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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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【第68話】風魔手裏剣 その①

死神が死ぬ時は


生者を生かした時

1


風魔手裏剣。


それが、藤班班長【雀部俵太】の奥の手だった。


一見、ただの小さな手裏剣に見えるそれは、とある指示を加えれば、まるで狐の葉を頭に乗せたように巨大化する。


そして、身の丈よりも遥かに大きな、巨大な手裏剣と化すのだ。


「さあ、喰らえよ・・・」


雀部俵太・・・、赤鬼の手のひらの上の風魔手裏剣が、まるでヘリコプターのローターのような音を立てながら回転を始める。


中央の円から放射状に伸びる三枚の刃は、微妙に傾斜が施されており、それが丁度プロペラのようになって、周りの空気を巻き込み、旋回する。


柔らかくとも、生ぬるい殺気を纏った風が響也の頬を撫でた。


(ちょっとやばいかな・・・)


響也は額に汗をかきながら、赤鬼の風魔手裏剣と対峙する。


恐らく、あの巨大な手裏剣をこちらに投げてくる。


その時は、避けるか・・・、このDeath Scytheで迎え撃つか・・・。


次の瞬間、赤鬼が腕を振るい、風魔手裏剣を響也へと投擲した。


「はあっ!!」


風魔手裏剣の三枚の刃が、体育館の床にくい込み、ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリと、木片を蹴散らしながら迫る。


「ちっ!!」


響也は半歩下がると、Death Scytheの大きな刃を引いた。


エネルギーを刃に溜める。


「【死踏】・・・【一の技】・・・」


上体のひねりを利用して、一気に解き放つ。











「【命刈り】!!!」










巨大な手裏剣と、響也の死神の鎌の刃が衝突した。


その瞬間、劈くような金属音が響き渡り、辺りの窓ガラスを揺らした。


風魔手裏剣は勢いを弱めることなく、さらに回転を続ける。









ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!!!










「こいつ!!」


響也の踏み込んだ足が滑る。


風魔手裏剣の勢いは止まらない。


Death Scytheを握る手に、絶えることなく、風魔手裏剣の刃が衝突する感触が伝わる。まるで電気アンマに当てられたかのように、指先から感覚が消えていった。


「コノヤロウ!!」


響也は叫び声と共に、さらに深く踏み込むと、野球のバッターのように、Death Scytheを振り切った。










ギャリンッ!!










風魔手裏剣は天井へと投げ飛ばされる。


「よし!!」


響也はその隙に、赤鬼へと切り込んだ。


「お前の自慢の武器は封じたぞ!!」


赤鬼に慌てる様子はない。


「甘い!!」


手をかざし、ぐっと握りしめた。


その瞬間、空中に放り出された風魔手裏剣が軌道を変え、響也の背後へと迫る。


「何っ!!」


響也は振り向きざまにDeath Scytheを振り、また風魔手裏剣を弾いた。


(こいつ、まさか!!)


弾かれた風魔手裏剣は、また、物理の法則に反した動きを見せて、響也へと襲いかかる。


「くっ!!」


再び受け止める。









ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!!











「どうなってるんだ!!」


響也は手の痺れに耐えながら叫んだ。


その様子を見て、赤鬼はニンマリと笑った。


「それが【風魔手裏剣】の能力・・・。それが回転している間は、オレの思うままに操ることができるんだな・・・」


「なんだと・・・?」


響也と風魔手裏剣の押し合いを、高みの見物をする赤鬼。


まるで相撲のように、右手で、空気に向かって張り手をした。


その瞬間、響也を押していた風魔手裏剣の力が強まる。


「何っ!?」









ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!!










「力が・・・増した!?」


響也の足が数センチ、また数センチと下がっていく。


埃の積もった体育館ということもあり、上手く踏みとどまれない。


「くそ・・・!!」


これは、自動操作型の攻撃。


響也の、Death Scythe・弐式・死神の使いの、上位互換。


(すこし、まずいな・・・!!)


響也は奥歯が砕けんばかりの勢いで力を込めると、足腰を使って踏みとどまる。


喉の奥から獣のような唸り声を発し、Death Scytheを振り切る。










ギャリンッ!!










風魔手裏剣は、回転しながら後方へと流れていった。


(どれだげ自動操作が出来ようが・・・、私の所に戻ってくるまでには時間がかかる。少なくとも三秒・・・)


響也は背後に注意を払いながら、赤鬼へ襲いかかった。


素早く戦いを終わらせる。


「行くぞ!!」










その②に続く

その②に続く

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