表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UMAハンターKAIN  作者: バーニー
342/530

新たな刀を その②

この腸を煮るのは


虚無の炎

2


「悪魔大翼!!」


モスマンの脳天に、架陰の刀が振り下ろされる。


モスマンはすぐ様、音の結界を展開させて斬撃を防ぎにかかった。


魔影による衝撃波と、音による衝撃波。


二つの衝撃波の衝突。


「はあっ!!」


腹のそこから雄叫びを上げて、架陰は刀をねじ込んだ。


魔影刀の漆黒の刃が、モスマンの結界を貫通する。


そして、モスマンの脳天を穿った。


グチャりと頭部が潰れて、青みがかった血液が飛び散る。


モスマンは苦痛のあまり、「キイイイイッ!!」と悲鳴をあげた。


耳を突く高音。


「くっ!!」


脳を直接刺激されるような感覚に、架陰の腕が固まった。


それでも、歯を食いしばって耐える。


「おおらあっ!!」


思い切り振り抜いた。









ザンッ!!!










頭から股にかけて、モスマンの身体が両断される。


「やった!」


モスマンはもう二度と叫ぶことも無く、羽ばたくことも無く、ただひとつの肉片となって地面へと落下していった。


ドチャッ!!


と、地面に肉片が落ちて、血肉が弾ける。


「何とか・・・、倒したか・・・」


架陰はほっと一安心して、能力を解除した。


架陰を抱いて飛行していたクロナが、彼を抱きしめたまま労う。


「架陰。よくやったわ!!」


「まあ、このくらいわけないですよ」


「あんた、ちょっと生意気になったよね?」


「そうですっけ?」


クロナの安全飛行で、そっと地面に降り立つ二人。


両断されたモスマンの死骸の前に立った。


「さて、問題は・・・、ここからですね」


架陰は名刀・赫夜を構えて言った。


今回の任務の目的は、【魔影石】を入手するということ。


魔影石とは、生物の突然変異を促す【DVLウイルス】が、体内で鉱石化したもののことである。


「鉄火斎さんが言うことには・・・、魔影石を体内に持っているローペンを食らうことで、生物濃縮が起きて・・・、モスマンの体内にも魔影石が出現しているってことですけど・・・」


とりあえず、腹の部分を割いてみる。


ピンク色の胃袋に、刃を差し込めば、どろりと先程食ったローペンの肉片が流れ落ちる。


「うーん・・・」


血肉が邪魔をして、魔影石が見つからない。


架陰は眉間に皺を寄せながら、モスマンの腹を掻き回した。


コツン・・・、と、刃の先に固いものが当たる。


「あ・・・!」


架陰は刀を引いて、中のものを抉り出した。


ゴロン・・・と、紫がかった黒色の石が転がりでる。


「あった!!」


「良かったわね」


架陰は血にまみれたそれを素手で拾い上げた。


ずっしりと重い。手のひらに収まりきらない。


「任務は完了ね・・・」


クロナはほっと息を吐くと、腰の鞘に刀を収めた。


架陰も、赫夜を鞘に収める。


「帰りましょうか・・・」


























「よくやった!」


架陰から魔影石を受け取った鉄火斎は、顔を綻ばせてそう言った。


「うん。ちょうどいい大きさだ!! これなら、お前の新しい刀を打つことができるぜ!!」


「それは良かったです・・・」


それから、鉄火斎は架陰と、その隣のクロナをしげしげと眺めて、顔を顰めた。


「それにしても、お前ら・・・、くせぇな」


「あ?」


すかさず、クロナが黒鴉の鞘で鉄火斎の頭を殴った。


「それ、女子に向かって言う言葉?」


「いや、事実じゃねぇか」


事実だった。


モスマンを至近距離で両断した時に、二人はその体液を浴びている。それが生臭いのだ。


「お前ら、その臭い体で、オレの家に入ってくんなよ」


「あ?」


クロナが刀を抜こうとした所を、アクアがなだめた。


「ほら、裏の五右衛門風呂で、湯を沸かしているから、入っておいで。ボディソープとかも用意して置いたから」


「え!! やった!!」


クロナは目を輝かせ、一瞬で怒りを忘れた。


アクアに手を引かれて、外に出ていく。


「あ、僕も・・・」


架陰も二人に着いていく。


「あんたは裏の滝にでも打たれてなさいよ」


「なんで僕の扱いそんなに雑なんですか?」


結局、クロナが風呂を出るまで、玄関の前で待つことになった。


「うう、臭いよ・・・」


鼻が曲がるような臭いに顔を顰めていると、玄関の引き戸が開いて、鉄火斎が顔を出した。


「おい、架陰」


「なんですか?」


「お前、今度の刀のデザインは何がいい?」


「何って・・・」


「オレ的には、あまり装飾は着けたくない。邪魔だからな」


「ああ、だから、赫夜に装飾を施していなかったんですか?」


「その通り」


そう言いながらも、架陰に三本の【柄紐】を渡す鉄火斎。


架陰はその三本を受け取って、眺めた。


「これは・・・」


「好きな色を選びな。それを、柄に巻いてやる」


色は三色。


黒色。


紫色。


赤色。


「うーん・・・」


以前使っていた赫夜には、柄紐は巻かれていなかったために、悩む。


「まあ、ここはあえて・・・、紫色ですかね?」


「なんでだ?」


「なんとなくですよ」


架陰は柄紐を鉄火斎に返す。


すると鉄火斎の方も、いきなり新しく打つ刀の名前を口にした。











「【叢雲(むらくも)】・・・」











「へっ?」


「決めた。お前の新しい刀の名前は、【名刀・叢雲】だ」











その③に続く



その③に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ