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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
131/530

通りゃんせ その③

天神様の細道じゃ


御用の無い者通しゃせん

3


目の前で起こった、ありえない現象をみて、架陰は息を呑んだ。


夜行は、握っていた剣で、自分の首を斬り落としたのだ。


そして、転がってきたその首は、ニヤリと笑った。


首を失った胴体は、グラグラと動いた。


そして、落ちていた首を掴み、元の位置に戻したのだ。


「これがオレの特性、【不死】だよ!!」


「・・・、不死、だと!?」


「そうさ、不死だ」


夜行は剣の鋒を架陰に向けた。


「どんな攻撃だろうと、オレは直ぐに再生する。つまり、永遠に戦い続けられるってわけだ」


「・・・!!」


目を見開く架陰の耳元で、また、あの謎の男が囁いた。










『惑わされるな。彼の特性は、【不死】じゃない!!』










その言葉に、架陰も、精神を使って謎の男に語りかけた。


『どういうことですか?』


『彼は、夜行。元UMAハンターだ』


『元、UMAハンター!?』


あの殺意に満ちた異形者が、架陰と同じUMAハンターだとは思えなかった。


それと同時に、「どうしてそんなことを彼は知っているのか?」と疑問を抱いた。


『彼は、100年前に、【モケーレムベンベ】というUMAを喰って、不死にも勝る【治癒能力】を手に入れた男だ』


「治癒能力!?」


思わず、声に出てしまった。


夜行のニマニマとしていた顔が、ピクっと動いた。


「おいてめぇ、誰と話してやがる」


「・・・!!」


「そうか、お前に取り憑いた男とか・・・」


夜行が身を屈ませ、架陰と視線を合わせた。


「ヒヒヒヒ、聞こえているんだろ? 声が」


「声・・・」


もちろん聞こえている。


そして、夜行に気づかれた。


夜行は、奇妙なことを言い出した。


「おい、どっちだ? 悪魔と、シャドウピープル、どっちと会話している?」


「どっち?」


わけが分からない。


夜行はふっとため息をついた。


「いや、シャドウピープルの方が。悪魔がオレの特性の正体を知っているはずがねぇからな」









『架陰、やつの言葉は無視しろ!!』









無視をしろと言われたところで、架陰は聞いてしまった。自分の心の中に住み着く、この男の手がかりとなる情報を。


架陰がUMAハンターになった理由の一つとして、「あの男の正体を探る」も含まれているのだ。


『夜行と、貴方の関係は、何ですか?』


『今は彼を攻略することを考えるんだ!! 正直、ボクも彼の登場は予想外だった。まさか、やつらが夜行を復活させているとは、思わなかった!!』


『っ!!』


正直、腑に落ちない部分はあった。だが、この男は、自分に危害を加えない。味方だと信じている。


架陰は、精神の中の男に従うことにした。


『夜行は、元UMAハンター。10年前にむはんを起こして、アクア達に討伐されている。実際、彼はこの10年間、【死んでいた】んだ。必ず、攻略方法はあるんだ』


『分かりました・・・』


丁度そのタイミングで、腹の傷が塞がった。クラっとした感覚は消えないが、何とか動けそうだ。


両足で立ち、名刀・赫夜を中段に構える。


夜行はゾクゾクっとした感覚を抑えられずに笑った。


「ヒヒヒヒ、オレは殺せねぇよ。10年前、オレを殺したと思い切っていたアクア達でさえ、オレの復活は予想不可能だったろうが」


【地を這い仰ぎ見る黒狼の脊椎】の刃を、架陰に向けた。


「さあ、お喋りは終わりだ。ここからは、狂騒の時間だぜ・・・、ヒヒヒヒ!!!」


「くっ!」


架陰は床を蹴って夜行から距離をとった。


直ぐに夜行も追いかけてくる。


架陰は腰の刀に手をかけた。


「【地を這い仰ぎ見る黒狼の脊椎】!!」


「名刀、【赫夜】!!!」










ギンッ!!!











二人の刃が衝突した。


押し負けたのは、架陰の方だ。


「強い!!」


ふらついて、夜行の刃に吹き飛ばされる。


何とか、踏みとどまった。










『架陰!! 最初からフルパワーで行け!!』








「・・・、分かりました!!」


謎の男の言葉に従い、架陰は能力、【魔影】を発動させた。


夜行の圧倒的スピードと、圧倒的パワー。そして、圧倒的再生力を前に、対抗できる戦闘手段。


それで、堅実に攻めていく。


「魔影!! 弍式!!!」


架陰の着物の袴の周りを、魔影が取り囲んだ。


「【魔影脚】!!!」


魔影を纏わせた脚で、地面を蹴り出す。









ドンッ!!!










足裏と床との間で衝撃波が発生して、架陰をロケットのような勢いで跳躍させた。


「!!!」


剣を構えた夜行に、名刀・赫夜を振り下ろす。


ギンッ!!! と劈くような音が響き渡り、夜行の身体が数センチ交代した。


「おおらぁっ!!」


架陰は全力で刀を振り切った。


「くっそっ!!」


夜行は、空中に投げ出された。


直ぐに架陰は床を蹴って追跡した。


「はあっ!!」


空中で刀を一閃。


夜行の右腕が、胴体から切断された。


「っ!?」


「どうだ!!」


腕を切り離された夜行は、慌てる様子もなく、逆にこの状況を楽しんでいるかのようにニンマリと笑った。


「ひひひひひ!! いいねぇ、その目だ!!!」


空中で身を捩り、架陰の右側面に回し蹴りをお見舞する。


「ぐっ!!」


蹴り飛ばされた架陰は、床の上に墜落した。












「さあ、楽しもうぜ!!! オレの命が尽きるまで!! お前の命が尽きるまで!! 何百年、何千年と!!!」











死闘が始まる。











第44話に続く


第44話に続く

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