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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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通りゃんせ その②

不死の存在証明


それは貴方の生首

2


夜行が剣を引き抜いた瞬間、刃に付いた返しが、架陰の腹の肉をえぐり出した。


尋常では無いくらいの血液が腹から吹き出し、夜行の顔を濡らした。


「ひゃはっ!!」


夜行は満面の笑みを浮かべ、架陰を蹴る。


架陰は受身をとることもままならず、硬い床に背中を打ち付けた。


「あああ・・・、ああああああああぁぁぁ・・・、アアアアアアアアアアアアッッ!!! アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


架陰は、腹に宿る激痛の余り、断末魔の叫びをあげた。


傷口からどくどくと血が流れ落ちる。


床の上に、じわじわと広がる。


惨状であった。


架陰の顔から血の気が引いていき、ビクビクと痙攣する。


「アアア、アアア、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


意識が遠のく。


架陰の耳元で、謎の男が叫んだ。









「架陰!! 架陰!! 気を確かに持て!!!」









気を確かに持つことなど出来なかった。


体から血が消えていく。視界が歪む。


自分は、死んでしまう。









「架陰!! 直ぐに【回復薬】を食べるんだ。僕の力を治癒に集中させる!!」









「くっ・・・!!」


架陰は懐に入った桜餅を取り出し、自分の口に運んだ。


死力を尽くし、餅米を噛みちぎる。喉には血液が込み上げていたので、ほぼ、血を飲み込むといった形で、回復薬を体内に摂取した。


身体が再生を開始する。


「まに、合わない・・・」


間に合わない。


傷が深すぎる。










「架陰、ボクが何とかするから、君は夜行の攻撃に備えるんだ!!」










男の声が聞こえたかと思うと、架陰の体表から魔影が浮かび上がった。


魔影は、架陰の腹の傷に纏わりつき、止血をする。


(魔影で、止血を・・・?)


血の流出が止まる。


回復薬が効果を発揮して、気分が幾分か良くなった。


「これなら・・・」


架陰は刀を床に突き立て、よろよろとしながら立ち上がった。


夜行が「ああん?」と首を傾げる。


「てめぇ、よく立ち上がれたな」


「ええ。何とか・・・」


「まあいい」


夜行はニヤッと笑い、剣を肩に掛けた。


「それでこそ、悪魔の能力を受け継いだ男だ。いひひひヒヒヒヒ!!!」


(この人、なんなんだ・・・!?)


一言で言って気持ち悪い。


目はひん剥いて、赤く充血している。笑う度に、肩が小刻みに震え、ボロボロの歯がカタカタと音を立てた。


まるで、生きている人体模型のような印象を抱いた。


「夜行!!」


観客席から、侍の着物に身を包んだ男が叫ぶ。


「殺すなよ。能力を引き出させるのが最優先だ!!」


「分かってますよ。ひひひひひひ!!!」


わかっていない様子だった。


「要するに、能力を引き出させた後に殺せばいいんだろぉ!!」


「っ!!」


夜行は焼けただれた足で、四股を踏んだ。


「ひひひひひひ、さあ、行こうぜ!!」


夜行が床を蹴って、架陰との距離を詰めてくる。


青白い顔をした架陰の頭に、剣を振り下ろした。










ギンッ!!!









架陰は何とか、名刀・赫夜で受け止めた。


だが、直ぐに腹の傷に痛みが走り、よろめく。


「ひゃはっ!!」


夜行は身を捩り、架陰の腹を蹴りつける。


「がはっ!!」


架陰は踏ん張りが効かず、吹き飛んだ。


架陰の脳内で、謎の男が叫ぶ。











「受身を取れ!! 今は魔影の防御力は当てにならない!!」











「くっそ!!」


架陰は何とか体勢を整え、床に手を着いて着地した。


夜行が目の前にいた。


「イヒヒヒヒヒ!!!」


「っ!!」











ギンッ!!!











刃で防いだと同時に吹き飛ばされ、床の上を滑った。


「なんだよ。動きが鈍くなってんな・・・」


「くそ・・・」


やはり、回復薬の回復が間に合っていない。少し動く度に腹に痛みが走る。


「ひひひひひひ」


夜行は【地を這い仰ぎ見る黒狼の脊椎】の鋒を床の上で引きずりながら近づいてくる。


「おい、さっさと【能力】を見せてみろよ。出ないと、オレはてめぇを殺せないんだよ・・・」


「はあはあ・・・、ハアハア・・・」


腹に手をやると、ベッタリと血が付いていた。


夜行はニマッと笑った。開いた口が、糸を引いた唾液を垂らす。


「痛いよなぁ。分かるよ。オレも、何回も何回も、死んでしたからなぁ・・・」


「・・・・・・?」


夜行は剣の刃を自らの首に当てた。


一思いに、柄を引く。


ブジュッ!!と血が吹き出して、夜行の首が、胴体と切り離された。架陰の目の前にゴトッと落ちる。


「ひいっ!?」


架陰は後ずさった。


転がってきた夜行の首で目が合う。


夜行は笑っていた。


「残念。死なねぇんだよな」


「生きている!?」


夜行の身体がフラフラとしながら、夜行の頭を持ち上げる。それを、ヘルメットを被るかのように切断面と繋げた。


傷口が、ぴたっと繋がる。


「ウヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!!。これがオレの特性、【不死】なんだよ!!!」











その③に続く

その③に続く

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