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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
405/530

肉片となるまで その②

濃霧の中に見る


世界の秘密


爪研ぎ米とぎ


灰色の入道雲

2


四人は走る。


振り向けば、夜行が猛スピードで追ってきていた。


「うわ!! あいつ、どんだけ再生能力高いんッスか!?」


「ほんと、さっきの一撃も、瞬き程の時間しか稼げなかったわね」


クロナは走りなが考えた。


どうやって夜行の追跡から逃れるか。


一番手っ取り早いのが、「ここで倒してしまう」ということだが、残念ながら夜行の特性は【不死】。どれだけ攻撃を与えても、直ぐに再生してしまう。


(架陰が言うには『再生には限度がある』らしいけど.......、底も見えない再生能力と付き合う程効率が悪いことは無いわね.......)


やはり、逃げるのに限る。


「クロナ姐さん!! 来ますよ!!」


「おっけ!!」


八坂の合図で、四人は同時に振り返った。


夜行までの距離、約三十メートル。


「【明鳥黒破斬】!!!」


「【爆炎火矢】!!」


「【名銃・NIGHT BREAKER】!!」


クロナ、真子、そして八坂の三人で同時に攻撃を放つ。


まずは、クロナの【明鳥黒破斬】が夜行の身体を消し飛ばし、そこを、真子の炎の矢が通過して、肉片を燃やす。


ダメ押しとばかりに、八坂の弾丸が肉片をさらに細かく砕いていった。


だが、それでも攻撃の隙間をくぐった肉片は、より集まり、腕ほどの大きさとなって迫ってきた。


「コノヤロウ!!」


鉄平の鉄棍が、肉の塊をたたき落とす。


「死んどけ!! このゾンビが!!」


地面に落ちた肉を、鉄棍で何度も突き刺す。


グチャり、グチャりと、肉片は潰れていった。


「鉄平さん、下がってッス!!」


真子の声で、鉄平は攻撃を辞めた。


真子が、地面の上でひき肉になっている夜行に【炎の矢】を打ち込む。


燃え上がる肉。


焼肉にも似た香りが、辺りに漂った。


「これでいいッスかね?」


「わからん。だけど、時間は稼げただろうよ!!」


クロナの明鳥黒破斬で吹き飛ばし、真子の炎の矢で燃やし、八坂の弾丸で打ち砕いた。


これで直ぐに回復されてたまるか。


四人はそう思っていた。










だが。










「うっ!!」


突然、クロナの首の後ろに焼けるような痛みが走った。


「クロナ姐さん!?」


「なにこれっ!?」


手で触れる。


何やら、ぶよぶよとした感触が残った。


「気持ち悪い!!」


クロナはそれを鷲掴みにすると、勢いよく地面に叩きつけた。


途端に、ブチッ!! という音がして、クロナの首筋が燃え上がるように痛み始めた。


「何をされた!?」


クロナの首筋にくっついていたのは、肉片だった。


誰のものかは、直ぐにわかった。


砕かれた夜行の身体の一部が、自立してクロナの首の肉に固着しようとしたのだ。


「クロナ姐さん!! 首の裏の皮が.......!!」


首筋に張り付いた夜行の肉を剥がした拍子に、自分の首の裏の皮まで持っていかれたようだ。


皮が剥げた部分から、血管の形に沿って血が滲み、じわじわと流れ出した。


「うー、気持ち悪い.......」


背筋を伝う生暖かい感覚に、クロナは身震いした。


地面に落ちた夜行の肉はと言うと、ズブズブと他の肉片と寄り集まって、再生を開始する。


まずは頭を治したようで、地面から夜行の頭が生えるような形となった。


「イヒヒヒヒヒ、おもしれぇだろ?」


「気持ち悪いわ!!」


クロナは夜行の頭に刀を振り下ろした。


頭蓋骨と脳みそごと両断される。


しかし、直ぐに肉片はぐにゃりと形を変えて、クロナの【黒鴉】の刃にまとわりついた。


刃から夜行の眼球がギョロりと生える。


「無駄だぜ。オレは何度も砕いても死なねぇ.......」


「いい加減!! 死ね!!!」


クロナは刀をブンブンと振って、夜行の肉を振り落とそうとした。


だが、夜行は刃に固着して、全く取れそうにない。


「くっ!!」


「クロナ姐さん!!」


真子が矢を放った。


鏃に炎を纏った矢が、クロナの黒鴉の刃に直撃。一瞬で、肉を焼いた。


焼けた夜行は、ボロボロと崩れ落ちる。


「やっぱり、真子ちゃんの炎の矢は有効ね!!」


「当然ッスよ!! わたしの【名弓・天照】は最強ッスから!!」


だが、安心はできない。


ビュンッ!!!


と、風を切る音がして、クロナの右脚が裂けた。


「っ!?」


太い血管をやられたようで、血が勢いよく吹き出す。


夜行の肉片が形を【鎌】のような形に変形して、クロナを切り裂いたのだ。


「このっ!!」


鉄平が、鉄棍を使って夜行を叩き潰す。


だが、夜行の肉片は、それを読んだかのようにぐにゃりと形を変えて、鉄棍の攻撃をすり抜けた。


「っ!!」


槍の形となる夜行。


そのまま、鉄平の肩を貫いた。


「があっ!!」


「こいつ!! 自在に形を変えて!!」


八坂がライフルを構えたが、すぐ横に鉄平、クロナがいたため、引き金を引くことがはばかれた。


鉄平の肩に固着した夜行は、肉片から自分の口を生やした。


「イヒヒヒヒヒ、どうだ!? オレの力は!! まだまだ余裕だぜ?」














その③に続く



補足


鉄平の武器は【鉄棍】です。鉄棍とは名ばかりで、工事現場の鉄パイプを拝借しているだけです。

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