表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UMAハンターKAIN  作者: バーニー
157/530

魔影・参式 その③

朽ちゆく肉体に鞭を打ち


今日も僕は荒野を駆ける

3


「【魔影】・【参式】!!!」


架陰がそう叫び、能力を発動させた。


架陰の体表から湧き出す、漆黒のオーラのような、煙のような、影のようなものを見た時、夜行は、「弐式とは変わらねぇな」と思った。


魔影の仕組みは、もう理解した。


身体や武器に纏わせ、対象物との間に衝撃波を発生させる能力だ。


つまり、脚に纏わせれば、足裏と地面との間で反発を起こし、超起動と超速の動きを実現する。


腕に纏わせれば、拳と対象物との間で衝撃波を発生させ、相手を粉砕する。


そして、刀に纏わせれば、斬りこんだ相手に衝撃波を叩き込み、一刀両断する。女郎がやられたのもこの能力の力だ。


【参式】と聞いて、何が変わるのかと思えば、とんだ子供だまし。


「・・・、いや違うな・・・」


夜行の肌がピリッとした。


明らかに、変化した。


架陰の身体から発せられる魔影の量が、弐式の時の比じゃない。明らかに、増えている。


「【魔影】【参式】は、弐式の時の二倍量の魔影を発生させる!!」


二倍とは、単に量が増えただけでは無い。


架陰は、【魔影刀】、【魔影脚】、【魔影双拳】、【魔影盾】と、弐式の系統を使い分けていた。


そのため、【魔影脚】を発動させた時は、必ず刀と腕が留守になる。逆に、【魔影刀】を発動させたときは、脚や腕が留守になるのだ。


つまり。


「【参式】は、弐式で使用可能だった、形態を、二種類同時発動させることが出来るんだ!!」


架陰がそう叫んだ瞬間、架陰の指示で、魔影が蠢き、形を変え始めた。


二つに別れた魔影は、架陰の刀に、脚に纒わり付く。


「これが僕の新たな力!!」


架陰の握る名刀・赫夜の刃に魔影が纒わり付き、漆黒の大剣と化す。


架陰の脚に纒わり付いた魔影は、ゆらゆらと陽炎のようになりながらも、三本の鍵爪のようなシルエットを作り出した。


「【魔影】・【参式】・【魔影刀】+【魔影脚】!!!」


架陰の新たな形態を前に、夜行は身震いした。


分かる。ただの虚仮威しではない。


架陰は、明らかに強くなっている。


「ひひひひひ・・・」


思わず、笑みが漏れていた。


架陰が、漆黒の魔影刀を夜行に向ける。


「・・・、行きますよ」


夜行もまた、剣を構えた。


「来い!!!」


次の瞬間、架陰は床を蹴っていた。


足裏で魔影の衝撃波が炸裂して、床の岩を粉砕する。


まるでロケットのように放たれた架陰の身体は、一直線に夜行に迫った。


「獄炎!!!」


「魔影刀!!!」


夜行が黒い炎を放つが、架陰の黒い斬撃がそれを吹き飛ばす。


刃から放たれた衝撃波が、まるで刃物ような鋭さを持って、夜行の右肩を抉った。


「ぐっ!?」


抉ったとは語弊がある。正確には、「消し飛ばした」だった。


「にゃろぉ!!」


夜行は右肩に力を込め、新たな腕を生やす。


間髪入れずに、架陰の魔影刀がその腕を切り落とした。


「こいつっ!!」


夜行は床を蹴って架陰から距離を取ろうとした。


だが、架陰の魔影脚は、夜行の回避スピードを上回る速さで夜行との間を詰めた。


(こいつ、反射能力も上がってやがる!!!)


架陰は身を捩り、夜行の腹に蹴りを入れた。









ドンッ!!!










衝撃波が炸裂して、夜行の腹の肉が消し飛ぶ。


「ちっ!!」


胃袋、腎臓、それに脊椎までもが吹き飛ばされた。体幹も粉砕されたので、身体を支えられない。


バランスを崩したところ、架陰が魔影刀を振り下ろす。


夜行は、剣で受け止めた。


魔影刀の漆黒の刃は、剣の刃を、いとも簡単に叩き折ると、勢いそのまま、夜行の右鎖骨に衝撃波を食らわせた。











ドンッ!!!!











夜行の右半身が消し飛ぶ。


「くそっ!!」


夜行は、力を込めた。


早く。早く再生しろ。


例え不死であろうが、身体が消えれば、戦いに支障をきたす。


だが、架陰は速かった。


「はあっ!!!」


夜行の身体が再生する前に、魔影刀を連続で叩き込む。


その度に夜行の身体は、魔影から発せられる衝撃波に当てられ、肉体を、ミンチのように削られていった。


そしてついに、夜行が生首だけとなった。


「だアッ!! くそ!!」


首だけとなっても生きている夜行は、辺りに飛び散った自身の肉片に司令を入れた。


架陰が夜行の生首に刀を振り下ろそうとした瞬間、架陰の腕が重くなる。


「っ!?」


夜行が操作した肉片がこびりつき、架陰の腕を止めていたのだ。


無理やり振り切るが、振り遅れ、衝撃波が何も無い場所を穿ち、床の岩を粉々に砕く。


その隙に、夜行は、再生を始めた。


首から下の胴体が生え、腕が生え、足が生える。


「よし!!」


裸体になろうと、完全に回復した夜行は、肉片に戸惑う架陰に攻撃を仕掛けた。


「喰らえ!!!」


夜行の腕が伸縮して、触手のようにうねりながら架陰に迫る。


「っ!?」


架陰の刀を握る腕を掴んだ。


「肉爆弾!!」


その瞬間、架陰の手が、夜行の手諸共破裂する。


「ぐっ!」


手首から先が吹き飛ばされた架陰は、血を垂らしながらうずくまった。当然、魔影は解除され、手を離れた刀が床に落ちる。


「さあて、もっと楽しんで行こうぜ!!」









第51話に続く

【魔影・参式】について


魔影とは、漆黒の影のような物質である。これが物体に触れると衝撃波を発生させる。イメージによって自在に動き、形を変える。架陰は、これを刀や腕に纏わせて強化している。

参式は、弐式の二倍の量の魔影を発生させることが出来る。

そのため、【魔影刀】や【魔影脚】等を同時に発動させることが出来るのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ