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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
253/530

西原の暗躍 その③

太平洋には出ません


エベレストには登りません


湖面のような


窓から覗く街並みのような


そんな平穏な日々を

3


「・・・・・・・・・・・・」


森の中を駆け抜けながら、西原ふと思った。









自分は、何をしているのだろう。









と。


自分は、城之内家に仕える執事だ。


薔薇班の四席【西原】だ。


だが、今していることはなんだろう。


そうだ。周りに、【城之内カレン】の存在を知られないようにしている。


何とかして、城之内花蓮と、城之内カレンの遭遇を阻止しようとした。城之内花蓮と、桜班の者たちの遭遇を阻止しようとした。


何とかして、【城之内花蓮】を知っている者と、桜班との遭遇を阻止しようとした。










「っ!!」


奥歯を噛み締める。


そのほとんどが、失敗と言っても良かった。


城之内花蓮と、市原架陰は遭遇をしてしまった。共闘を開始してしまった。


雨宮クロナを始末に向かわせたはずの桐谷も、何故か雨宮クロナと行動を共にしている。


そして、先程脱落した【城之内カレン】と、薔薇班の【城之内花蓮】との関連性を、百合班の副班長が勘づきはじめている。










(一刻も早く、事態を収めなければ・・・!!)










西原は老体に鞭を打って駆け抜ける。


顔にはめた白いお面が、彼の視界を遮る。息を塞ぐ。


(これでは、身体能力が著しく低下してしまうな・・・)


だが、【城之内カレン】の存在を薔薇班のメンバーに知られたくないことと同様に、【城之内花蓮】の存在も、桜班の者には知られたくない。


そして、桜班の副班長である【城之内カレン】の付き人である、この【西原】の存在すらも、知られるわけにはいかなかった。









(全て、収めるんだ・・・!!)


まるで鏡のような湖面のように、穏やかに、何事もなく、水中で魚たちが藻を食って、静かに生きていけるような・・・、そのくらいでいい。


「カレン様を!! 穏やかに生きてもらうのだ!!」


西原はその一心で駆け抜けた。










彼の脳裏に浮かぶのは、十年前の、あの時の光景。


石の檻の中に閉じ込められ、一晩中壁を引っ掻いて、血まみれになった一人の少女の姿。








親に見捨てられた、双子の片割れの姿。









運命は、なんて残酷なのだろうか。


西原は、十年前のあの日から、城之内カレンを守り抜くと決めていた。どんなことがあろうと、彼女の幸せのためだけに、彼女が彼女でいるために。


城之内カレンが、城之内カレンでいるために。


必死に、暗躍してきたのだ。


だが、運命は二人を引き合せる。


城之内花蓮と、城之内カレンを引き合せる。


桜班と、薔薇班を引き合せる。


「カレン様!!」









とにかく、今は桜班の一味である響也を倒すしかない。響也は、孤高の夜にカレンを救ってくれた恩人。しかし、恩人が恩人であるためにも、彼女には、「何も知って欲しく」なかった。









西原は、走りながら、トランシーバーの液晶を眺めた。


本来なら、地図が表示されているはずだ。


しかし、液晶にノイズが走り、響也の発信機の場所を特定出来なくなっていた。


「・・・!!」


西原は一度立ち止まった。


「何故だ・・・!? さっきまでは、使えたのに!!」


よくよく考えてみれば、少しおかしな点があった。


それは、このトランシーバーについてだ。


トランシーバーは本来、班員とはぐれた時や、UMAの死体処理に扱われる。液晶がついているために、GPSの補足も可能。


だが、その【連絡手段】という機能が、このハンターフェスが始まってから上手く機能していないのだ。


(どういうことだ?)


全く使えない。というわけじゃない。


時々、使えなくなるのだ。


周りが使っているから、干渉されて使えない。ということもありえる。しかし、【○○脱落】や、【残り○○人】などの、本部からの連絡は受信するのだ。


つまり、電波干渉では無い。


「誰かが、操っているのか?」


その時、再び液晶にノイズが走った。


「っ!!」


地図が、鈴白響也の位置情報を補足。









西原の背後で、声がした。


「よお」


「っ!!」


振り返ると、そこに、死神の鎌を肩に掛けた響也がたっていた。


「鈴白響也様・・・!!」


「あ? お前、私の名前を知っているのか?」


「い、いえ・・・」


始末しようとした相手だが、職業柄敬語を使う西原。


(どうする?)


一度、地図情報が途切れてしまったおかげで、すぐそこまで鈴白響也が迫っていることに気が付かなかった。


鈴白響也は、興味無さそうに踵を返した。


「まあいいや。歩いてたら、人の気配がしたから来てみただけさ・・・。お前もどこぞの忍者みたいに襲ってくるなら、返り討ちにしようと思ったんだがな・・・」


鈴白響也は無駄な争いを好まない。いや、単にめんどくさいだけだろう。


目の前に【10】ポイントがあるというのに、欠伸をしながら、次のUMAを探して歩き始めた。


「・・・・・・」


西原は、その背中を呆然と眺めていた。


何度も連呼する。









(どうする!?)









第77話に続く

第77話に続く

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