表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UMAハンターKAIN  作者: バーニー
303/530

名刀・黒葉月 その②

日輪が


蜥蜴の嘘を剥いでいく

2


ほとんど、やけくそだった。


スフィンクス・グリドールは、鉄平や葉月のことを舐めてかかっている。「いつでも倒せる」「直ぐに倒せる」と思っている。


それは事実だ。


確かに、鉄平と、葉月、そして山田が束になってかかったとしても、あの四天王のスフィンクス・グリドールとの間には天と地程の差があった。


だから、今は「倒す」ということよりも、「逃げる」ということを優先させるべきだったのだ。


スフィンクス・グリドールへと勝利条件。葉月達に与えられた【ハンデ】とはそれだった。


どれだけ、スフィンクス・グリドールの隙を狡猾に突いて、どれだけ遠くに逃げられるか。










そのことだけを考えて、葉月はスフィンクス・グリドールに攻撃を仕掛けていた。


彼に振った斬撃の全てが【陽動】。


だが、虚無の刃に【殺意】が無いことを勘づかれたようだ。


スフィンクス・グリドールは、ニコニコと笑い、「全て見えている」「君、なにか仕掛けようとしたでしょ?」と言う。










バレているのなら、気づかれているというのなら、見てもらおうじゃないか。


「名刀・黒葉月・・・」


葉月は、刀を勢いよく地面に突き立てた。










「能力!! 発動!!!!」










その瞬間、彼女の刀の刃が淡く光った。


百合班に支給される【武器】のほとんどが【能力武器】だ。


特殊能力を持つUMAの素材を利用した、能力を使うことができる武器。


班長の香久山桜なら、【名刀・ソメイヨシノ】。


三席の三島梨花なら、【名刀・葉桜】。








そして、四席の葉月は、【名刀・黒葉月】。










「落葉操作!!!」


彼女の声に反応して、地面に落ちていた枯葉が浮かび上がった。


「っ!!」


スフィンクス・グリドールの興味が葉の方に移る。


「へえ、その武器、能力を使えるんだね」


「そうです!!」


刀から発せられる念力で浮かぶ落葉達は、ぐるぐるとスフィンクス・グリドールの周りを旋回し始めた。


「これ、目くらましのつもりかな? さっきも、君の班の女の子で似たような術を使ってくる子がいたんだけど・・・」


「班長の香久山桜さんのことですね。彼女の【ソメイヨシノ】は、桜の花びらを操ります・・・、その使用用途は、確かに目くらましです」


刀の能力を利用して落ち葉を操る葉月の目が光った。









「ですが、私の刀の能力は、【目くらまし】ではありません。れっきとした【攻撃】です!!」













その瞬間、スフィンクス・グリドールの周囲を旋回する落葉達に異変が起こった。


パキパキ、パキパキ・・・。


まるで、硬いプラスチックを砕くかのような乾いた音が響いた。


焦げ茶だった落ち葉が、みるみるうちに、漆黒の葉へと変色していく。


「っ!!」


これには、スフィンクス・グリドールも息を呑んだ。










「私の【黒葉月】の能力は、【落葉操作】。ですが、ただ落ち葉を操るだけじゃありません。落ち葉を、【硬質化】させます!!」










「へえ・・・」


スフィンクス・グリドールは、にまっと笑った瞬間、手刀を旋回する落葉に向かって振った。


血が飛び散る。


「っ!!」


弾き返せなかった。


それどころか、手の甲が切り刻まれ、血塗れになった。


「やばいね、これ」


「残念でしたね。硬質化した落葉の強度はナイフ並ですよ? 貴方の薄皮程度、簡単に引き裂けます!!」


そう叫び、葉月は、さらに刀を地面深くに突き立てた。


「行け!!」


彼女の司令に反応して、落ち葉たちがいっせいに、スフィンクス・グリドールに向かって襲いかかった。


「甘いよ・・・」


スフィンクス・グリドールは、白衣を仰いで、その硬質化した落ち葉の軍勢を払い除けた。


「僕の白衣は、君たちの着物と同じ【戦闘服】だ。ナイフ程度の刃物じゃ、簡単には切り裂けない!!」


「まだまだ!!」


葉月は、意識をさらに集中させて、払い除けられた落ち葉を操った。


だが、落ち葉が体勢を整えるよりも先にスフィンクス・グリドールがその包囲網を抜け出す。


「なかなか素晴らしい能力だね。囲まれたら脱出は容易じゃない・・・」


「くっ!」


真っ直ぐに、葉月の方へと迫ってきた。


葉月は、スフィンクス・グリドールから目を離さずに後退した。


「少し疑問に思うことがあるんだけど・・・」


「っ!!」


「君、この能力をどうして隠してたの?」


その言葉に、動揺が、葉月の全身を駆け巡った。


「素晴らしい能力だ。だけど、使うのが遅い。遅すぎる。最初からこの能力を使っておけば、僕の意表をつけていたかもしれないじゃないか・・・」


ぬうっと伸びてきた手が、葉月の首を鷲掴みにした。


グイッと、葉月の体が宙ぶらりになる。










「もしかして、なにか他に作戦があるのかな?」













四天王の前には、全てがおみとおしだった。










その③に続く





その③に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ