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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
193/530

青鬼VS架陰&山田 その②

藍色の絨毯に


子供が宝石をばらまいたような


空の下で

2


「忍者ってのはな、いかに敵の意表を突いて、いかに早く殺すことが大切なんだよ・・・」


青鬼の顔を覆う黒装束の奥の口がニヤリと笑った。


指をパチンと鳴らすと、その先で小さな炎が上がる。


「オレは、身体のあちこちに火薬を仕込んでいる。それを、任意のタイミングで着火して、炎を放つことができるんだよ・・・。もちろん、この戦闘服は耐火性能があるからな。貴様らの戦闘服もそうだろう? だが、火薬の爆発は、単なる正拳突きでも威力をあげることができる・・・」


そう言って、山田に火傷を負わせ、架陰を正拳突きで吹き飛ばしたことの説明をした青鬼は、右手で刀を握り、左手を鉤爪のような形にした。


「さあ、直ぐに終わらせてやる・・・」


「くそっ!!」


架陰はめり込んでいた壁から背中を剥がすと、床を蹴って青鬼に斬りこんだ。


青鬼は涼しい顔をして、左手を振るう。


黒装束の袖から、黒い粉・・・、火薬が巻かれた。


パチンと指を鳴らした瞬間、その火薬に引火して、真っ赤な炎を上げる。


「くっ!!」


架陰は着物の袖で口を覆った。


炎を吸い込んでしまうと、喉の粘膜が焼けてしまうからだ。


「名刀【毒華】!!!」


炎を斬り裂いて、青鬼が短刀を振り下ろす。










ギンッ!!









何とか殺気を感知して、赫夜の刃でいなした。


「まだまだ!!」


青鬼は畳み掛ける。


だが、横から山田の手が伸びてきた。


直ぐに顔を逸らす。


山田の爪が、青鬼の右目のこめかみ辺りを掠めた。


カッと熱いものが走り、血が吹き出す。


「ちっ!!」


青鬼は架陰を襲うのを辞め、山田へと目標を定めた。


すうっと姿勢を低くして、山田の広い腹に左手を押し当てる。


かなり硬い腹筋だ。


「はあっ!!」


腕に仕込んだ火薬を炸裂させる。


ドンッ!!!


山田の腹で、強烈な爆発が巻き起こった。


「ぐっ!」


山田は唸り声を上げてよろめいたが、吹き飛ぶには至らなかった。


「お前、硬いな!!」


「それはどうも!!」


山田が豪腕を振り上げた。


放たれた拳が、青鬼の右肩にめり込む。


見事なカウンターだった。


ミシミシと、鎖骨辺りの関節が軋んだ。


「ぐっ!!」


青鬼は歯を食いしばったが、耐えきれずに殴り飛ばされた。


先程の架陰と同じように、壁に叩きつけられる。


「架陰殿!! 叩き込みましよう!!」


「はい!!」


山田と架陰が迫る。


青鬼は舌打ちをして、火薬を四方八方に撒き散らした。


「火炎霧!!」


それに引火させて、炎の壁を作り出す。


「うわっ!!」


架陰はビタッと、炎の前で立ち止まった。


炎は気をつけなければならない。


単に焼いてくるだけではなく、目くらましにも利用できるからだ。


思い出すのは、【架陰奪還作戦】時の、架陰と夜行との戦い。


夜行は、炎を使って架陰の視界を遮ったあと、背後から架陰の背中を貫き、心臓を握りつぶしたのだった。


(集中しろ!! 敵は必ず、炎に紛れて攻撃をしてくる!!)


架陰は【魔影】の能力を発動させた。


架陰の眼球に魔影が集まり、白目の部分が真っ赤に染まる。


魔影壱式【魔影眼】。


これを使用している間は、反射神経が爆発的に上昇する。


「殺気!!」


炎から、三枚の手裏剣が飛んできた。


架陰は名刀【赫夜】の刃で三枚の手裏剣を弾く。


「手裏剣は陽動だ!!」


炎の壁から、青鬼が飛び出した。


クナイを握りしめ、架陰へと一直線。


「架陰殿!!」


山田が架陰の前に立ち、振り下ろされたクナイを受け止めた。


「捕まえた!!」


「甘い!」


その瞬間、青鬼の身体から白い煙が放たれた。


青鬼に身体を捉えていたはずの山田の手の中から、青鬼の【身体】の感触が消え失せる。


「っ!?」


「知らないのか? 忍者ってのは、【変わり身の術】を使えるんだぞ?」


架陰の背後に、青鬼が立つ。


「いつの間に・・・!?」


「終わりだ!!」


青鬼は一瞬の間に、握りしめた短刀を振り上げた。


架陰の背中がカッと熱くなり、生温い血液が吹き出した。


青鬼の攻撃は終わらない。


その血が吹き出す傷口に、左手を押さえつけた。


「火薬、着火!!!」











ボンッ!!!!











架陰の背中で火薬が爆発する。


「架陰殿!!」


その爆風に煽られ、架陰は吹き飛ばされた。


まるで水切りの石のように、廊下の床の上を数回跳ねた。


教室の柱にぶつかって止まる。


「くっ、そ・・・」


架陰は刀を床に突き立てて立ち上がった。


この程度の傷、あの程度の爆発で、戦闘不能にはなれない。


「まだまだ・・・」


そう、身体に鞭を振って、青鬼に斬りかかろうとした。


ズキンッ!!と、架陰の背中が痛む。


「ぐっ!!」


架陰は片膝を立ててうずくまった。


青鬼はニヤリと笑った。


「刀に、神経性の毒を塗っている。今にもお前は、戦闘不能になるぞ?」














その③に続く










残り【78人】

その③に続く

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