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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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無音領域 その③

朝方の霜のような愛情を


蓮華に込めて

3


「ここで仕留めるわよ!!」


「はい!!」


モスマン攻略の糸口を見つけた二人は、一気に畳み掛けた。


まず、架陰が地面に斬撃を打ち込んで煙幕を張る。


複眼を持つモスマンにとって、この砂埃は視界を奪うだけでなく眼球に激痛を走らせるもの。


直ぐに羽を羽ばたかせて後退した。


だが、逃がすまいと、クロナが能力【黒翼】を発動して、空中のモスマンに襲いかかる。


「私の能力なら!! 空中戦に持ち込める!!」


モスマンとの間合いを詰め、刀を振り下ろした。


しかし、クロナの黒い刃は、見えない力によって押し戻される。


「っ!!」


クロナは一度刀を引いて、モスマンから距離を取った。


「厄介なのは、あの【音の結界】・・・!!」


モスマンは、三種類の衝撃波を使っていることが判明した。


一つ目は、【攻撃】に用いられる、低音質の衝撃波。


二つ目は、一つ目の低音質の衝撃波に混ぜて放たれる高音質の衝撃波。これは、モスキート音に分類されるために、耳での判別は不可能。


そして、三つ目が、この【音の結界】だ。


これも、また、モスキート音と同じく、常人の耳には聞こえない超高音の音。それが、モスマンの周りを取り囲んでいるために、攻撃を打ち込んでも、軌道が逸れてしまうのだ。


「どうする・・・?」


簡単な話だ。


音の結界でも防ぎ切ることができない、超高火力の一撃を叩き込めばいい。


しかし、クロナの【明鳥黒破斬】では火力不足だった。


「架陰!!」


クロナは地上の架陰を呼んだ。


「なんでしょう!?」


「あんたの【悪魔大翼】で、モスマンの音の結界は貫けるかしら?」


「分かりません!!」


架陰は、はっきりとそういった。


「先程は防がれています!!」


「じゃあ無理じゃない!!」


「ですが、もう少し出力を上げれば何とかなるかも!!」


「出力を?」


そんなことができるのか?


そう思い、気を抜いた瞬間、クロナにモスマンが襲いかかっていた。


「っ!!」









ギンッ!!!










モスマンの蹴りを、何とか黒鴉の刃でいなすクロナ。


若干空中でバランスを崩したものの、背中の翼を使って体勢を整える。


「くっそ!! 人が話している時に攻撃して来ないでくれませんか!!」


そんなことを言ったって、UMAのモスマンには届かない。


モスマンの羽がジリジリと音を立てて振動し始めた。


クロナは身構える。


(なにか攻撃が来る!!)


すぐ様、架陰に呼びかける。


「架陰!!」


「はい!!」


架陰は、再び、魔影刀を地面に叩き込んだ。








ドンッ!!!










地面が粉砕して、土煙が立ち込める。


それは風に流されて、空中のクロナとモスマンの方まで漂ってきた。


それと同時に、モスマンが、口から衝撃波を吐いた。


「来た!!」


クロナは意識を空中を漂う粉塵に集中する。


フラフープの輪のような形となって迫る衝撃波が、辺りの砂煙を祓って行く。


砂煙さえ漂っていれば、衝撃波の起動は簡単に読むことが出来た。


「はあっ!!」


身体を右に傾けて、二種類の衝撃波を躱すクロナ。


「よし!」


成功だ。


あとは、モスマンの周りを漂う音の結界を何とかするのみ。


(とりあえず、色々叩き込んでみるか・・・)


能力の扱いに慣れてきたクロナは、翼の稼働と体重移動で、モスマンの周りを自由自在に飛び回った。


モスマンが隙を作れば、容赦なく刀を叩き込んでいく。


しかし、その全てをモスマンの周りを取り囲む音の結界によって阻まれてしまった。


「くっ!!」


奥歯を噛み締めて、退るクロナ。


見かねた架陰が、地上から刀を振った。











「【悪魔大翼】!!!」











魔影を凝縮させて形成した、三日月形の斬撃がモスマンに迫った。


しかし、モスマンは動かない。


斬撃はモスマンの命に届く前に、軌道を変えて後方に流れていった。


「くそ!! また外した!!」


「架陰!! 下手に動かないで!!」


クロナは架陰にピシャリと言った。


(必ず、必ずあるはずよ。モスマンの弱点をつくことができるなにかが・・・!!)


だが、その何かが分からない。


モスマンから、再びキリキリと音が放たれた。


「架陰!!」


「はい!!」


架陰は魔影刀を地面に打ち込んで、砂煙を発生させ、飛んでくるであろう衝撃波を視認できるようにした。


クロナもまた、モスマンから距離をとって衝撃波に備える。











バシュッッ!!










聞いたことが無い音が響いた。


その瞬間、クロナの右肩に激痛が走った。


「っ!?」


生温いを通り越して、熱い液体がクロナの頬に飛び散る。


それが血液だと気がつくのに時間はかからなかった。


見れば、肩にぽっかりと穴が空いていた。


「何っ!?」


「クロナさんっ!!」


「くっそ!!」


クロナは直ぐに急降下してモスマンから距離を置いた。


「やられた!! モスマン、まだ技を隠していた!!」










第101話に続く

第101話に続く

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