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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
403/530

夜行再び その③

まだ足りない


まだ足りないから


鉄鼠の脇腹に噛み付いて

3


「燃えろ!!」


真子が矢を射る。


勢いよくしなった弦から放たれた矢は、空気との摩擦で発火し、煌々と輝きながら夜行に迫った。


矢が夜行の脳天を射止める。


途端に、彼の頭を濡らしていた酒に引火。


夜行の上半身が炎に包まれた。


「ぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉおおおおおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉおおおおおぉぉおおおおおぉぉおおおおおぉぉおおおおおぉぉおおおおおぉぉおおおおおぉぉおおおおおぉぉおおおおおぉぉおおおおおぉぉおおおおおぉぉおおおおお!!!」


断末魔の叫び声をあげる夜行。


「どうッスか!?」


「真子!! 早く戻れ!!」


夜行を倒したかなんてどうかなんてどうでもよかった。


夜行の特性は【不死】なのだから、まず死なないのだ。


こうやって炎で焼いても、ただの足止めに過ぎない。


「とにかく!! 下がれ!!」


「はいッス!!」


真子は踵を返すと、再び、クロナ、鉄平、八坂と共に走り始めた。


四人の足音がコツコツと響く。


「夜行と交戦するのはまずい!! 確実に何人かは殺られるぞ!!」


鉄平がそう言った傍から、凍てつくような殺気が後方から迫ってくるのに気がついた。


「っ!?」


首だけで振り返る。


夜行が直ぐに目の前にいた。


「こいつ!!」


「イヒヒヒヒヒ!!!」


夜行は鉄平の頭を掴むと、体重を掛けて、地面に押さえつけた。


「鉄平さん!!」


「鉄平くんっ!!」


クロナ、八坂、真子は瞬時の判断で、鉄平を抑え込む夜行を包囲した。


夜行は歯を見せてにいっと笑うと、鉄平の頭皮に爪を立てた。


「おっと、それ以上動いてみな。こいつの頭蓋を、脳みそ事剥ぎ取るぜ」


「っ!!」


鉄平を人質に取られた。


三人は下手に手を出せなくなる。


「まあ、そんなに睨むなよ。オレは別に、お前らを直ぐに殺すつもりなんてないさ」


「直ぐに、殺す気は無い?」


要するに、【苦しませてから殺す】という意味だった。


クロナは腰の刀に手をかけたまま、ゆっくりと聞いた。


「一つ聞きたいことがある」


「ああ?」


「」


「城之内カレンは、どこにいる?」


「ああ、笹倉らが連れて帰った女のことか」


やはり、何か知っているようだった。


夜行は鉄平を抑えていない方の左手で、自身の頬をポリポリとかいた。


「知らねぇなぁ」


「嘘ばっかり!!」


「いや、本当に知らねぇんだよ」


そういうと、夜行は鉄平の髪の毛をむんずと掴み、持ち上げた。


凄まじい剛腕で、クロナに向かって投げつける。


「っ!!」


鉄平の身体がクロナに激突。


二人は受身をとることとままならず、地面に倒れ込んだ。


ハッとして顔を上げると、夜行が顔を真っ黒にして襲いかかってくる。


「爆炎火矢!!」


すかさず、真子が矢を射って、夜行の腕を吹き飛ばした。


「クロナ姐さんと鉄平さんには手は出させないッスよ!!」


「イヒヒヒヒヒ、なるほどね.......」


夜行は何が面白いのか、肩を震わせながら吹き飛ばされた自分の右腕を眺めた。


ぐっと力を込めると、断面から肉が生えて、彼の腕を再構築する。


「はい、治ったぜ」


(やっぱり、高度な再生能力.......、生半可な攻撃じゃ、直ぐに回復されるようね.......)


夜行は再生した腕を眺めながら、先程の話の続きをした。


「オレは別に、【悪魔の堕慧児】側じゃないぜ。元々は、SANAの研究機関で延々と人体実験に使われていた身だからな」


「じゃあ、なんで私たちを襲うの?」


「おいおい、勘違いしてんじゃねぇよ。UMAハンター側の人間でもねぇよ」


ぺたぺたと、裸足でこちら側に近づいてくる夜行。


クロナ、鉄平、八坂、真子も少しずつ、少しずつ後ずさりした。


「イヒヒヒヒヒ、悪魔の堕慧児が考えていることなんざ知らねぇ。オレはただ、『邪魔をするUMAハンターを殺せ』って指示されただけどからな」


そう言って、腕を振る。


その瞬間、彼の腕が触手のように伸びて、真子の首を掴んだ。


「うっ!!」


気道を潰された真子は、呻き声をあげた。


夜行は腕を収縮させて、真子をこちら側へと引きずり込む。


「アイツらの指示に従うのは胸糞悪いが.......、オレの大好きな【虐殺】ができるのは楽しいからな。迷わず乗ってやったぜ.......」


夜行はキリキリと真子の首を締めていく。


夜行はライフルを構えたが、夜行が真子を盾にしているために狙撃することが出来ない。


「てめぇ!! 真子を離せや!!」


「無理に決まってんだろ? オレの目的は【虐殺】だぜ?」


「このっ!!」


頭に血が登った鉄平は、ズカズカと夜行の方に近づいて行こうとした。


それを、直ぐにクロナが宥める。


「ダメよ。下手に刺激して、殺されたら.......」


「だけど.......」


「真子ちゃんを取られたのは、まずい状況よ。即刻に取り返すわ!!」











第120話に続く










補足


夜行は、悪魔の堕慧児の味方ではありません。もちろん、十年前に謀反を起こしているので、UMAハンターの味方でもありません。ただ、殺戮を楽しんでいるようです。

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