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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
249/530

野性的 その②

「喉が渇いた」と


坊主は優しげな口調で言った


畳の上に置かれた茶を


美味そうに飲んだ

2


「やったか?」


「やりました!!」


花蓮は、名刀絹道の嶺の部分で、地面にうつ伏せに倒れた三島梨花の頬を突いた。


三島梨花の首がガクッと折れて、白目を向いた顔が花蓮を見た。


「完全に気絶させました!」


「凄いな・・・」


架陰も、確認のために赫夜の鞘で梨花をつつく。


もちろん、梨花は動かなかった。


「よし、何とか撃破ですね・・・」


架陰はため息をついて、刀を鞘に収めた。


チキッッ!!と、心地よい金属音がして、名刀・赫夜はその役目を一旦終える。


花蓮も、腰紐に【名刀・絹道】を差す。


花蓮は申し訳なさそうに架陰に頭を下げた。


「そうだ、すみません・・・」


「え、何がです?」


「架陰様にトドメを刺してもらおうと思ったのですが、つい、私がトドメを・・・。これじゃ、桜班にポイントが入りませんよね?」


「いや、別に気にしないでくださいよ」


架陰は首をブンブンと横に振った。


「結果的に、勝ったんです。敵は減りました」


「本当にすみません・・・」


花蓮は俯く。


「とりあえず、次に行きましょう。ここにいたら、他のUMAハンターに狙われるかもしれないですし・・・」


架陰は花蓮の肩を抱くと、三島梨花の倒れている場所から引き離した。


(少し、離れないと・・・)


そう思った矢先。


二人の背後で、三島梨花の指先がピクッと動いた。


それに真っ先に気がついたのは、齋藤だった。


「架陰様!! お嬢様!!」


身体が先に反応する。


タキシードの内ポケットから黒い筒を取り出し、フェンシングの突きの要領で前方に突く。








「【バトラーの警護棍】!!」









筒の中に折りたたまれていた、【筒】が、蛇腹状に伸縮して、三島梨花へと発射された。


最後に仕込まれていた槍の刃が顔を出す。


そして、起き上がった三島梨花の右肩に突き刺さった。


「くっ!!」


三島梨花は奥歯が砕けんばかりに踏ん張ると、右手の大剣を地面に突き刺す。


「怯むかよ・・・、アタイは獣だぜ!!」


「っ!!」


架陰と花蓮が振り返った。


そして、自分たちが仕留め損なったことに気がつくと、腰の刀に手をかけ、一斉に攻撃を仕掛けようとする。









それよりも先に、三島梨花の能力が発動した。









「【樹木操作】!!!」










ドンッ!!!


地面から木の根が飛び出す。


鋭いそれは、数十メートル離れていた齋藤を上空にかちあげていたのだ。


「齋藤さん!!」


「齋藤!!」


顎を穿たれた齋藤は、口から血を吐き、無力のまま宙を漂った。


トドメと言わんばかりに、うねった木の枝が齋藤を地面に叩きつける。


砂埃が巻き起こり、齋藤が地面にめり込んだ。


「齋藤!!!」


花蓮の劈くような悲鳴。


意識が、齋藤に持っていかれた。


その隙を三島梨花は容赦なく突く。


「終わりだよ!! 名刀・葉桜!!!」


「花蓮さん!!」


架陰は花蓮を抱きかかえると、その場から跳躍した。


何とか、足元から飛び出した木の根は躱す。


「齋藤!! 齋藤!!」


「花蓮さん!! 落ち着いて!!」


自分の部下が、木の根にやられた様を見て、花蓮は取り乱していた。


架陰の腕からすり抜けると、大の字で倒れている齋藤に駆け寄る。


「齋藤!! 齋藤!!」


必死に彼の肩を揺さぶるが、齋藤は白目を剥いたまま微動だにしない。









薔薇班・副班長・齋藤・・・戦闘不能。










「くそ!!」


架陰は背中に負い目を感じながら駆けた。


(僕のせいだ!! 僕が、三島梨花の襲撃に気づいていれば!!)


だが、後悔しても遅い。


後悔は人の足を鈍らせる。


(今は!!この人を倒すことを考えろ!!)


三島梨花は、肩から齋藤の仕込み槍を抜いた。


出血で顔色を悪くしながら、ニヤリと笑う。


「アタイは、誰よりもタフだよ!!」


そう叫び、地中の根を操り、架陰と花蓮に攻撃を仕掛ける。


花蓮は齋藤の肩を揺さぶり、戦闘をしている場合ではなかった。


そこを、三島梨花が仕掛ける。


「おらっ!! 死にな!! 薔薇班のお嬢様!!」


「させるか!!」


架陰が斬撃を放つ。


「っ!!」


三島梨花は直ぐにその場から離れた。


「アンタのその【能力】、なかなか厄介だね!!」


「それはよかった!!」


三島梨花が刀から手を離した今なら、畳み掛けれる。


架陰は姿勢を低くしながら、三島梨花へと切り込む。


「甘いんだよ!!」


三島梨花は、着物の裾からクナイを取り出した。


「っ!!」


「暗器!!」


クナイが飛んでくる。


「くっ!!」


架陰は赫夜を振って弾いた。


その間隙を縫って三島梨花が接近。


突き立った葉桜を抜くと、流れるように架陰に向けて振った。









ギンッッ!!!!








刀と刀の衝突。


しかし、体重差には勝てなかった。


その重量に押し負け、架陰は吹き飛ばされる。


(くそ!! どうする!?)









その③に続く



その③に続く

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