表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UMAハンターKAIN  作者: バーニー
281/530

【第82話】黒羽 その①

背中に翼が生えた友人は


太陽を目指して飛んで行った


黒焦げた友人を見た私は


月を目指して飛んで行った

1


(さて、どうする・・・)


立ち塞がる百合班の二人を前にして、クロナは冷静になって考えた。


倒すべき、または撒くべき相手は、百合班班長【香久山桜】。同じく百合班副班長【狂華】。


その格上相手に、三席二人。四席一人が立ち向かわなければならないのだ。


(素性が分からないわね・・・)


先程、逃走した三人を阻んだ桜花吹雪。


恐らく、あの二人のうちの一人の武器の能力と見るべきだろう。


能力は、「桜花吹雪を舞わせて、敵の視界を奪う」。といったところ。しかし、他にも、あの能力を応用させて攻撃してくる可能性もある。


(とりあえず、様子見ね・・・)


クロナは、懐からプラスチックの玉を取り出した。


「煙玉!!」


それを、香久山達に向かって投げつける。


「二度は喰らわないわ!!」


香久山は、薙刀を一閃して、刃の嶺の部分でそれを弾いた。


カツンッ!!と、乾いた音を立てて、煙玉が明後日の方向へと飛んでいく。


その隙に、クロナが切り込んだ。


(あれは陽動よ!!)


「なるほど、陽動だったか・・・」


香久山桜は、瞬時に切り替えると、クロナの振り下ろした刀を受け止める。










ギンッ!!!










ぶつかり合う薙刀と、日本刀の刃。


「さて、どちらが強いか、力比べと行きましょうか!」


香久山桜は、嬉しそうな表情を浮かべると、薄紅の薙刀を指先で回転させた。


「名刀!!【ソメイヨシノ】!!」










歴代の合戦の戦場にて、一番活躍した武器は、日本刀でもなく、火縄銃でもない。


日本刀は、美術品として重宝された。火縄銃は、生産技術が追いつかず、多用することが不可能だった。


ならば、一番戦場で戦果を上げた武器はなんなのか?


それは、【槍】であった。


槍は、リーチが長いために、安全に敵と切り結ぶことが出来る。さらに、長い柄のしなりを利用すれば、強力な破壊力を発揮する。








その槍の威力の系統を、薙刀は引き継いでいる。










ギンッ!!!










「くっ!!」


一度触れただけで、クロナの身体が吹き飛ばされていた。


(この人・・・、強い!!)


筋力だけでは無い。あの薙刀の力を余すことなく発揮している。


わざと、柄を長く持って振ることで、柄のしなりを利用して一撃の重さを底上げしている。


リーチの短い日本刀では、受けるのに一苦労だった。


「ふっ!!」


クロナは、手を着いて着地。


桐谷がクロナの横にたった。


「おい、無理すんなよ!!」


「ダメよ!! 無闇に切り込んじゃダメ!!」


今にも飛び出して行きそうな桐谷を何とか宥める。


相性が悪い。


特に、桐谷の【甲突剣】はそうだった。


無闇に踏み込めば、あの広い射程距離を持つ薙刀の刃の餌食だ。


それに、まだ香久山桜の隣には狂華が控えている。


彼女も、何を仕掛けて来るか分からない。










真子がもどかしそうな声を上げた。


「だったら!! これっス!!!」


十本の矢を弦に掛けると、天に向かって放った。


「【名弓・天照】!! 【日輪煌々】!!!」


炎を纏った矢の雨が、香久山桜達目掛けて降り注ぐ。


「っ!!」


香久山は、薙刀を天に向けると、高速で回転させて矢を弾いた。


その隙を突いて、桐谷が斬りこんだ。


「スキありいっ!!」


矢を防ぐためにがら空きになった香久山の腹目掛けて、【甲突剣】の鋭利な鋒を放つ。


その瞬間、狂華が着物の袖から暗器を放った。


「っ!!」











ギンギンギンッ!!!










何とか、三本のナイフを弾く。


「くっそ!!」


「お前に桜さんは触れさせない!!」


狂華は、刃が付いた下駄で踏み込むと、桐谷に向かって高速の蹴りを放った。


身軽な桐谷は、バックステップを踏んでそれを躱す。


「くっそ!! パンツ見えてんぞ!! このびっち!!」


「あんたら薔薇班は、そういう乱暴な言葉遣いを教えて貰っているのか!!」










ひとまず、狂華の相手は桐谷。ということでいいだろう。


クロナは、桐谷が狂華を引き付けている隙に、大将の首を取りに向かった。


香久山は、桐谷の相手を狂華に任せて、自分は向かってくるクロナを処理しにかかる。


「あの子は任せたわよ。狂華・・・」


薙刀を長く握り、大振りで一閃した。


クロナは、攻撃のタイミングを計らい、上へと跳んで躱した。


(リーチが長い分、動きは遅い!!)


上空で体勢を整え、振り切ったことにより隙が生じている香久山へと、刀を振り下ろした。


しかし、香久山は冷静に上体を仰け反らせてそれを躱した。


「薙刀の弱点くらいわかっているわ。それを補ってこそ、一流のUMAハンターってものよ」














その②に続く









その②に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ