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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
341/530

【第101話】 新たな刀を その①

地平線の向こうの


白い光に目を細め


凍てつく空気に


肩をすくめるならば


進みゆく我らの旅路を


どうか薄暗く照らさんとして

1


やられた。


右肩に走る激痛と、飛び散る血液の熱を感じながら、クロナは歯ぎしりをした。


モスマンが羽を羽ばたかせて接近してくる。


すぐ様、クロナも翼を羽ばたかせて急降下。


「架陰!!」


「はい!!」


架陰はクロナが降下してくるタイミングに合わせて、魔影刀で地面を叩いた。


粉塵を発生させて、モスマンを寄せ付けない。


「よくやった!!」


クロナは、架陰の俊敏なサポートを褒めると、能力を解いて地面に降り立った。


その瞬間、力が抜けて、ガクッと膝をつく。


右肩にぽっかりと空いた穴から、ぼたぼたと血液が流れ落ちた。


「クロナさん、その傷は・・・!!」


「やられた・・・」


クロナは、着物の袖から回復薬を取り出すと、一口かじった。


舞い散る砂煙の中、説明する。


「モスマン・・・、あいつ、衝撃波を極細にして放ってきた・・・」


「極細・・・?」


「おかげで、貫通力が増して・・・、この様よ・・・」


「動けますか?」


空中を飛行するモスマンに打点があるのは、同じく翼を持つクロナだけだった。


「何とかね・・・」


クロナは額に脂汗をかきながら頷いた。


回復薬を摂取したおかげで、出血は収まった。今に、傷口も再生していくことだろう。


「能力も問題なく発動できる。だけど、右肩がやられたから、左手で刀を持つことしかできないわ・・・、明鳥黒破斬の威力は確実に落ちるわね・・・」


「どうしましょう・・・」


その瞬間、再び上空からキリキリという音が聞こえた。


架陰は蹲るクロナを肩に担ぐと、その場から飛び退く。









ドンッ!!!










二人が立っていた地面が粉砕した。


(厄介なのは、あの衝撃波か・・・。それと、モスマンの周りを取り囲む【音の結界】・・・)


砂煙を舞わせて置けば、衝撃波の軌道は分かる。


躱すことも容易。


だが、問題は、モスマンを守っている結界だ。


(どうする・・・!!)


架陰は下唇を噛み締めた。


衝撃波の隙をついて、モスマンに接近できるのはクロナのみ。


しかし、今のクロナでは、モスマンの音の結界を敗れるほどの火力を出すことができない。


「架陰・・・!!」


クロナが苦痛に顔を歪めながら言った。


「あんた、体重何キロよ・・・?」


「え、体重?」


なぜそれを今聞くのか。


「ええと、五十キロくらいだと・・・」


「私と体重が近いの、なんかムカつく・・・」


「は?」


「とにかく、軽いのね」


「はい。平均よりかは、軽いかと・・・」


「よし、じゃあ、こうするわよ!!」


その瞬間、クロナは自立すると、架陰の背後に回り込んだ。


そして、架陰の胴回りをぎゅっと抱きしめる。


「えっ!? 何しているんですか!!」


「いいから!! 暴れないでよ!!」


そう念を押すと、クロナは再び能力を発動させた。


クロナの背中から、漆黒の翼が生える。


それを羽ばたかせて、クロナは一気に上昇した。


「うっ、わあああ!!」


いきなり空に連れ去られるものだから、架陰は思わずじたばたした。


クロナはそれを抑えるために、さらに架陰を抱きしめた。


「いい? 私が架陰を支えて飛ぶから、あんたはモスマンを仕留めなさい!!」


「わ、分かりましたよ!!」


顔を上げれば、モスマンが近づいてくる。


「すみません、もう少し力を緩めてください!!刀が構えられません!!」


「落ちないでよね!!」


クロナはすっと力を緩めた。


架陰は刀を下段に構えて、能力魔影を発動する。


滑稽な状態だ。


架陰の胴回りにクロナが手を回し、彼を支える。よって、架陰が使えるのは上半身のみ。


クロナは、架陰の背中あたりに顔と胸を押し付けることとなり、気恥しさを隠すのに精一杯だった。


翼を羽ばたかせて、上手く体勢を整える。


「モスマンが来ました!! 右に旋回お願いします!!」


「了解!!」


前方を見ることができないクロナは、架陰の指示の元に動く。


「もう少し右に!!」


「はいよ!!」


一撃で決める必要があった。


モスマンの攻撃の合間を抜い、モスマンの音の結界を破壊できる程の威力をたたき出す。











「【能力】・・・【魔影】!!!」











空中で魔影を発動。


漆黒の霧のような物質が、架陰の刀の刃にまとわりついた。


漆黒の大剣。


「よし!! これでいける!!」


モスマンが衝撃波を放つ。


クロナはすぐ様上空に飛んで回避した。


モスマンよりも上を取り、真上から一気に急降下。


「行くぞ!!」


結界が発動するギリギリの所まで接近した架陰は、渾身の一撃をモスマンに叩き込んだ。












「【悪魔大翼】!!!!」











魔影を纏わせた刃が、モスマンの頭に振り下ろされる。


手の中に残る、音の結界の反発。


それを振り切り、架陰は刀をねじ込んだ。


「はあっ!!」


ついに、モスマンの頭蓋に刀が叩き込まれた。











ドンッ!!!










衝撃波が、モスマンの額を穿ち抜いた。














その②に続く

その②に続く

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