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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
283/530

黒羽 その③

埃散る図書館の


紙の香りに紛れても


その艶やかな黒羽は


物語を留めている

3


(さて、どうするか・・・)


クロナは、香久山桜に攻撃をしかけながら考えた。


百合班・班長の香久山桜は、クロナよりも遥かに格上。一撃の重みも、身体の動かし方も、クロナを凌駕している。


現に、クロナが仕掛けるこの攻撃も、見切られて全ていなされていた。


(全力で行かないと・・・、とられるわね・・・)


幸い、クロナの背後には真子が控えている。


彼女が、隙を見た狙撃で援護をしてくれるからこそ、クロナは自身の力を発揮することができていた。


(この人を倒すためには・・・、やっぱり【明鳥黒破斬】を叩き込むしかないか・・・)


クロナの愛刀【黒鴉】が放つことかできる強力な必殺技。


刀身から硬質化した羽を生やし、振り切ることで散弾銃のような広範囲攻撃を行うことができる。


しかし、明鳥黒破斬は、一度のチャージで四発しか打つことが出来ない。


頃合は見計らうべきだった。


「ふっ!!」


呼吸を整え、香久山へと斬り込む。


香久山桜は、余裕の笑み。まるで、幼子を相手にしているかのように、薙刀で攻撃を受け流した。


「ちゃんと狙いなさい。UMAはこんなふうに悠長じゃないわよ」


「そんなことっ!!」


香久山桜、ふわりと飛んだ。


「さて、そろそろ奥の手と行こうかしら・・・」


そう合図をすると、握っていた薙刀をクロナに向かって投げた。


クロナは地面に広がった水たまりを避けるかのように後方に跳んだ。


そこに、薙刀の刃が突き刺さり、ビンッ!!としなった。


「行くわよ。【ソメイヨシノ】!!」


香久山の合図で、薙刀が保有している【能力】が発動した。


刃が突き刺さった地面を中心に、淡いピンク色の光が広がっていく。


「っ!!」


「桜花吹雪!!」


香久山桜が指を鳴らした合図で、薄紅の地面から、まるで、煙か発生するかのように、爛漫の桜の花びらか吹き出した。


「っ!?」


クロナは身構えた。


やはり、先程、逃げるクロナたちの行く手を阻んだのはこの女の【薙刀】の能力だったのか。


「ソメイヨシノの能力は、【桜花吹雪】・・・。この美しい花びらか、あなたの視界を封じるわ!!」


舞い散る花びらは、みるみると広がり、クロナを巻き込んだ。


視界が一瞬にして、薄紅に染まる。


(何も見えない!!)


視覚だけでは無い。


平衡感覚の欠如。つまり、ホワイトアウトのことであった。


(まさか、カレンさんもこれでやられたの!?)


何も見えないクロナの背中に鋭い痛みが走った。


遅れて、血が吹き出す。


「斬られた!?」


いつの間にか、背後には香久山桜が立っていたのだ。


「【桜花吹雪】は、いわばソメイヨシノの専売特許。これを握っている間は、私のみに視覚は開けるのよ」


「くっ!!」


クロナは、声を頼りに刀を振った。


しかし、空を切る。


「だったら!!」


唯一感じ取ることができる、この冷たい地面を蹴ると、大きく後退した。


「この辺りの桜全部!! 吹き飛ばしてやるわ!!」


そう意気込んで、黒鴉の柄を強く握りしめた。


クロナの握力に反応して、黒鴉がドグンッ!!と脈を打った。


刃が「生気」を発して、ザワザワと揺れ始める。


そして、黒い刀身は、硬質化した羽に覆われた。










「【明鳥黒破斬】!!!!」










一閃。


刃から、無数の羽が放たれ、辺りに舞い散る桜の花びらを全て吹き飛ばした。


霧が晴れたように視覚が開け、黒鴉の羽を数弾被弾した香久山桜が姿を現した。


「なるほどね・・・」


桜は、腕に刺さった羽を抜く。あまり深く刺さっていないために、出血は少なかった。


「それが、あなたの刀の能力・・・」


「そうよ!! これが私の刀!! 【黒鴉】よ!!」


道が開けたクロナは、一直線に香久山桜に向かっていった。


桜は、クスッと微笑む。


「凄いわ。とっても綺麗。漆黒の翼・・・」


そう言って、再び薙刀を地面に突き刺した。


「ねえ、もう一度見せてよ・・・」


その瞬間、再び地面から桜花吹雪が湧き出した。


「っ!? 再展開した!?」


「桜花吹雪は、刃を地面に突き立てれば無限に使えるのよ」


再び、クロナは薄紅の世界へと突っ込んでいく。


(ダメだ!! 落ち着け!!)


クロナの黒鴉の【明鳥黒破斬】は、四発が限度。そして、既に二発を消費している。それも、この花吹雪を払うためだけに。


(無駄打ちしたらダメだ!! どうにかして、これを消さないと!!)











桜花吹雪の外にいた真子は、弓矢を構えたものの、打ちあぐねていた。


「どうしようっス・・・、クロナさんの場所か特定出来ないっス・・・」


クロナは今、香久山桜が発動した能力に包まれている。助けたいのは山々だが、下手に打てばクロナを傷つけかねない。


「どうするっスか・・・」


その瞬間、桜花吹雪のなかから、香久山桜が飛び出した。


「え?」


桜は、一直線にこちらに向かってくる。


「先に、あなたを仕留めさせて貰うわ・・・」











第83話に続く



第83話に続く

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