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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
201/530

鎖が閉ざされし鬼の逆襲 その②


右腕


左腕


胴体


右脚


左脚


ああ、八つ裂きにはまだ遠い

2


「なによ、それ・・・」


転送されてきた、カレンの武器を見た時、狂華が最初に抱いた感想だった。


「まともな、武器じゃない・・・」


カレンが掴んだそれは、通常、UMAハンター達が使っているものとは大きくかけ離れたものだった。


武器は、UMAを狩るために使われる。そのため、いかに機動力が高く、いかに強力な武器を使えるかがキモなのだ。


例えば、銃は遠距離からの攻撃のため、敵の攻撃を受ける確率が低い。その代わりに、しっかりと急所を狙わないと、一撃で仕留められない場合がある。


対して、刀などの近接武器は、機動力も高く、ピンポイントに敵に攻撃を当てることができる。しかし、それは、自分も敵の攻撃を受けやすいということ。


我々は、それぞれの武器の長所と短所を見分け、自分の体格や性格に合った武器を見つけるのだ。


カレンが支給品として転送させた武器は、そのどの条件にも当てはまらない。










「【(くさり)()ざされし(おに)逆襲(ぎゃくしゅう)】・・・」











刀の装飾が施された、約一メートル程の柄の先端に、白銀に輝く鎖が付いている。


その長さは、カレンの身長をゆうに超え、約二十メートル程。


鎖は重さに耐えきれず、砂利が敷き詰められた地面にドスドスと落ちた。


簡単に説明すれば、新体操のリボンのステッキとテープを、柄と鎖に置き換え、形を大きくしたものだった。


「なによ、その武器・・・。全く武器の形を成していないじゃない・・・」


ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ・・・


鎖同士が擦り合い、金属特有の音を立てる。


カレンはにいっと笑って、その鎖に繋がれている長い長い刀のような柄を掴んだ。


少しの衝撃だけで、鎖は鳴り止まず、ひたすらにジャラジャラと音を発していた。


「これは、鎖に閉ざされし鬼の逆襲・・・」


「・・・・・・」


狂華は息を呑み、後ずさった。


その瞬間、カレンが【鎖に閉ざされし鬼の逆襲】の柄を振った。










ジャラジャラッ!!











柄に引っ張られ、地面に張り付いていた二十メートルはあろう鎖が動き出す。


「っ!!」


狂華は後退しようとしたが、それよりも先に、鎖が飛んできた。


(なるほど、鎖を使って攻撃するのか・・・ )


拍子抜けだった。


どれほど大層な武器が出てくるのかと思えば、長棒に鎖を取り付けただけの武器。


「こんなもの!!」


狂華は、生き物のようにうねり、襲いかかってくる鎖を、腕で払おうとした。


鎖に触れた瞬間、着物が裂け、腕から血が吹き出す。


「えっ!?」


痛い。


皮膚が、切れていた。


「アハハハハッッ!!」


カレンは甲高い笑い声をあげると、長棒を、空間に八の字を書くように振った。


ジャラジャラッッ!!と、鎖がうねる。


狂華を取り囲む。


「これはっ!!」


狂華は刃下駄を使って鎖を弾いた。


だが、鎖は直ぐにぐにゃりと起動を曲げ、死角から狂華の頬を切り裂く。


(なるほど・・・、この鎖、ただの鎖じゃない!!)


狂華は身を捩ると、鎖の包囲網から抜け出した。


「アハハハハハハハハハッッ!! 逃がさない!!」


カレンが長棒を振ると、その動きに合わせて鎖が動き、狂華を追撃した。


(この鎖・・・!!)


狂華はバックステップを踏みながら、襲いかかってくる鎖を躱した。


(一つ一つが、カミソリの刃みたいになっている!!)


目を凝らして見なければ分からなかった。


カレンが操る鎖の、一つ一つが、楕円状の薄い刃となっており、それが繋がりあってひとつの鎖を形成しているのだ。


そして、その鎖に触れれば。


「ぐっ!!」


鎖に触れた狂華の肩から血が吹き出す。


「なんて鋭い切れ味!!」


「アハハハハ、アハハハハハハハハハハハハハハッッ!!」


カレンは目を見開き、口を半開きにして笑っていた。


ちょこまかと動き回る狂華に向けて、長棒を振る。


長棒が、この鎖を操るための操縦棍と言ったところだろう。


まるで、体操競技のリボンのように、変幻自在にその形状を変化させ、まるで、蛇のように狂華へと襲いかかってくる。


「死ね死ね死ね死ね!!!」


カレンは、豹変する前の彼女とは思えない残酷な言葉を連呼すると、乱雑に長棒を振った。









ジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ!!!!









二十メートルの鎖が、カレンの長棒の操作に合わせて動く。


波を打ち、弧を描き、狂華を追い詰める。


「くっ!!」


狂華は鎖を躱すので精一杯だった。


初めて見る武器なために、鎖の起動が予測出来ない。


下手に防ごうものなら、その場で鎖が湾曲して、反撃を受ける。


「近づけない・・・!!」


そうこうしているうちに、狂華はダメージを受けていった。


着物が裂け、皮膚が裂け、血が滲む。


「う・・・」


痛みに顔を顰めた瞬間、足元の地面を縫って鎖が迫ってきた。


かわせない。


鎖が、ビシリと足首に巻きついた。


「しまった!!」


「まずは、足・・・」


カレンはニヤリと笑うと、一気に長棒を引いた。


鎖が、狂華の足首を締め付ける。










「あああああっ!!!!」










鎖が巻きついた足から、大量の血が噴出した。












その③に続く




武器図鑑【鎖に閉ざされし鬼の逆襲】


カレンが、翼々風魔扇を使用する前に愛用していた武器。

長さ一メートル程の長棒(装飾は刀の柄と同じ)の先に、二十メートル程の鎖が付いている。

この鎖の一つ一つが、鋭い刃となっており、これに触れれば、否応なく切り裂かれる。

カレンは、この武器を、まるで体操選手のリボンのように操る。

基本的に、半径二十メートル以内の空間はカレンの無敵空間と化し、近づくことは叶わない。近づいたとしても、離れる方法がない。

まるで射程距離に入れば、全てを切り刻む、【鬼のような】武器のため、チーム戦には向いていない。

実際、カレンも皆の前ではこの武器を使ったことがない。


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