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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
180/530

番外編【真子の奇妙な冒険】その⑦

真に恐るべきは


目の前の脅威ではなく


一寸先の闇

7


「・・・、以上が、今回の任務の報告です」


椿班本拠地に戻った私と八坂さんは、総司令官室の椅子に座った味斗さんに、今回の任務の顛末を語った。


森に潜んでいたUMAは、鬼蛙。


その鬼蛙を一撃で倒したのは、学ランを着た男。


その学ランを着た男は、実は女の子であったということ。


「あと、『心響流』っていう剣術を使ってました・・・」


八坂さんが付け加えると、味斗さんは、顎に手をやって俯いた。


「『しんきょうりゅう』? 聞いたことがないな・・・」


「では、『一代目鉄火斎』の名を知っていますか?」


そういうと、味斗さんの目がはっと見開かれた。


「一代目鉄火斎だと?」


「知っているんスか?」


私が聞き返すと、味斗さんは、口ごもった。


「知っているというか・・・、つい最近、その【一代目鉄火斎】という名の男に会ったんだよ・・・」


え?


会った?


「どこで会ったンスか?」


「あそこだよ。【悪魔の堕慧児】のアジトの建物があっただろう?」


ああ、【市原架陰奪還編】で、私たちが乗り込んだ謎の施設のことか。


見た目は、古びた工場って感じだったけど、地下に超巨大施設が備えられていて、各階で、悪魔の堕慧児との激闘を繰り広げたあの場所。


架陰くんが暴れたおかげで、瓦礫になってしまったあの建物。


あそこで、「一代目鉄火斎」に出会った?


「まだはっきりとした正体はわかっていないが、架陰を回収した、最深部で自分のことを【一代目鉄火斎】と名乗る男に会ったんだ。年齢は、二十代後半から、三十代くらい・・・」


「どういうことでしょう・・・?」


あの、謎の刀を片手に、謎の剣術で、UMAを狩り尽くす女の子と、何か関係があるのだろうか?


「まあ、いい」


味斗さんは、ため息をついて、思考を辞めた。


「どの道、僕達は、またあの悪魔の堕慧児たちと交戦することになる。もし、その戦いに、【一代目鉄火斎】と名乗る刀鍛冶が参戦するというのなら、その女の子友とも必然的に再会することになるさ・・・」


そこまで言ったところで、味斗さんは、何かに気づいて、「いや、違う・・・」と声のトーンを落とした。


「どうして、刀鍛冶が悪魔の堕慧児に手を貸している? 刀鍛冶の仕事は、武器を作ることだぞ・・・、まさか、悪魔の堕慧児たちが持っている武器は全部、あの男から作られたものなのか・・・?」


ブツブツと、自分の頭の中に浮かぶ考察を声にしていく味斗さん。


私と八坂さんがそれを見ていると、味斗さんは我に返った。


「ああ、済まない。報告はこれでいい。一日中の任務で疲れただろう。今日はもう休んでいいよ」


「はい」


「はいっす!!」


私と八坂さんは、味斗さんに頭を下げて、総司令官室から出た。


ふぅー、やっと休める!!


「ああ、疲れたッス!!」


今日は早く風呂に入って寝たいな。


十時間は寝ないと、思考が働かないんだよなぁ。


「真子」


廊下を歩いていると、八坂さんが唐突に口を開いた。


「あの女、なんだったんだろうな?」


「ああ」


八坂さん、涼しい顔しながら結構気にしているみたい。


本当、あの女の子、誰だったんだろう・・・。


「すっごい柔らかいおっぱいしてたっス・・・」


「お前はまな板だからなぁ・・・」


「射殺しますよ?」


「そんなことより」


弓矢を構えようとする私を無視して、八坂さんは考察を続けた。


「あいつが使っていた剣術も気になるし、あの刀も気になる。なぜ女なのに、男物の服を着ているのも気になる・・・」


「また、会いそうッスね」


「そうだな・・・」


そんな事を話していると、廊下をドタドタと走る音が聞こえた。


振り返ると、味斗さんが慌てた様子で走ってきた。


「どうしたッスか?」


「忘れてた忘れてた!」


そう言って、味斗さんは私たちの前に立つ。


そして、手に持っていた封筒を見せた。


「これ、届いていたのを忘れていたよ・・・」


「なんすか?」


私はその封筒を受け取る。


封は既に切られていて、中に堅いカードのようなものが入っていた。


中を覗き込む。


「これは・・・」


見てみると、それは、白いカードに謎の花の模様が刻まれた「招待状」だった。










招待状・・・椿班一同様


貴班を、○月○日に開催される、UMAハンター戦力強化交流会【ハンターフェス】に招待します。


代表・・・四天王スフィンクスグリドール











「ハンターフェス?」


なんだこれ?


首を傾げる私に対して、八坂さんは困惑の表情を浮かべていた。


「ハンターフェスだと!?」


「知っているッスか?」


「噂で聞いたことがある・・・」


八坂さんは唾を飲み込んで説明した。


「UMAハンター達が集められて、戦闘力の強さを競い合う大会のことだよ・・・、四天王のスフィンクスグリドール様が主催していて、かなり黒い噂のある大会だ・・・」


「そんな大会に、私たちが招待された?」


「そうみたいだね」


味斗さんが額に冷や汗を浮かべて頷いた。


「上の命令だから、従うつもりでいるけど、かなり危険な大会だということは分かる・・・」


ハンター、フェス・・・。


背筋の辺りがゾワゾワとした。


この日から二週間後、私たち椿班は、狂気の大会、【ハンターフェス】に出場することになる。


そこで出会う、数々のUMAハンター達。


数々の、UMA達。













その激闘の【ハンターフェス編】は、また次回・・・。


どうも、作者のバーニーです。

最近身バレしました。クラスのみんなに、なろうで書いているということがバレるのは時間の問題ですね。


まあ、UMAハンターは書き続けます。まだまだストーリーは折り返しにも来ていないので。






さて、今回【真子の奇妙な冒険】という番外編を書かせてもらいました。

本当は書く気は無く、【架陰奪還編】が終われば、そのまま【ハンターフェス編】に移行するつもりでした。

ですが、架陰奪還編でかなりシリアスな展開を書いたので、久しぶりにコミカルなストーリーが書きたかったのです。

真子と八坂はお気に入りですね。特に、ギャグ要因とツッコミ役として使いやすいです。

そんな二人が主役のお話でしたが、実はこれ、【ハンターフェス編の前日譚】のつもりは無く、ハンターフェス編の後に構想している【名刀・秋穂編】の前日譚であります。

作中に登場する「学ランの女の子」は、この秋穂編の主要キャラになります。そして、桜班の新戦力となります。しばらく登場シーンは無いのですが、覚えて頂いておくと幸いです。










いつも読んで下さる皆さん、本当にありがとうございます。

これからもUMAハンターは続いていくので、飽きずに読んで頂きたいです。


それでは、次回より【ハンターフェス編】開幕です。


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