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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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【第46話】死神の鎌 その①

一番の恐怖は


貴方が微笑むこと


一番の喜びは


貴方が怒ること


空虚な刃では人を殺せず


祈りを込めた拳でその頭骨を叩き割る

1


「ふう・・・」


笹倉は息を吐くと、腹から突き出る鉄棍を掴んだ。自身の血液で、手の中がぬめる。


一思いに引き抜いた。


傷口から一瞬血が吹き出したが、腹に力を込めてすぐに止血する。


「おもしろい」


そう言って笑った。


完全に油断していた。自身の雷撃が直撃した鉄平は、恐るるに足らずと思っていた。


だが、鉄平は攻撃を当ててきた。


凄まじい投擲技術だ。それに、あの鉄棍には、あの風使いの女が、竜巻を纏わせていた。だから、貫通力が増したのだ。


「どうだあっ!!」


鉄平が叫んだ。


「これがオレとカレンの連携だよ!!!」


「ああ、凄いぜ」


笹倉は素直に認めると、血塗れの鉄棍を鉄平に投げ返した。


「オレの雷撃で吹き飛ばされることまでも計算の内だったんだろう? そして、油断したオレの背後に鉄棍を投げた。しかも、そこにいる風使いの女の竜巻を纏わせ、威力をあげてきた」


「あら、その通りよぉ」


カレンはふふっと微笑んだ。


「正確には、私が鉄平くんを【風神之槍】で攫った時にはもう、彼の鉄棍には竜巻を纏わせておいたわぁ」


見かけによらず、かなり手癖の悪いことをしてくれる女だ。それでいてあの表情。


(ああいう女が一番気持ち悪いよな・・・)


笹倉は手に付いた血を、革鎧の布部で拭き取った。


名刀・雷光丸を握り直す。


「さあて、続きと行こうか」


「ええ、そうねぇ」


真っ先に動き出したのは、カレンだった。


翼々風魔扇を振り、風を発生させる。


笹倉は身構えた。あの風に吹かれたら、飛行バランスを崩しかねない。


だが、風は鉄平の方へと吹き付け、彼の握る鉄棍の周りを旋回し始めた。


「【鉄棍】+【風神】!!」


風属性を宿した鉄棍を、空中の笹倉へと投げつける。


ヒャンッ!!


と空を切り、鉄棍が笹倉に迫った。


「速い!!」


思ったよりも速い。竜巻で加速されている証拠だ。


「二度目は喰らわねぇ!!」


雷光丸の刃で弾く。


勢いを殺しきれなかった。手が痺れる。


「くっ!!」


よろめいた所を、カレンの【翼々風魔扇】が発生させた竜巻の槍が直撃した。


「【風神之槍】!!!」


「二度目は喰らわねぇと言ったはずだ!!」


笹倉は雷撃を刃に集中させると、竜巻に向かって振り下ろす。


もろに喰らったものの、笹倉は耐えきり、地面への落下を防いだ。


「っ!!」


カレンの喉の奥から驚嘆の声が漏れた。


「竜巻の勢いが、弱まった・・・!?」


確かに、カレンの竜巻の槍は笹倉に直撃した。あの勢いなら、彼を地面に落とすことだって可能だった。


だが、彼は耐えきった。


「へへ・・・」


笹倉は雷撃を纏った雷光丸をカレンに向けた。


「雷光丸に熱を持たせた。風は空気の流れだからな、高温の刃で相殺できるんだよ!!」


「あらぁ。賢いわねぇ」


「あんたはずる賢こそうなだな」


戦闘中なので多くは言わないが、先程の竜巻を喰らった時、笹倉はある気配を感じ取った。


殺気だ。


それも、かなり深い殺気。ニコニコ微笑みながら発生させた竜巻に、あれほどの殺気を乗せるなんて、自分でも無理だ。


だが、カレンはそれをやってのけた。


ニコニコと笑いながら、胃の奥がムカつくような殺気を竜巻に乗せて攻撃してきた。


(気持ちわりぃ・・・)


まあ、人のことを言えたのもではないな。と思いながら、笹倉は名刀・雷光丸を構えた。


鋒に雷撃を集中させ、天井へと向ける。


「【雷光丸】!! 【裁】!!」


レーザーのような黄金の光が天井へと放たれた。


雷撃は天井付近で寄り集まり、強大な雷の塊へと変化する。


「あれはっ!?」


鉄平が後ずさる。


何か凄いものが来ることぐらいは容易に想像できた。


「さあ、耐えれるかな?」


【雷光丸・裁】は、上空に雷撃の塊を発生させ、任意のタイミングで放つことができる大技。


強大なエネルギーが一気に拡散された時、それは無差別に地面へと降り注ぐ。


「喰らえ!! 【裁きの雨】!!!」


雷光丸を振り下ろした瞬間、「バチイイインッ!!」と炸裂音が響き渡り、雷撃の塊が拡散した。


無数の雷撃の雨が降り注ぐ。


「くっ!!」


「これは・・・!!」


「あらぁ、危ないわねぇ」


三人は各々で落ちてくる雷撃を躱した。


「ハハハハハッ!!! オレもどこに落ちるかは分からねぇぜ!!」


雷撃一発一発は大した威力ではない。だが、当たれば確実にダメージを受ける。


ダメージを受けることよりも恐ろしかったのが、陣形が崩れることだった。


カレンが落ちてきた雷撃を躱した瞬間、その間隙を縫って、笹倉が襲いかかってきた。










ギンッ!!!










雷光丸の刃を、翼々風魔扇の柄で受け止める。


「へぇ、なかなか反応がいいな」


「あらぁ。あなたもこの雷撃の雨を抜けて攻撃を仕掛けてくるなんてすごいわねぇ」


笹倉はニヤッと笑い、強く踏み込んだ。


「雷撃を放ったのはオレだぜ。お前らよりかは扱いには長けているんだよ!」


カレンの足が数センチ引き下がる。


笹倉はさらに刃を押し込んだ。


「さあ、そろそろ終わりにしようぜ!!」











その②に続く



その②に続く

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