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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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【第44話】獄炎 その①

幸運とは勝者の謙遜で


不運とは負け犬の遠吠えに過ぎない

1


「さあ、始めようぜ!! オレの命が尽きるまで!! お前の命が尽きるまで!! 百年、千年と!!!」


夜行がそう叫んだ瞬間、会場は熱気に包まれた。


観客席に座った、何百人という悪魔の堕慧児達が「うぉぉおおおおぉぉおおおおおおぉぉおおおおぉぉおおおおおお!!!」と歓声をあげた。


「殺れ!!」「殺っちまえ!!」「夜行殿!!」「王の器よ!!!」「人間の限界を超える戦いを!!」


架陰の名を呼ぶもの、夜行の名を呼ぶもの、半々と言ったところだった。


架陰は深呼吸をして気を落ち着かせると、名刀・赫夜を中段に構えた。


いつでも夜行が襲ってきてもいいように備える。









『いいかい。架陰。今から、ボクが夜行の弱点を言うから、君はその通りに動くんだ・・・』









「はい・・・」


架陰は精神の中に住み着く男に向かって頷いた。


夜行が床を蹴り、架陰との間を詰めてくる。


『来たよ!!』


「はい!!」


夜行が振り下ろした刃を、名刀・赫夜で受け止めた。


【地を這い仰ぎ見る黒狼の脊椎】のギザギザとした刃が、架陰の赫夜の滑らかな刃の動きを封じる。


「っ!!」


「ヒヒヒヒ!!」


さらに刃をねじ込み、架陰に引かせないようにした。


そこに、強烈な蹴りがお見舞される。


「がはっ!!」


怪我が治癒したあとの腹蹴りはかなり応える。踏ん張りが効かず、吹き飛んだ。










『架陰、たとえ異形でも、夜行は元UMAハンターだ。体術なら、君よりも上回っている!!』










架陰は空中で体勢を整え、着地する。丁度そこに、架陰が流した血溜まりができており、足元を掬われる。


「しまった!!」


「お前馬鹿かよ!!」


夜行が直ぐに斬りこんできた。


「UMAハンターってのは、地形も利用するんだよ!!」


夜行が架陰の首に狙いを定め、剣を一閃する。


「くっ!!」


ならば、地形を利用してやろうじゃないか。


架陰は、足元の血液を利用して、足を滑らせた。


するんっと、架陰の姿勢が低くなる。


刃は、架陰の頭上を通った。


「っ!!」


驚いた夜行に、名刀・赫夜を振り上げる。









ザンッ!!!









手応えあり。


夜行の顎がぱっくりと割れ、黒い血液が飛び散った。


「よし!!」


「あめぇ!!」


一瞬で、夜行の顎の傷が塞がる。


そして、姿勢を低くしている架陰の顔面に、夜行の、杖のように細い脚がめり込んだ。


「吹き飛べ!」


「ぐっ!!」


前歯が二本折れた。


舌先に鉄の味が込み上げる。


足元が血のせいで、またしても踏ん張りが効かず、蹴り飛ばされた。


「終わらせてやる!! ヒヒヒヒ!!!」


夜行が空中の架陰目掛けて跳躍する。










『架陰!! いいね? 体術なら、夜行の方が勝っている。だけど、攻撃力なら、君の方が上だ!!』










「【魔影】発動!!」


架陰は一瞬の判断で、能力を発動させた。


漆黒のオーラ、魔影を名刀・赫夜の刃に纏わせ、大剣と化す。


「【魔影刀】!!!」


迫り来る夜行に向かって一閃する。









ドンッ!!!









夜行の右肩から、左腰に掛けて、黒い線が走った。


そして、見事、真っ二つに切断される。


架陰は身を捩り、さらに一閃。


今度は、上半身と下半身に切断された。


「ちっ!!」


バラバラに斬られた夜行は、舌打ちを一つして、落下した。


ドチャドチャっと、血飛沫を上げて、夜行のバラバラ死体が床に落ちる。


だが、直ぐに切断面と切断面が合わさりあって回復した。


「どうだ、直ぐに回復するんだぜ?」


夜行は何事も無かったかのように起き上がり、コキコキと首の骨を鳴らした。さらに勢いを付けて首を捻ると、ゴキッゴキッと首の骨が折れる音がする。


「こんだけやっても死なねぇんだ。諦めな」


「・・・っ!!」


架陰は喉の奥から込み上げる吐き気を必死に抑えた。


気持ち悪い。


気持ち悪いのだ。この男は。


簡単に自らの首を落とし、簡単に、自らの首の骨を折る。そして、いとも容易く回復してしまう。


細切れになるまで刻もうが、分離した細胞どうしが、引かれあい、くっついてしまう。









『大丈夫だ。攻撃は命中している。これを繰り返すんだ』










「攻撃を、繰り返す?」


『ああ、やつの治癒能力には限度がある。どれだけ再生能力が高くとも、確実に彼の中にあるモケーレムベンベの細胞は摩耗するはずだ』


夜行が治癒出来なくなるまで、再生を繰り返す?


一体、どれだけ攻撃を当てればいいのだ?


夜行はニヤッと笑った。


「さしずめ、オレの攻略方法を聞いているんだろうが、あまり期待しない方がいいぜ。ひひひひひひ」


「?」


「オレは、10年前とは違うんだよ」


夜行は自分の腕を手に取り、関節の逆方向へ折り曲げた。


ボキッと渇いた音を立てて、夜行の右腕が直角に折れ曲がる。


だが、直ぐに元に戻った。


「オレは進化する。10年前、アクア達に殺されたあの日から、お前と、あいつらを殺すことを夢見て、生を乗り越えてきた!!」


剣を握りしめ、上段に構える夜行。


「さて、続きと行こうぜ。ひひひひひひ・・・!!!!」










その②に続く

その②に続く

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