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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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藤班の脅威 その②

影すらも身に纏う


夜の住人


息を殺して半歩行く


朔の日の鬼

2


「早く、続くと行こうぜ!!」


桐谷は【名剣・甲突剣】を構えてそう言った。


頭を潰されたバンイップの生死など放っておいて、完全にクロナとの勝負に夢中になっている。


クロナは頬を冷や汗が伝うのを感じながら、地面の上で血まみれになって息絶えているバンイップと桐谷を見比べた。


(こいつ、思ったよりも強いわね・・・)


特に、先程の【水化】能力を有するバンイップの実体化のタイミングを完全に読んで、あの能力武器の一撃をお見舞した瞬間。


ただの馬鹿だと思っていた。


いや、馬鹿であると言うことには変わりはない。しかし、恐るべきは、あの武器。


(名剣、甲突剣か・・・)


エネルギーを蓄積させて、槍状の衝撃波として飛ばす能力。


バンイップが一撃を食らっただけで、あの肉片になったのだ。


もしも、クロナが食らってしまえば・・・。


「迂闊に近づけない・・・」


唾を飲み込み、半歩後ずさる。


その時だ。


「っ!?」


クロナの全身の毛が逆だった。


この刺すような気配は、殺気。


桐谷から放たれているものでは無い。


もっと鋭く、焼け付くような、強烈な殺意。


クロナは刀を構えて、殺気がするほうを向いた。


桐谷が仕掛ける。


「もらった!!」


「馬鹿じゃないの!!」


桐谷は気づいていない。


何者かが、クロナと桐谷を見ているということに。


その瞬間、木陰から、三枚の手裏剣が空を裂きながら飛び出した。


「っ!!」


クロナは刀で二枚を弾く。


桐谷も、直前で手裏剣に気が付き、レイピアを使って弾いた。


「なんだこりゃ!!」


木陰から、忍者の黒装束を身にまとった男が飛び出す。


地面を音もなく駆け抜け、片手に握ったクナイを構えて、二人に接近した。


「こいつは!! 藤班!!」


「藤班!?」


殺気の主は、この忍者の黒装束を身にまとった藤班の人間だったらしい。


殺気を振りまいて、クナイ片手に襲いかかってくるということは、人間の【10】ポイントを狙っているということ。


それを察した桐谷は、直ぐにクロナの着物の胸ぐらを掴んだ。


「あらよっと!!」


グイッと引っ張り、クロナを自分の前に被せる。


人間の盾だった。


「あんた、何してんのよ!!」


「そりゃそうだろうが!! てめぇは敵だろ!!」


藤班の黒装束の奥で、男がニヤリと笑った。


鋭いクナイを、盾にされたクロナに向かって突き刺す。


その瞬間、クロナの肩から【甲突剣】の鋒が伸びてきた。


「っ!!」


藤班の黒装束の奥の男の目が、カッと見開いた。


鋒が眼球を貫く直前、男は体を仰け反らせる。


ギリギリで、レイピアの突きを躱した。


「へへっ!! 反応がいいな!!」


男はバク宙をしながら後退する。


「ちっ、陽動だったか・・・」


桐谷が直前で立てた作戦はこうだった。


クロナを盾にして、藤班の攻撃を引き寄せる。


藤班は、桐谷がクロナを売ったと思い込み、迷うことなく攻撃してくる。


そうすれば、攻撃の軌道は簡単に読め、こちら側の攻撃を当てることができるのだ。


「ギリギリで躱されたがな・・・」


桐谷はニヤリと笑いながら、レイピアの鋒をゆらゆらと揺らした。


その小さな頭を、クロナが殴る。


「あんた、なに人を盾にしてんのよ」


「いやいや、助かったんだからいいだろ?」


桐谷は悪びれる様子はない。


「欲しいものは全部いただくぜ。桜班のあんたの【10】ポイントも、あの不意を突いてきた藤班の【10】ポイントもな・・・。そして、市原架陰も・・・」


「いやいや・・・」


と言いながらも、クロナは藤班の男の方を見た。


藤班の男は、黒装束の隙間から覗く目で、ギロリと二人を睨む。


「くそ、二人とも仕留められると思ったのだがな・・・」


「ああ? なめんなよ!! オレは薔薇班の三席だぜ!! そして、この女は、桜班の三席だ!」


桐谷はクロナの方を指さして宣言した。


藤班の男は、ゆらりと立ち上がり、クナイを中段に構えた。


「オレは、藤班三席の、【清水海(しみずかい)】・・・コードネームは、緑鬼と呼ばれている・・・」


「緑鬼だあ?」


桐谷は鼻で笑った。


「だっせえ名前だな。赤鬼とか青鬼の方がマシだぜ! 」


「・・・・・・、赤鬼と青鬼は班長と副班長のコードネームだ・・・」


緑鬼の声にやや怒気がこもった。


「簡潔的に話をしよう。オレは今から、お前たちを倒す・・・。そして、合計20ポイントをいただく・・・」


「それは、こっちのセリフだぜ!」


桐谷は隣のクロナのことは忘れて、緑鬼に向かって臨戦態勢を整えた。


「お前の10ポイントをゲットして、薔薇班優勝の糧にしてやるさ!!」


「残念だな。優勝するのは藤班だ。それに、藤班は既に、副班長を失っている・・・。残り三人なのだ・・・、少し、なりふりは構って居られないんだよ・・・」


静かに睨み合う二人。


クロナは取り残され、オロオロとしながら二人のやり取りを見やった。


(次から次へと、変なのが出てくるわね・・・)








藤班三席VS薔薇班三席









開幕











その③に続く


その③に続く

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