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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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【第78話】 骸骨をください その①

線香漂う火葬場で


焼き払われた貴方を見る度に


私はその頭蓋を逆さにして


ウィスキーを注ぎたいと思う

1


「さあ!! お返しだよ!!」


響也のDeath Scytheは、ただの武器ではない。


武器、いや、「生物」と呼ぶべきか。


響也の指示の元、その形状を変幻自在に変え、敵の意表をつくのだ。


「っ!!」


西原が張った結界の横をすり抜け、液状化したDeath Scytheが迫る。


西原は直ぐに地面を蹴って後退した。


「逃がすか!!」


響也は、西原の後を追う。









(なるほどね・・・)










戦いの最中、響也は、敵の観察を欠かさない。


戦いながら、動きながら、走りながら、汗をかきながら、【攻略方法】を探るのだ。


(あの仮面男の能力・・・、万能じゃないみたいだな・・・)


液状化したDeath Scytheが、男の懐に潜り込んだ時、男は「後退して防ぐ」ということを選んだ。


もし、彼の能力である【結界】が万能なら、あの場面も、四方八方に結界を張り巡らせ、防いだはずだ。









(つまり!! あの男の結界は、一度発動すれば、少なくとも数秒間使えなくなる!!)










「直ぐに叩く!! 戻れ!! Death Scythe!!」


響也の支持で、液状化していたDeath Scytheが戻ってくる。


手を広げれば、元の、【死神の鎌】の形に戻った。


「行くよ!!」


響也はDeath Scytheの刃で、自らの手のひらに傷を入れた。


血がボタボタと滴る左手を、Death Scytheの三日月形の刃に塗る。


真っ赤に染まるDeath Scythe。


「死踏・・・、七の技!!」


血がべっとりと付いたそれを、神速を思わせる勢いで振り切った。









「血刈り!!」










遠心力で、血液だけが飛ばされ、赤い斬撃となって放たれた。


(血液の、斬撃っ!?)


西原はすぐさま、指を鳴らした。


「結界!!」


西原の目の前に現れたガラスのような壁が、血を弾く。


(さすがです!! 響也様・・・、自らの血液を武器とする、その勇気!! 痛みに耐える度胸!!)


だが、その程度の覚悟は、西原にとっては塵でしか無かった。


(さしずめ、あの血の斬撃は陽動・・・!! 本命は・・・!!)


西原が横を向いた時、三日月形の金属の刃が、迫っていた。


「ふっ!!」


それを、直刀で弾く。


(これは、Death Scytheの能力!!)










「Death Scythe弐式!! 【死神の使い】!!」









Death Scytheから分離した、二枚の、三日月形の子機が西原の周囲を飛び回る。


(どうする・・・?)


西原は子機を直刀で弾きながら考えた。


恐らく、西原が初撃を弾いた時点で、この三日月形の子機も、【陽動】と化している。


すばしっこい西原の意表をついて、響也自身が一気に仕掛けにくるはずだ。


(こうするか・・・)


西原は踵を返すと、響也に背を向けて走り出した。


「っ!!」


西原が逃走したと早とちりした響也は、子機と共に西原を追跡した。


西原は、走りながらタキシードの内ポケットに手を入れた。


そこから、三本のナイフを取り出す。










「【バトラーのテーブルセット】!!」









振り向きざまに、響也に向かって投擲した。


空気を割いて、三本のナイフが響也に迫った。


「ちっ!!」


響也は、三本のうち、二本を、子機で弾いた。


あとの一本は、Death Scythe本体で防ぐ。


その隙に、西原が響也の懐に潜り込んだ。


「っ!!」


「はあっ!!」


低い姿勢から、直刀を切り上げる。


響也は、上体を仰け反らせてそれを躱す。


そして、西原の顎を、その細い足で蹴りあげた。


しかし、ガツンと、足袋に硬い感触が残った。


「こいつ!! 結界を!!」


「残念でした」


西原は瞬時に結界を解除すると、バランスを崩した響也の腹に、直刀の切っ先を放った。









ギンッ!!










間一髪で、Death Scytheの子機が防ぐ。


それでも、西原は力を込めて押したが、空間に固定されたかのように、子機はビクともしなかった。


(この子機・・・、厄介ですね・・・)


西原は一度剣を引いた。


その間に、響也は体勢を立て直す。


そして、上体を戻した瞬間に、Death Scytheを一閃した。









ガツン!!!!










しかし、西原の結界に阻まれる。


「くそ!!」


響也は歯ぎしりをした。


(どれだけ隙を作っても! 連撃を加えても、あいつの結界のせいでリズムを崩される!!)


響也が結界を破れないでいる間に、西原は後退した。


そして、次の一撃を加える準備に取り掛かる。


「短期決戦といきましょう・・・」











その②に続く

その②に続く

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