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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
190/530

架陰と山田 その③

沈黙を含む私は


狼少年に憧れる


虚構を吐くことがどれだけ幸せなことか


沈黙は知っている


さあ今日も狼がやってきた


私は窓際から貴方を見つめてる


3


「残念だか、オレたちが殺ったのは、木瓜班の三席と四席だ」


突然、頭上からしわがれた男の声が降ってきた。


背筋に冷たいものが走るのを感じた架陰と山田は、勢いよく首を擡げた。


そこには、まるでスパイダーマンのように、天井からぶら下がり、仕留めた二人のUMAハンターを持った男がいた。


黒い装束で、口と額が覆われ、生気のない黒い瞳がこちらを見下ろしてくる。


腰には脇差が二本。


まるで、忍者のような姿をしていた。


男は、両手に持っていた二人の男を手放す。


既に戦闘不能だった男たちは、無力にも天井から落とされ、瓦礫の散乱する床に叩きつけられた。


「・・・っ!!」


一瞬、彼らの生死を疑う架陰。


それを察したのか、忍者姿の男は「安心しろ」と言った。


「死んではいない。神経毒を注入しただけだ」


「神経毒?」


「ああ。簡単に言えば麻酔だよ。UMAハンターの必需品だな」


そういうと、架陰たちの目の前に着地した。


「自己紹介と行こう。オレは、【藤班】副班長の、東堂樹(とうどういつき)。コードネームは【青鬼】だ。青鬼と呼んでくれ」


「青鬼?」


架陰は首を傾げた。


山田が耳打ちをする。


「藤班は、毒を用いた隠密殺法を主軸として戦う班です。そのために、コードネームを使っているのでしょう・・・」


「そうですか・・・」


と言われても、やはり、自分のコードネームを自分で言うなんて、不思議な感じだ。


「そんなことより!!」


脱線仕掛けていた話を、架陰は元に戻した。


「ここにいる二人!! UMAハンターだよね?」


「ああ、そうだ」


青鬼は素直に頷いた。


「どうして、倒したの? 僕達が狩るべきは、人間じやなくて、UMAのはずだよ!!」


UMAハンターは、未確認生物を倒すことが仕事だ。


決して、人間ではない。


「まさか、優勝したいがために、邪魔になりそうな人間を倒したってこと?」


「ふふ・・・」


何故か青鬼は鼻で笑った。


「半分正解だ」


「半分?」


「ああ。確かに、藤班は優勝を狙っている」


「じゃあ!!」


「だが、ここに倒れている木瓜班の二人を、『邪魔者だから』という理由で倒したのでは無い。れっきとした、【獲物】だったからだよ・・・」


「え、獲物?」


こいつは、一体、何を言っているんだ?


「見ろ・・・」


青鬼は、自身のトランシーバーの液晶を架陰と山田に見せてきた。


そこには、【23】という数字が記されていた。


「23?」


一体なんの数字だ?


「これが、今のオレのポイントだ」


「え・・・」


架陰はポカンと口を開けた。


「まだ始まったばかりなのに、もう23ポイントも手に入れたの?」


「そうだ・・・」


青鬼がトランシーバーを懐にしまう。


「だが、倒したのは三体」


指を三本立てた。


「一つ。【ゴートマン】。この校舎に侵入してきたから、倒した・・・」


それを聞いた山田が小さく舌打ちをした。どうやら、先を越されていたようだ。


「二つ。【木瓜班の三席】だ」


「なんだと?」


背中の辺りがザワりとした。


「どうして、人間を倒して、ポイントを貰えるんだ?」


「知らないのか?」


黒装束の奥の、青鬼の口がにんまりと笑った気がした。


小馬鹿にしたような口調で、架陰と山田に説明をする。


「人間を倒すと、【10】ポイント貰えるんだぞ?」


「・・・は?」


「このハンターフェスには、計二十班が参加しているんだ。分かるか? 二十班だ。ハンターフェスは毎年この時期に開催される。そして、我々藤班は、去年のハンターフェスにも参加しているんだよ・・・」


青鬼の、獣のように鋭く、冷たい視線が二人を射った。


「これは、裏ルールというものだ。人間を倒せば、【10】ポイント貰える。だから、木瓜班の二人を倒したオレは、合計で【23】ポイントを得たという訳だ・・・」


「そ、そんなルール、僕、聞いてないよ・・・」


「聞いていなくて当然だ。お前たち、桜班、椿班、そして、木瓜班、その他数班は、今回が初めてのハンターフェスだからな。この裏ルールに気づくためには、オレのようにルールを知っている者から教えてもらうか、または、自ら人間を倒して、ポイントを得るのを確認するしかない」


青鬼は、おもむろに、腰の脇差に手をかけた。


「この裏ルールを知っている者たちは、もう動き始めている。ルールを知らない者たちを、狩り始めている・・・、分かるか? お前たちは【ルールを知らない者】だ・・・。そして、オレは【ルールを知っている者】。【お前たちを狩る】者だ・・・」


青鬼の身体から、凍てつくような殺気がにじみ出る。


架陰はジリっと後ずさった。


「もしかして、僕達を・・・」


「狩る・・・。人間を四人も倒せば、40ポイントだ。優勝に王手をかけられるな・・・」


どうする?


逃げるか?


「架陰殿」


山田が長い腕を伸ばして、架陰を制した。


「契約通りに行きましょう。あの藤班の副班長を、架陰殿が倒してください。私が援護致します・・・」


「はっ!!」


青鬼が鼻で笑う。


「無理だな。知らないのか? 我々藤班は、【Aランク】だぞ? 【Bランク】と【Cランク】の椿と桜に負けるわけないだろう?」


「無理ではないです」


山田は無表情のまま頷いた。


「この方は、我らが班長の【堂島鉄平】が認める実力の持ち主です。貴方は今にも、ポイントとなり、架陰殿桜班の優勝への糧になるでしょうね・・・」














第59話に続く











残り【78人】

次回予告


架陰「人間が【10】ポイントも貰えるなんて聞いてませんよ!!」


山田「いいことを聞きましたね。では、これより私たちで、藤班の副班長を倒すことにしましょう・・・」


架陰「でも、この人、木瓜班の二人を倒したんですよ・・・、一筋縄じや行きませんね・・・」


山田「大丈夫です。私が援護します。それに、貴方と共闘して、貴方が倒れることになってしまっては、鉄平さんに怒られますから・・・」


架陰「じゃあ、行きましょう!! 協力して、藤班を倒しましょう!!」


山田「次回第58話・・・、【青鬼VS架陰&山田】・・・」


架陰「お楽しみに!!」

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