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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
229/530

向日葵班 その②

空が蒼いと誰が言った?


山が翠だと誰が言った?

2


架陰と山田の前に現れたのは、向日葵班の戦闘服を身に纏う大男だった。


班長なのか、副班長なのか、それとも三席か、はたまた四席か。


どちらにせよ、ただならぬ気配を纏うその大男は、何も言わず、神速とも取れるスピードで架陰との間を詰めると、スイカも簡単に握りつぶせそうな豪腕で架陰の頭を掴んだ。


ミシッと痛々しい音が響き、架陰の身体が後方の杉の木の幹に叩きつけられる。


「ぐっ!!」


ここに来て初めて、向日葵班の男が口を開いた。


「ガハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!! どうした!! 動きが鈍いぞ!! 少年!!!」


寡黙な様子とはうって変わり、張りのある、よく響く声だった。


「このっ!!」


架陰は男の腕を支えにして足をあげると、男の胸筋部に蹴りを入れた。


だが、ビクともしない。


「ガハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! そんな弱い蹴りでワシが動くと思ったか!!」


「このっ!!」


架陰は何度も蹴りつけたが、向日葵班の男は全く動かない。


男の背後に、山田が回り込んだ。


「架陰殿!!」


山田は手刀を作り、男の首筋に目掛けて一閃した。








ドンッッと、鈍い音が響いた。


山田の手刀は、確実に向日葵班の大男に命中した。


しかし、全く動かない。


「これは!?」


「ガハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! ワシの身体は岩の身体!! 誰にも動かすことはできん!!」


「だったら!!」


架陰は、メキメキと頭を潰されながら、能力である【魔影】を発動させた。


架陰の体表から、漆黒のオーラがしみ出す。









【魔影】。それは、架陰の能力だ。物質と触れ合った時、強力な衝撃波を発生させ、敵を吹き飛ばす。


架陰はその魔影を、足に纏わせた。


「喰らえ!!」


魔影を纏い、黒くなった足を向日葵班の胸元に押し付ける。


そして、一気に解放した。


「【魔影・弐式】!!【魔影脚】!!!」










ドンッッ!!!!!










架陰の蹴りから放たれた衝撃波は、一瞬にして向日葵班の男を遥か彼方へと吹き飛ばした。


「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

おおおおおおおおおおおおおおおお

おおおおおおおおおおおおお

おおおおおおおおお

おおおおおお

!!!」


木々をなぎ倒し、地面をえぐり、男の巨体が小さくなっていく。


握りつぶしから開放された架陰は、「ぷはっ!!」と息を吐いて、地面にむきだした木の根の上に尻もちをついた。


「大丈夫ですか? 架陰殿?」


山田がすかさず力を貸して起こしてくれた。


「ありがとうございます・・・」


立ち上がった架陰は、腰の泥を払う。


そして、男が吹き飛ばされた方向を見た。


木々はなぎ倒され、パラパラと砂埃が舞っていた。


山田は素直に感心して「凄いですね・・・」と言った。


「これが、【魔影】の力ですか・・・」


「あ、はい」


架陰は足に纏わせた魔影を解除した。


ふと、懐に入れたトランシーバーを取り出して液晶を確認したが、特に通知は来ていなかった。


「倒しきれなかったみたいですね・・・」


もしも、あの向日葵班の男が戦闘不能になっていたならば、直ぐに本部の方から【10】ポイント加算の連絡が入ったのだが。


だが、これでいい。


あのまま向日葵班の拘束に囚われ続けたら、架陰の方が戦闘不能になっていた可能性があった。


「どうしますか?あの向日葵班を倒しに行きますか?」


山田の提案を、架陰は首を振って棄却した。


「いえ、少しあの方は厄介なので、ここは別のUMAを狙いましょう・・・」


「そうですね。私の手刀で意識を狩り取れなかったのはかなり驚愕でしたから・・・」


二人は、向日葵班の吹き飛んで行った方へと背を向けた。


そのまま歩きだそうとした瞬間、小刻みな振動が二人の足を伝った。


ドンッッと、なにかが力強く地面を蹴った時の音。


「っ!?」


「何っ!?」


ザワッ!!とした殺気を感じ取った架陰は、すぐ様振り返り、腕を胸の前で交差させて、防御姿勢をとった。


そこに、一瞬で戻ってきた向日葵班の男の拳が直撃する。









ドンッッ!!!










「さあて、お返しじゃよ!!」


「うぐっ!!」


「架陰殿!!」


踏ん張りが効かない。


そのまま、架陰は吹き飛ばされていた。











その③に続く

その③に続く

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