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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
258/530

骸骨をください その②

朔の日の空から


暗幕を切り取り


金子の刺繍を施して


その身に纏う我が足は


千鳥足にて


死神の鎌を求める

2


「短期決戦といきましょう!!」


西原は、左手を腰に回し、右手に握った直刀をフェンシングのように構えた。


隙のない最小の姿勢から、連続で突きを放つ。


「ちっ!!」


響也は、Death Scytheを引くと、その巨大な刃で防いだ。


流れを掴んだ西原は、連続で響也に叩き込む。


直刀の切っ先は、DeathScytheの間を貫き、響也に少しずつダメージを与えた。









神速の突き。










老体とは思えない程の反応速度、反撃を許さない畳み掛け。


まるで生きた伝説のように、西原の動きには、熟練されたものが光っていた。


それは、夜の路地で喧嘩を続け、独学で戦う力を身につけた響也すらも苦戦するものだった。









ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!ギンッ!!










「くっそ!!」


劣勢になった響也は、一度、この連続コンボの流れを断つために、地面を蹴って後退した。


それを先読みした西原は、指をパチンと鳴らした。


「っ!?」










その瞬間、後退したはずの響也の背中に固いものが当たった。


それは、結界だった。


(こいつ!! 私が下がったところに、結界を張りやがった!!)


西原が迫る。


響也は、Death Scytheを振った。









ギンッ!!










全て、予測済み。


西原は低い姿勢から直刀を切り上げ、響也のDeath Scytheの重量級の刃を弾いていた。


がら空きとなる、響也の腹部。


「失礼します!」


一度前置きをしておいて、拳を放った。


響也の腹・・・、子宮の部分に、西原の拳が直撃する。






(申し訳ありません・・・)









西原は、響也の女の弱点を狙うことに後ろめたさを感じながら、拳に力を込めた。


しかし、拳は、一向に響也の身体にめり込まない。


硬い感触が、西原の拳に残った。


「これは・・・!!」


「コノヤロウ!!」


響也がDeath Scytheを一閃したので、一度下がった。


響也は腹を抑え、フラフラと立っていた。


「てめぇ、よくも女の大事なところ、狙ってくれたな・・・」


「・・・、申し訳ありません・・・」


まだ、拳に硬い感触が残っている。


まるで鉄板を殴っているかのような、硬度。


あの一瞬で、腹をやられると悟った響也は、直ぐに腹に力を込め、腹筋を固めたのだ。


(なんて強靭な腹筋・・・!!)









響也は地面に唾を吐くと、Death Scytheを握り直した。


「あいにく、私は普通の女とは違うんだ・・・、弱点殴って気絶させようなんて甘い考えは持たないことだな・・・」


「そのようですね・・・」


西原は、響也を気絶させて短期決戦に持ち込もうとした横着な自分を恥じた。


この者は、桜班・班長・鈴白響也。


同じく班長であった西原と、同等の力を有するのだ。


「正々堂々と・・・、いきましょう・・・」


「最初からそのつもりなんだよ!!」


響也が踏み込む。


西原が斬り掛かる。


二人の刃が、合わさった。










ギンッ!!










強い衝撃が二人を襲う。


Death Scytheの刃と、西原の直刀の刃が擦れ合い、ギャリギャリと不協和音を立てる。


単純な力較べ。


「おらあっ!!」


勝ったのは、響也の方だった。


振り切った刃が、西原を吹き飛ばす。


「っ!!」


西原は空中で身を捩り、手を着いて着地した。


響也が追撃する。


西原は考えた。


(どうする・・・)


この距離なら、体勢を整えてからでもあの一撃を防ぐことができる。しかし、もしあれが陽動ならば、防いだ直後に、別の角度から攻撃が来るはず。


(結界を使うか?)


結界があれば、響也の斬撃も受け止められる。しかし、数秒間使えなくなる。


もし、響也が、さらに、追撃の追撃の追撃を仕込んでいたとしたら?


「っ!! 」


考えていても仕方がなかった。


西原は指を鳴らした。










「【結界】!!!」










西原の前に、長方形で、緑色の結界が現れた。


これで、響也の攻撃は防げる。


(次の手を考えなければ・・・)


そう思い立った矢先のことだった。


結界越しに、向かってくる響也の顔が、笑っていたのだ。


「っ!!」


西原はビクリと身を震わせた。


一瞬で、自分が「手を誤った」ということを悟った。











「行け!! 死神の使い!!!」


直後、死角から、Death Scytheより分離された【子機】である、三日月形の刃が飛んできた。











その③に続く




その③に続く

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