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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
233/530

目には目を歯には歯を その②

「真の不幸とは自らの幸福に気づいていないこと」


そう言っている人がいた


だから私は


「真の幸福とは自らの不幸に気づいていないこと」


そう返してやった





2


魔影には、自転車のギアチェンジのように、【段階】というものが存在する。


【壱式】は、眼球に魔影を集中させ、反射能力を格段に上げる。これを発動している時、周りの動きはスローに見え、読んだ動きから勝ち筋を見つけるという戦法が取れる。どちらかと言えば、対人向きの型である。


【弐式】は、魔影が具現化する。架陰の血液を触媒として、体表から、黒い煙、またはオーラのようなものがしみ出す。それを架陰は、イメージだけで動かすことができる。その黒い煙に触れると、衝撃波が発生するのだ。


架陰は、この魔影を、足に纏わせて、発生する衝撃波を利用して加速したり、腕に纏わせて腕力を上げたり、刀に纏わせて切れ味を上げる。という戦法を取っている。









そして、【参式】である。


参式は、弐式より、二倍の量の魔影を発生させることが可能になった。


弐式の時のデメリットであった、【一部を強化すれば、一部の能力値が劣る】という弱点を克服した型なのだ。








魔影を足に纏わせれば、腕や刀が留守になる。


逆に、刀に纏わせれば、足や腕が留守になる。










その弱点を克服した形態こそが、【参式】なのだ。


「魔影・・・【参式】・・・【魔影脚】+【魔影双拳】!!」


架陰の両腕、両足に漆黒の魔影が纒わり付き、陽炎のように揺らめきながらも、悪魔の鉤爪のような形に変形した。


弐式の時には、一種類しか使用できなかった、【魔影脚】と【魔影双拳】の同時発動。


それなりに集中力はいるが、これで架陰の能力は、格段に上昇した。


「さあ、行きましょう!!」


「ガハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! 面白い!!」


兵蔵が、地面を蹴った。


この一瞬で、兵蔵の体は、時速40キロにまで加速する。


更に、続けて二発地面を蹴る。


これで、兵蔵の移動スピードは、時速50キロ。


「喰らえよ!!」


そのスピードに、兵蔵の体重115キロが加わる。


体重、スピード、そして、筋肉を収縮させて発生させた強大なエネルギーを、この拳に纏わせて、架陰へと放った。


架陰も、【魔影】を纏わせた拳を、兵蔵の拳に叩き込んだ。










ドンッッ!!!!!!










エネルギーとエネルギーの衝突。


たった一発の接触で、辺りに衝撃波が飛び散り、木々を揺らし、小鳥たちを一斉に羽ばたかせた。


まるで爆弾が炸裂した時のような轟音が、二人の耳を穿った。


「くっ!!」


「ガハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!まだまだ!!」


兵蔵は、架陰との押し合いの最中、地面を三発蹴った。


これで、兵蔵の時速は65キロ。


「くそ、魔影脚!!」


架陰も、両足に纏わせた魔影から衝撃波を放ち、兵蔵を押し返す。


バチバチと、具現化したエネルギーが辺りに走った。


「おおおおおおおおおおおお!!!!」


架陰は顔を真っ赤にしながら、兵蔵の攻撃に耐える。


そして、魔影の出力を全開にした。


「吹き飛べ!!!!」


拳と拳。


エネルギーとエネルギーのぶつかり合い。









それを制したのは、架陰だった。










「はあっ!!!」


先程のお返しと言わんばかりに、振り切った架陰の拳が、兵蔵の巨体を吹き飛ばす。


「まだまだだ!!」


架陰は足の魔影を炸裂させて、一気に空中へと打ち上がった。


空気を反発させ、空中で軌道を変える。


そして、未だ木々を蹴散らしながら吹き飛ぶ兵蔵に追いついた。


空中で、兵蔵の胸筋に拳を押し当てる。


「お主!!」


「さあ、お返しだ!!」


魔影双拳の衝撃波を放った。











ドンッッ!!!!










兵蔵は真っ直ぐ撃ち落とされる。


兵蔵の巨体が地面に激突した瞬間、天変地異と言わんばかりの振動が辺りに響き、岩盤がめくれ上がった。


地面が緩み、辺りに生えていた木々が次々と倒れていく。


「面白いわ!!」


兵蔵は直ぐに、反動で起き上がる。


追撃をしようと距離を詰めてきた架陰の腕を掴んだ。


「はあっ!!」


柔道の背負投を応用して、架陰の体を地面に叩きつけた。


「がはっ!!」


「さあて、コンボの始まりじゃよ!!」


地面を一蹴り。


一瞬で時速40キロにまで加速して、架陰の腹に拳を叩き込む。


「ぐあっ!!」


「更にぃ!!!!」


架陰の着物の襟を掴むと、そのままの状態で地面を蹴った。


これで、時速45キロ。


「がはっ!!」


更に蹴る。


これで、時速50キロ。


「うわあ!!」


更に蹴る。


これで、時速55キロ。


「ぐあっ!!」


更に更に更に蹴る。


これで、時速70キロ。


「ああああああああぁぁぁ!!!」


飛ばした乗用車並みのスピードを発揮した兵蔵は架陰を掴んだまま、次々と木々の幹にぶつけていった。


「まだ気絶するなよ!!」


「するもんかあっ!!」


木々に叩きつけられながら、架陰は両足を兵蔵の太い右腕に絡めた。


そして、脚に纏わせた魔影を爆裂させる。


ポキッ!!


と、衝撃波が、兵蔵の右腕の骨を粉砕した。


「ぐぬっ!」


兵蔵の締め付けが緩む。


その隙に、架陰は兵蔵に蹴りを入れて、拘束から逃れた。


魔影脚で地面を蹴り、兵蔵から距離をとる。


「あの人に捕まったら、確実に仕留められる・・・!!」










その③に続く



その③に続く

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