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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
289/530

八咫烏 その③

喉を焼く寒冷の


茨刺す花道


鉄を飲み込み進むは


三叉路の果て

3


能力は、【イメージ】が全てだ。


頭の中に、自分がその能力を使いこなして、縦横無尽に駆け回っている姿を映し出す。


「今なら・・・、行ける!!」


イメージは固まった。


翼はできるだけ動かさない。ほんの一扇ぎでいい。


それだけで、クロナの身体はどこまでも飛翔する。


(力を貸して!! お兄ちゃん!!!)


そう心の中で叫ぶと同時に、クロナは背中の翼を羽ばたかせた。


ぶわっと、巻き起こった突風がクロナを押し上げる。


スピードは抑える。機動力を重視する。


地面をスレスレに滑空して、香久山桜へと切り込んだ。









ギンッ!!!!










クロナの振り下ろした刀は、香久山桜の薙刀によって受け止められた。


「まだまだ!!」


クロナはさらに翼を羽ばたかせた。今度は、機動力を捨て、スピードに注ぐ。


ずんっ!!と、クロナの刀に重みが加わった。


香久山桜は歯を食いしばって耐えるが、翼で動力を得るクロナの力を殺しきることが出来ない。


少しずつ、足が下がっていった。


「くっ!!」


ダメだ。


単純な力較べでは、黒翼でブーストがかかっているクロナの方が有利。このまま押しあっていても、力尽きるのは香久山の方だった。


「はあっ!!」


香久山桜は、身を捩り、勢いを後方に流した。


クロナの背後に回り込むと、薙刀を振る。










ギンッ!!!!










クロナも瞬時に反応して、黒鴉の黒い刃で弾いた。


(・・・、私の斬撃に反応してくる・・・!!)


もはや悠長に戦うことは出来なかった。


香久山桜は、電流に触れたかのように後ずさると、地面に薙刀の刃を突き立てた。


「一気に勝負をつけさせて貰うわよ!!」


能力を発動させた。












「名刀・ソメイヨシノ!! 【桜花吹雪】!!」











まるで、絵の具の溶かした水をぶちまけるかのように、地面が薄紅に染まった。


その染まった地面から、桜の花びらが湧き出し、辺り一面を薄紅の世界に染め上げた。


クロナは身構えた。


(また煙幕!!)


厄介な能力だ。


地面から、桜の花びらを舞わせて敵の視覚を封じる。しかも、能力の発動者は花吹雪の影響を受けないと見た。


「だけど、全部ふきとばす!!」


クロナは、目の前で絢爛と舞う花びらに向かって翼を仰いだ。


突風が発生して、花弁を消し飛ばす。


開けた視界から香久山桜が飛び出して、クロナに向かって薙刀を振り下ろした。









ギンッ!!!!










二人の刃が触れ合った瞬間、眩い火花が散った。


「っ!!」


「くっそ!!」


「もう一発!!!」


香久山は空中で身を捩り、もう一撃をクロナに浴びせた。











ギンッ!!!!











二撃目には耐えられず、クロナは吹き飛んだ。


しかし、背中に生えた翼を利用して踏みとどまる。


(なかなか便利ね・・・、この能力・・・)


響也の【死神】の能力が、超攻撃特化ならば、クロナの【黒翼】の能力は、超機動力特化。


この世界全てがクロナの戦場。


二次元ではなく、三次元的に世界を捉えることができる。


香久山は焦れったい気持ちを抑えながら、冷静に追撃をした。


「もう終わりよ!!」


「まだまだ!!」


クロナに振り下ろされた刃。


クロナは背中に生えた翼の片側に意識を集中させて、自分を包み込んだ。










ギンッ!!!!










クロナを覆った翼が、彼女を斬撃から護る。


「っ!!」


香久山の顔がサッと青ざめた。


「いけえっ!!」


渾身の力で、翼を広げる。


香久山の身体は、翼が戻る時の反動で吹き飛んだ。


空中に放り出された、香久山の身体。


「しまった!!」


空中では、身体が極端に無防備になる。


(防げない!!)


「行くわよ!!」


クロナは、名刀・黒鴉の柄を握りしめた。


黒い刃が、ドグンッ!!と脈を打ち、まるで、寒冷な場所に放り出されたかのように震えた。


ザワザワとした感触と共に、刃から黒い羽が生える。


一瞬にして、黒鴉の刃は、大翼の形に変化した。


「これで決める!!!」


そして、香久山桜に狙いを定めると、刀を一閃した。











「【明鳥黒破斬】!!!」











振り切った時の勢いで、刃表面から生えた、硬質な黒羽が射出される。


無数の黒羽が空気を裂きながら、空中の香久山桜に迫った。


「くっ!!」


香久山は空中で最後の力を振り絞り、薙刀を高速で振って、黒羽を叩き落とそうと試みた。









しかし、直撃。










第85話に続く

第85話に続く

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