った。


鬼丸は脇に何かを抱えている。


それは、両手足を切断された夜行だった。


(あいつは、架陰の報告にあった夜行という男.......。あいつもここで何をしている.......!?)


Death Scytheを握る指が震えた。


(.......、どうする?)


恐らく、奴らは自分の存在に気がついていない。


ここから強襲して、止めを刺すのもいい。


だが、前回手も足も出なかった響也が、奴ら、特に鬼丸の命を確実に仕留めることができるかと言われれば、それは意見の別れるところだった。


(ここは、様子見かな.......)


響也は限界まで気配を殺すと、鬼丸の行先を目で追った。


鬼丸は何やらブツブツと会話をしながら、大通りの先の交差点へと差し掛かる。


そして、一度歩道に逸れると、地下道へと続く階段を降りていった。


「あいつ、地下に.......!?」


響也はそっと路地裏から飛び出すと、鬼丸の後を追った。


(地下に、地下に何かあるのか?)


この街に地下鉄は無い。


だが、車通りが多いために、交差点などには地下に歩道が設けられている場合があった。


音を立てずに、階段を駆け下りる響也。


停電しているのか、地下道は薄暗い。外の光が差し込み、何とか自分の輪郭を保っていた。


(どこに行った?)


壁に沿って移動し、曲がり角が差し掛かると一度立ち止まった。


顔を半分出して、向こうの様子を伺う。


(いない?)


通路には誰もいなかった。


響也は拍子抜けすると共に、ため息をつきながら通路に出た。


このまま先を行けば、さらに階段があって、地上に戻ることができる。


(単に、地下道を通って、道路の向こう側に渡るつもりだったのか? いやでも、車どころか、人一人さえ通っていないんだぞ?)


彼らが何をしようとしたのか.......。


響也には分かりかねた。


(くそ、とにあえず外に出るか。ウロウロしてて、あいつらに気づかれるのが一番まずい)


響也は踵を返すと、階段に向かって歩き始めた。











次の瞬間。











響也の背筋に、張り付くような気配があった。


足がピタリと止まる。


全身から冷や汗が吹き出し、ヌルヌルと響也の肌を伝った。


(.......この気配は.......!?)


振り返る。


しかし、そこには誰もいなかった。


「気のせいか.......!?」


反射的にDeath Scytheを構える響也。


膠着状態は、数十秒に渡って続いた。


しかし、それから何も起こる気配はない。


少しずつ警戒を解いた響也は、Death Scytheを下ろし、半歩後ずさった。


チクッと、した感触が、ふくらはぎに残る。


「は?」


見れば、着物の裾から伸びる細足のストッキングが裂けて、血が流れ出ていた。


背筋がゾクッとする。


(やはり、攻撃されている!?)


響也は反射的に、その場からとびのいた。


(距離を取る!!)


だが、下がった瞬間、今度は背中に鋭い痛みが走った。


「くうっ!!」


思わずうめき声が漏れだ。


ガクッと冷たいタイルの上に膝をつく。


背中に目が無いので分からないが、恐らく、肩甲骨あたりの皮膚が裂けて血が流れているに違いない。


「やっぱり、何かここにいるみたいだな.......」


響也は舌打ちを一つ打ってから立ち上がると、Death Scytheを再び構え直した。











「Death Scythe弐式.......、【死神の使い】」












全身銀色の金属で構成された、死神の鎌のような巨大な刃をもつDeath Scythe。


その刃の一部から、金属が切り離されて、二枚のディスク状の刃となった。


Death Scythを本体とする子機だ。


「行け、敵を探せ!!」


響也は子機に司令を与えると、【見えない敵】を探し始める。


(足と背中を切られた.......!! 何か刃物でも持っているのか.......!?)













































「安心しろ。こちらも、あの存在に手こずっているんだ」











響也の背後に、誰かが立った。


「はっ!?」


振り返る響也。


そこには、鬼丸が立っていた。


「鬼丸!!」


「ちょうどいい所にいたな。お前の力で、あの女を黙らせろ」
















その②に続く










補足


前回、鈴白響也は鬼丸と交戦して敗北しています。腕を切り落とされました。

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