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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
159/530

悪魔大翼 その②

必殺技を持たない僕は


傘の柄を握りしめ


降りしきる雨粒に刃を振るう

2


「畳み掛ける!!!」


この隙を逃さない。


架陰は、強い決心のもと、夜行へと斬りかかった。


「魔影刀!!!」


魔影が名刀・赫夜の白銀の刃にまとわりつき、漆黒の大剣と化す。


「舐めるな!!」


夜行は吹き飛ばされた腕に力を込め、一瞬で再生させた。


(ちくしょう・・・)


架陰の魔影刀を喰らえば、確実に身体のどこかが欠損する。欠損すればするほど、戦闘能力は落ちる。それを再生するのにも隙が生まれる。


「はあっ!!!」


架陰の黒い刃が、夜行の右肩に叩き込まれた。










ドンッ!!!











夜行の右半身が肉片になって飛び散る。


「ひひひひひ、今だ!!!」


夜行は、右手でパチンッと音を鳴らした。


その瞬間、飛び散った肉片が生き物のように蠢き始める。


「っ!?」


ベタベタと、架陰の身体にまとわりついた。


「死ねや、肉爆弾!!!」










ドンドンドンドンドンドンッ!!!










肉片が次々と破裂していき、架陰の肉を吹き飛ばした。


架陰の肩や腕、脚に腹の肉が大きくえぐれ、血液が噴出した。


「ぐっ!!!」


さらに夜行の操った肉片が、架陰の右足首にへばりついた。


「っ!?」


「歩けなくしてやる!!」


肉片が破裂する。


架陰の右足首から下が消し飛んだ。


「があっ!!!」


激痛にバランスを崩した架陰は、反射的に脚を前に出した。だが、右足は消えている。


ゴリッと、断面からはみ出した白い骨が架陰の身体を支えた。


「痛っ!!!!」


架陰は、すかさず魔影を脚に纏わせて補強した。


「傷が深い・・・!!」


今の攻撃で、かなりの体力を奪われた。すぐにでも、夜行の肉を喰って回復しなければならない。


「【魔影脚】!!!」


架陰は、魔影を纏わせた左脚で床を蹴り、半ば強引に夜行へと距離を詰めた。


「そう来ると思ってたぜ!!」


夜行は先を読んでいた。


身体の一部を欠損した架陰は、必ず自分の肉を喰って回復しようとしてくる。つまり、自分と距離を詰めてくるということだ。


「ひひひひひ!!!」


既に再生した右腕を、左手でむんずと掴む。


ブチブチと、筋繊維や神経、肉を引きちぎり、その右腕を架陰に向かって投げた。


「死ねや!!!」


「ちっ!!」


架陰は魔影刀を振り、夜行の腕を切断した。


その瞬間、腕の肉が破裂する。










ドンッ!!!










「ああっ!!!」


爆風に煽られた架陰は、バランスを崩し、床に不時着した。


二人の激闘で、まるでヤスリのようにざらついた床に身体を擦ったおかげで、架陰の頬の肉がベロリと剥がれ落ちる。


「・・・、クソ・・・」


それでも架陰は手を着いて立ち上がった。


架陰の顔の右半分は、皮がめくれ、理科室の人体模型のように筋肉の繊維が覗いていた。


ジュクジュクと血が流れ落ちる。


「はあ・・・はあ・・・」


「ヒヒヒヒヒ、どっちが化け物かわかんねぇな」


夜行はゆらゆらと架陰に近づき、血まみれになった架陰の首を掴んだ。


「ぐっ・・・」


指が首に食い込む。メリメリ、メリメリと肉に埋まっていく。あと数ミリで、架陰の大動脈が裂けてしまう。


「終わりだよ・・・」


夜行はそう呟くと、手の力を強めた。


その瞬間、架陰が手に握った何かを投げる。


「っ!?」


架陰が投げたのは、二人の激闘で崩れた床の破片だった。


たった数センチの破片に何ができるのか。


架陰は、その破片に魔影を纏わせていたのだ。










パンッ!!











魔影を纏わせた破片が夜行の右頬に触れた途端、衝撃波が放たれ、夜行を怯ませる。


架陰はその隙に夜行の手から逃れると、体重をかけて、夜行の首筋に噛み付いた。


再び、口の中に苦い味が広がる。


「くっ!!」


一思いに、肉を噛みちぎった。


「てめぇ!!!」


夜行が腕を振りきるよりも先に、架陰は、床を蹴って夜行から距離をとった。


夜行の肉を飲み込む。


直ぐに、吹き飛んだ右足と、抉れた傷が治った。剥がれた頬の皮も綺麗に元に戻った。


「はあ・・・はあ・・・」


夜行の肉の力は凄い。少し食べただけで、身体中の傷が再生し、腹の底から活力が湧いてくる。


それなのに、架陰の呼吸は荒く、速かった。


(これ以上、肉を食べるわけにはいかない・・・)


化け物とはいえ、元人間の肉。人肉だ。


一口噛めば噛むほど、自分が人間から離れていくような感覚がした。


架陰は刀を構えた。


「そろそろ、決着といこうか・・・」


夜行も同じことを考えていたらしく、「ヒヒヒヒヒ!!!」と笑った。


「いいね。とっとと殺してやるさ・・・」


架陰は脚に纏わせた魔影を解除した。


その魔影を、魔影刀に纏わせる。


参式により発生した魔影の全てが、架陰の握る名刀・赫夜に集中して、赫夜の刃は、巨大な大剣となった。


「じゃあ、見せてあげるよ・・・」


魔影の形が崩れないよう、神経を集中させる。


「僕の、必殺技を・・・!!」














その③に続く

その③に続く

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