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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
165/530

伝説の力 その②

村人は村人だ


勇者は勇者だ


しかし村人は


大地の神の恩恵を受ける


しかし勇者は


天の神の恩恵を受ける

2


「雷息!!!」


味斗が息を吐いた瞬間、口から眩い雷撃が放たれる。


雷撃は空中にジグザグの軌道を描いて、アクアの能力で固定されている悪魔に直撃した。











ドンッ!!!!











爆発のような光が発せられ、悪魔を捉えていた水が破裂する。


蒸発した水が、煙のようになって立ち込め、その中から悪魔が飛び出す。


「仕損じた!!」


ここまでは想定内だ。水で動きを封じて、雷撃を当てたぐらいでは、あの悪魔が倒せるとは思っていない。


「追い込め!!!」


鑑三が悪魔との距離を詰める。


悪魔と鑑三の拳が衝突した。










ドンッ!!!!










うち負けたのは悪魔の方だった。


腕がパキリと折れ、バランスを崩す。


そこに、鑑三が蹴りを入れる。


「がっ!!」


悪魔は蹴り飛ばされ、奥の壁に身体をめり込ませた。


鑑三は追撃する。


「【蓄積】!!」


走りながら、右腕の筋肉にエネルギーを蓄積させていく。


悪魔は腕を再生させると、壁にめり込んだ身体を引き剥がした。


(エネルギーを蓄積した拳を受けるのはまずいな・・・)


だが、奴の能力の封じる方法は分かる。


悪魔は指先に魔影を発生させた。


ビー玉程度のそれを、鑑三に向かって放つ。


「っ!?」


飛んできた魔影が、鑑三の足元に直撃して、衝撃波を発生させる。


「くっ!!」


バランスを崩した。


直ぐに悪魔が壁を蹴って鑑三との距離を詰めると、素早く鑑三の右腕に爪をくい込ませた。


「終わりだよ」


「ちっ!!」


その瞬間、鑑三の腕から、「ボンッ!!!」と、機械がショートした時のような音を立てた。


「っ!!」


鑑三の顔が苦痛に歪む。


「お前の能力の弱点だ。エネルギーの蓄積中に、外部から攻撃を入れられると、エネルギーが暴発して、筋肉が粉砕する」


悪魔は鑑三の腕を掴んだまま、鑑三を振り回して、床に叩きつけた。










ドンッ!!!!











先程の仕返しのように、鑑三の身体が床にめり込んだ。


「鑑三さん!!!」


アクアが後方から援護する。


手を突き出し、超強力な水砲を放った。


「っ!!」


悪魔は上へと飛んでそれを躱した。


「逃がさない!!」


アクアが印を結び、放った水を操作する。


水が生き物のように蠢き、上空の悪魔に迫った。


「させん!!」


悪魔の手のひらから衝撃波を放ち、水砲を相殺する。


散り散りになった水が、豪雨のように降り注ぐ。


床の上で水が跳ね、霧を立ち込めさせた。


「味斗!!!」


場は水気で満たされた。


味斗の出番だ。


「了解!!」


味斗はミントタブレットのケースから、青色のタブレットを取り出した。


「【コールドミント】!!」


口に放り込む。


味斗の能力は【味】の実体化。舌先で感じた「冷たい」「熱い」「痺れる」ような痛みは、現実の冷気、炎、雷撃となって口から放つことができる。


「【氷息(アイスブレス)】!!!」


味斗の口から冷気が放たれた。


冷気は鈍足ながらも、霧の中に佇む悪魔に直撃した。


アクアが満たしていた水気のおかげで、威力を増し、悪魔が氷漬けになる。


「鑑三さん!!」


「任せろ!!」


鑑三がめり込んだ床から立ち上がる。


「能力【蓄積】!!!」


左腕にエネルギーを蓄積させ、悪魔を封じ込めた氷の岩に迫る。


その寸前で、悪魔が氷を砕いて脱出する。


「インパクト・クロウ!!!」


鑑三の拳が、悪魔の腹に直撃する。









ドンッ!!!!










「くそっ!!」


悪魔が血を吐いた。


「うおおおおぉ!!!」


鑑三は雄叫びを上げて、腕を振り抜く。


悪魔の腹は、クレーターのように大きく凹み、裂けた皮膚からあばら骨が飛び出した。


力なく吹き飛ばされ、奥の壁に衝突。土煙が湧き上がった。


「どうだ・・・」


鑑三の両腕がダランと垂れた。全力で放ったために、筋肉が引きちぎれたのだ。


煙の中から、悪魔が動き出すような気配は無い。


「ちょっと鑑三さん!! 一応、あれは架陰の身体ですよ!?」


容赦ない鑑三の攻撃にアクアが困惑した。


戦いに夢中で忘れがちだが、悪魔は現在、架陰の身体を依代として実体化している。つまり、悪魔の身体は架陰なのだ。


鑑三は煙から目を離さなかった。


「大丈夫だ。怪我をしても回復薬がある」


「そういう問題じゃ・・・」


まあ、水責めにしたアクアにも非はある。


鑑三は右脚にエネルギーを蓄積させ、悪魔がいつ飛び出して来てもいいように備えた。


土煙が晴れる。


そこには、砕けた瓦礫があるだけで、悪魔は消えていた。


「っ!!」


「悪魔がいない!!」


どこに消えた?


例え悪魔と言え、実体化した生物。動けば土煙は荒れるだろうし、その音だってする。


何より、アクア、味斗、鑑三の三人は伝説のUMAハンターだ。気配は直ぐに感じることが出来る。


「どこだ!?」


味斗がミントタブレットのケースを握りしめる。


その瞬間、強い力が手のひらに加わり、ケースを弾かれた。


「っ!?」


天井へと打ち上がるタブレットケース。


懐に、悪魔が潜り込んでいた。


「こいつ!!!」


「貴様の能力は封じた!!!」


タブレットがなければ、味斗は能力を発動出来ない。


悪魔の拳には、魔影が纏わりついている。


「【魔影拳】!!!」














その③に続く



その③に続く

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