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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
248/530

【第75話】野性的 その①

野性的ってことはな


つまりだな


この地中に根を張るってことだよ

1


三島梨花が刀を振った瞬間、齋藤は確信した。


(この人・・・、機動力には、欠けるな・・・)


齋藤が放った投げナイフを弾いた時の動き。振りにキレが無く、弾いた時の金属音も鈍かった。


(つまり、この人は、中距離型のUMAハンターだ・・・!!)


名刀・葉桜。


地面に突き立てることにより、地中に埋まった植物の姿を変異させ、動く根と化す。それは、梨花の意思で自在に動き、敵を貫き、絡めとる。


「まずはこの根をどうにかします!! お嬢様!! 架陰様!! 御協力を!!」


「分かりました!!」


「わかったわ!!」


架陰と城之内花蓮が二人同時に切り込む。


「架陰様!! 共同作業ですね!!」


「はい!!」


迫り来る数多の植物の根。


先に前線に出たのは城之内花蓮だった。


「名刀・絹道!! 第一航路!!」


ヌルヌルと身を捩り、這うようなステップを踏んで根っこを躱していく。


まるで舞うように、握っていた青龍刀の刃とリボンを振った。










「鴎!!!」










根すら、斬られたことに気が付かない。


城之内花蓮が「鴎」と宣言した瞬間、生き物のように動き回っていた根が、バラバラになって地面に落ちていく。


「さあ、架陰様!!」


「はい!! 一掃はおまかせを!!」


架陰は魔影刀を両手で握りしめ、城之内花蓮がやりきれなかった残りの根を絶やしに掛かる。


「【魔影刀】!!!」










ドンッッ!!!










架陰が横に一閃した瞬間、黒い刃から放たれた衝撃波が、残りの根を吹き飛ばした。


「くっ!!」


自分の周りを取り囲む根が消えてしまった三島梨花は、刀を地面から抜くと、後退した。


そこを、齋藤が狙う。


(刀を地面に突き立てないと、【樹木操作】の能力は発動しない!!)


両手に八本のナイフを構えると、素早く投擲した。


「【バトラーのテーブルセット】!!!」


ヒャンヒャンと空気を切り、八本のナイフが三島梨花に接近した。


「アンタら、アタイのこと舐めてるだろ!!」


三島梨花は、刀を握っていない方の左腕を横に振った。


齋藤が目を見開く。


「何っ!!」


生身の腕が、八本のナイフを弾いた。


当然傷がつき、血が吹き出す。


「アタイは【野性的】って言っただろ!! この程度のちっこいナイフ投げられたくらいで、ひるむと思ってんのか!!」


「架陰様!!」


「はい!!」


直ぐに架陰が追撃した。


だが、先程の攻撃で、架陰は魔影を発動し直す時間が無かった。


何も纏わせていない、【名刀・赫夜】で切り込む。


「はあっ!!」


「甘いんだよ!!!」









ギンッッ!!!!









架陰の名刀・赫夜と、三島梨花の名刀・葉桜が衝突した瞬間、鈍い金属音が響く。


力負けしたのは、架陰の方だった。


「くっ!!」


「馬鹿だね!!アンタの刀とアタイの刀、重量が大きいのはどっちかな!!」


架陰は宙で体勢を整えて着地。


その隙に、三島梨花は再び地面に刀を突き立てた。









「樹木操作!! 再展開!!!」









刀から放たれた特殊電波が、地中の根に司令を与える。


ボコボコと地面が盛り上がり、再び無数の根が首を擡げた。


「いきな!! アタイの下僕たち!!!」


齋藤は歯ぎしりをした。


「 振り出しか!!」


「まだです!!」


架陰は諦めない。


畳み掛ける。


「魔影!! 【参式】!!!」


「させるか!!」


架陰の能力を警戒した三島梨花は、直ぐ様対処に掛かる。


架陰が踏み込んだ地面から、ボコッ!! と、根が飛び出す。


「くっ!!」


架陰は体勢を崩した。


(まるで、あの時の吸血樹のように!!)


無理な体勢から、刀を振った。










「【悪魔大翼】!!!」











刃から黒い斬撃が放たれる。


辺りの木々や根を吹き飛ばしながら飛んでいった。


しかし、三島梨花には命中しない。


彼女の横を通り過ぎていった。


「気が逸ったね!!」


「いや!! これでいい!! これがいい!!」


その時、三島梨花はある異変に気がついた。


架陰が放った斬撃が、地面を抉りとり、地中に埋まった根を木っ端微塵に砕いていたということに。


(こいつ、まさか・・・、わざと斬撃を外したのか?)


「葉桜!!」


能力を発動させるが、根の部分が魔影にやられたおかげで、動きが鈍る。


「くそ!!」


「花蓮さん!!」


「はい!!」


花蓮が直ぐに斬りこんだ。


「名刀・絹道!! 第一陸路!!」


大剣の形をした刀を乱雑に振る梨花の攻撃をぬるりと躱し、白銀の刃を振った。










「蜥蜴!!!」










トンッ!!


と、梨花の首筋に衝撃が走った。


「がっ!!」


峰打ち。


三島梨花は白目を剥いて、そのまま倒れ込んだ。









その②に続く


その②に続く

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