表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UMAハンターKAIN  作者: バーニー
297/530

獣 その②

孤高の狼の


白濁とした視線を


貫く流星の


舞い落ちる木の葉を

2


「さあ、答えてもらうよ。市原架陰くんについて、一から十まで・・・」


そう言って、スフィンクス・グリドールは華奢な指を返し、鉄平を挑発した。


鉄平は、鉄棍を杖代わりにして立ち上がる。


そして、ギロリとスフィンクス・グリドールを睨んだ。


「てめぇ、オレの大好きな架陰のことを知りたいなら、いくらでも答えてやるが・・・、なんのつもりだよ・・・」


「分からないか?」


スフィンクス・グリドールは、顎に手をやった。


風が吹き抜け、彼の身にまとった純白の白衣を揺らした。


「僕は【スフィンクス・グリドール】・・・、科学者だよ?」


「・・・、科学者?」


「ああ。あまり知られていないけど・・・、僕は、UMAハンターの中で最強格とされる【四天王】でありながら・・・、SANA未確認生物研究機関・・・、主に調査チームのリーダーでもあるんだよ?」


つまり、スフィンクス・グリドールは、最強の戦士でありながら、最高の研究者であるということだ。


ちなみに、その【調査チーム】には、桜班分署に務めている【平泉】や、【鑑三】も含まれている。


「運び込まれたUMAの死体や検体は、全て、僕の指示の元で調査、研究がなされる。桜班にもいるよね? 【平泉】っていう研修者が。彼すらも、僕には顔が上がらない」


「平泉・・・?」


鉄平はあまりピンと来ていないようだ。


スフィンクス・グリドールは、「やれやれ」と言いたげに肩を竦めた。


「そうだよね。椿班は、そういうところに興味が無いよね?」


「なんだと?」


「だってそうだろう? 君たちの班が持ってくるUMAの死体・・・、全部ぐちゃぐちゃじゃないか。どうせ、その右手に握っている頭の悪そうな武器でなぶったんだろ?」


「・・・っ!!」


鉄平は、鉄棍を強く握りしめた。


【鉄棍】とは名ばかりで、見た目はただの鉄パイプ。小回りは効くが、殺傷能力が低いせいで何発も殴らなければならなかった。


「いいじゃねえか!! オレはこの武器が気に入ってんだよ!!!」


「もう少し賢い武器はないのかい? 斬撃系統・・・、狙撃・・・。打撃なんて論外だ。肉を潰されたら形状が保てないし、品質も悪くなる」


「・・・っ!!!」


鉄平は、歯ぎしりをした。


ずんずんとスフィンクス・グリドールに近づく。


葉月が慌てて、赤スーツの袖をつまんだ。


「やめましょう!! とにかく、このお方は、【四天王】ですよ?」


「うるせぇ!!」


鉄平は、葉月の手を払い除けた。


「オレはな、そう言って効率だの理論だの並べて口で負かそうとしてくるやつが一番嫌いなんだ・・・」


「おや、少し言いすぎたかな? 気を悪くしたのなら謝ろう・・・」


「そういう問題じゃ、ねえんだよ!!」


そう叫ぶと同時に、鉄平は鉄パイプを振り上げてスフィンクス・グリドールに襲いかかった。


「やれやれ」


スフィンクス・グリドールの瞳が赤く光った。


パシッ!! と、鉄平が振り下ろした鉄棍を受け止める。


「口で勝つ以外に、【武力】で勝つ方法があるのかい? 椿班の班長ごとき君に・・・」


「うるせぇや!!!」


鉄棍を防がれた状態のまま、鉄平は身を捩って蹴りを入れた。








ドンッ!!










鉄平の蹴りは間違いなく、スフィンクス・グリドールの腹に直撃した。


しかし、強靭な腹筋によりビクともしない。


「っ!!」


「言っただろ? 僕は【四天王】であり、【科学者】であるって・・・」


鉄平の腹に、スフィンクス・グリドールのカウンターが炸裂した。


ボコッと、腹が凹み、胃の中がうねる。


「がはっ!!」


鉄平は殴り飛ばされた。


「鉄平さんっ!!」


彼の背中が木に激突するよりも先に、葉月が鉄平を受け止めた。


「大丈夫ですかっ!?」


「・・・、大丈夫じゃねえ・・・」


その瞬間、鉄平の口から噴水のように血が吹き出した。


その血が、彼を抱きしめていた葉月の頬にビチャリとかかる。


「内臓・・・、破裂した・・・」


「・・・!!」


生暖かい感触に、背筋がゾッとする。


容赦が無い。


あの時、スフィンクス・グリドールから【殺気】は感じなかった。


まるで童部と戯れるように、拳を放っただけ。


それだけで、鉄平の致命傷になっていたのだ。


(くそ、まずいぜ・・・)


鉄平は腹を抑えた。


(オレの【回復薬】は、軟膏系・・・。即効性がある分、塗った部分にしか効かない・・・)


つまり、内蔵をやられた鉄平には効かないということだった。


「わかってるよ」


スフィンクス・グリドールはニコニコと笑っていた。


「椿班に支給されている【回復薬】は、【椿油】。軟膏系の回復薬だ。つまり、今僕が破裂させた胃袋は、それでは治すことが出来ない・・・」


手首を返して、「おいでおいで」をする。


「さあ、こっちへおいで。僕は回復薬を沢山持っているんだ。君が市原架陰について知っていることを全て教えてくれたら、治してあげる・・・。悪くない話だと思うんだが? 君に失うものはないだろう?」










その③に続く




その③に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ