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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
252/530

西原の暗躍 その②

老体に鞭を打って


籠に摘んだ薔薇を売り歩く

2


場面は移り変わる。











運命とは、必然なんだと、西原は思った。


別に、今まで【運命】を信じていなかったわけではない。


目に見えない、大昔の人間が「見えた」のだとのたまう神様という存在の書いた、【筋書き】というものが存在して、我々はそれに抗うことが出来ないのだと、漠然と理解していた。


しかし、それでも、「そうならない」筋書きを、西原は祈っていたのだ。









(まさか、本当に出会ってしまうとは・・・)


西原は、木陰からとある人物を見守っていた。


着物を身にまとった、桜班の市原架陰。


そして、我らが主、薔薇班・班長の城之内花蓮。


(あの二人が、まさか本当に出会ってしまうとはな・・・)


西原の、老体を冷や汗が伝った。


かなりまずい状況だった。


(前々から、この件については、手をうたないと。と考えていたが・・・、早すぎる・・・)


西原は神を憎んだ。


まさか、本当に、あの二人を巡り合わせてしまうとは・・・。


(どうする・・・)


西原は杖の柄を強く握りしめた。









こんなことにはなって欲しくなかった。だが、どうしても避けられぬ展開だった。


薔薇班の【城之内花蓮】


桜班の【城之内カレン】


髪型と格好は違えど、同じ顔の人間が存在するのだ。


そして、架陰は知ってしまった。


薔薇班にも、【城之内花蓮】が存在するということを。


(どうする!!)


西原はただひたすらに奥歯を噛み締めた。


絶対に知られてはならなかった。特に、桜班の人間には、「薔薇班に城之内花蓮が存在する」ということを。


市原架陰に、城之内花蓮の存在が知られてしまった以上、ハンターフェスが終われば、市原架陰は必ず、桜班の者たちに報告をする。









「そういえば、薔薇班に、カレンさんと同じ名前で、同じ顔の人がいたんですよ。双子ですか?」









といった具合に。


「・・・・・・」


西原は、唇を湿らせた。


杖を握る。


(始末するか?)


幸い、架陰と花蓮は油断している。その隙を付いて、架陰の意識を刈り取ることが出来れば。


いや、架陰は、カレンの後輩。そして、カレンのことを慕ってくれている存在。


乱暴な扱いは出来ない。


それに、薔薇班の城之内花蓮は、市原架陰に恋をしている。あわよくば、結婚と考えている。そして、それを齋藤も桐谷も推している。


(神よ、私はあなたを呪いますよ)


どうして、寄りによって桜班の人間なのか。


どうして、薔薇と桜は引かれ合うのか。


「これも、運命か・・・」


西原は腹を括った。


幸い、と言うべきか、齋藤は先程の百合班との戦いで脱落。桐谷とは連絡がついていないが、彼のことだから道草を食っているに違いない。


(行くしかないか・・・)


西原はキリッと目を見開いた。


(架陰様意外の人間が、【花蓮お嬢様】の存在に気がつく前に・・・、桜班の人間を始末する・・・)


そして、地面を蹴った。


トランシーバーの液晶に表示された地図を頼りに、桜班の者たちに取り付けた発信機を追う。


(まずは、三席のクロナ様からだ・・・)


西原はタキシードの内側から、白い仮面を取り出して顔に着けた。視野が狭くなるが、これで、自分が「城之内カレンの付き人である西原」とはバレないはずだ。


(申し訳ありません。クロナ様・・・!!)


そう心の中で謝罪して、クロナの元に向かおうとした時だ。


西原は、地図に表示され、点滅を続けるクロナの位置情報の隣に、もう一人誰かがいることに気がついた。


黒色の点滅。


これは、「桐谷」の発信機だった。









「はっ?」


西原は間抜けな声を発して、立ち止まった。



見間違いかと思い、液晶に穴が空かんばかりに見つめる。


やはり、クロナのそばに、桐谷の発振器が点滅をしていた。


しかも、二人は並行移動をしている。


つまり、戦っていない。



同行している。ということだった。


「何故だ!! 何故お前がクロナ様と一緒にいるんだ!!」


待てよ。と思い直す。


「そうだ。齋藤と桐谷は、市原架陰を入手するために、他の桜班の人間を始末する。という計画を立てていた・・・!!」


まさか、倒しに行った矢先に、二人が共闘する何かが起きた?


「っ!!!」


西原は苛立ちを隠せず、シワだらけの手で隣の木の幹を殴った。


「ならば、クロナ様は後回しだ」


直ぐに計画を変更する。


「響也様を、始末に向かう!!」
















その③に続く

その③に続く

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