悪魔の堕慧児 その②
背中に残る山羊の蹄
崖より飛び降りし獅子の子供
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「教えといてやる!! 【悪魔の堕慧児】ってのは、【UMAに変化】できる能力を持つもののことを言うんだよ!!」
ガーゴイルに変化した笹倉は、コウモリのような翼を仰ぎ、空中に浮いていた。
「さあ、お前らの大好きなUMAハントの時間だぜ!!」
名刀雷光丸を構える。
柄を握りしめた瞬間、再びその刃に黄金の光が宿った。
「また来る!!」
「構えろ、架陰!!」
また、あの雷撃が来る。
二人は武器を握り、臨戦態勢を整えた。
笹倉は唆るような顔をする。
「いいねぇ!!」
刃にたっぷりと雷撃を蓄積させた瞬間、解放する。
「喰らえ、雷撃!!」
刀から放たれた雷撃は、空中に鋸のような軌道を描いて、二人を襲った。
架陰は体に力を込める。
「今度こそ!!」
魔影を発動させる。
「魔影!!」
出力を抑え、集中力は強め。
何故先程、架陰が魔影を操れなかったのかは知らないが、この一撃を防ぐためには、魔影の力が必要だった。
「弐式!!」
今度は正確に、架陰の赫夜の刃を魔影が取り囲み、漆黒の大剣の化す。
「魔影刀!!」
迫る雷撃を、一閃する。
ドンッ!!
力と力のぶつかり合い。
魔影と雷撃のぶつかり合いで発生した衝撃波が、辺りの草木を吹き飛ばした。
両者無傷。
「へぇ、オレの雷撃を相殺したか・・・」
笹倉はニヤリと笑った。
「いいね。少し【形】は変わっているが、それは王の能力だ・・・」
「王の、能力!?」
架陰の脳裏を、謎の男の姿が掠めた。
架陰の心に住み着いて、架陰に【魔影】の能力を指南した男。
(まさか、あの人と何か、関係があるのか!?)
笹倉は、再び名刀雷光丸にエネルギーを蓄積し始めた。
「さあ、もう一撃だ。今度は倍の力で放つぜ」
「望むところ!!」
架陰も再び魔影を発動させ、【弐式】の【魔影刀】を形作る。
「雷撃!!」
笹倉が刀を振る。
刃から眩い雷撃が放たれた。
「来るっ!!」
架陰がもう一度魔影刀を振るため、振りかぶった。
だが、雷撃は的を外れ、架陰のすぐ隣にあった電柱に命中した。
バチバチッ!!
電柱から電線に電気が走り、付近にあった自動販売機の照明が落ちる。
「どうした、外れてるよ!!」
「これでいいんだよ・・・」
攻撃を外したというのに、笹倉の顔は満足気だった。
「お前の気を、逸らせたからな・・・」
「えっ!?」
その瞬間、架陰は全身が粟立つような感覚に襲われた。
息が詰まり、骨が震える。
これは、殺気だった。
架陰の頭の中で、謎の男が叫ぶ。
「架陰!! 逃げろっ!!」
と。
架陰は気づいていなかった。
【悪魔の堕慧児】は、笹倉だけでは無い。もう一人いたのだと。
もう一人の悪魔の堕慧児は、笹倉が攻撃を外し、彼が油断するのをじっと待っていた。
そして、好機とみなし、路地の影から飛び出したのだ。
「ふっ・・・!」
架陰の視線は笹倉を見ている。つまり、自分には気づいていない。
今なら、何の反撃を受けずに、彼を戦闘不能にすることができる。
もう一人の悪魔の堕慧児は、黒いマントに身を包んでいた。
どんな骨格をしているのか、どんな顔をしているのか、全てその黒布に覆われ、知る由がない。
架陰の背後に回り込み、足蹴を放った。
ギンッ!!
「っ!?」
「てめぇ!!」
鉄平には勘づかれたようだ。
渾身の一撃が、鉄平の鉄棍によって防がれる。
だが、問題はなかった。
もう一人の悪魔の堕慧児は、脚にさらなる力を加えた。
「っ!?」
鉄平の身体が、いとも容易く吹き飛ばされ、ブロック塀に激突した。
「がはっ!!」
「君に、ボクの蹴りは止められないよ」
下半身を捻り、振り向いた架陰の顔面を蹴りつける。
「がっ!!」
架陰は防御する暇もなく、鉄平同様に吹き飛ばされた。
そして、二人とも気を失う。
「よくやった、唐草!!」
笹倉が空中から褒めた。
もう一人の悪魔の堕慧児、いや、唐草と呼ばれた男は、「やめてよ」と言ってマントのフードを取り払った。
整った日本人顔だが、肩まで伸びた髪の毛は灰をまぶしたような色をしている。おっとりとした瞳の持ち主だった。
「ボクは、王様のためにやったんだよ。笹倉くんに褒められる筋合いは無いね」
「てめぇ、偉そうに」
「偉そうに言って何が悪いの? 君とボクとじゃ、実力の違いなんて明白でしょ?」
「よし、表出ろ」
「嫌だよ。もう表だし」
唐草は、白目を剥いて気絶している架陰をらくらくと肩に担いだ。
「さあ、任務完了だ。さっさと本部に戻るよ」
たんたんとことを進めていく唐草に、笹倉は「ちっ!」と舌打ちをした。だからこいつと組むのは嫌だった。
だが、王の命令なら仕方がない。
「行くか」
「ちょっと待って」
唐草は架陰の学ランの内ポケットに手を入れ、何やら探った。
取り出したのは、トランシーバー。
「確か、こいつはGPS内蔵だったね。後を追われても面倒だ」
その場で、トランシーバーを握りつぶした。
「さあ、行こう」
ブロック塀に背をもたれて気絶している鉄平を無視して、二人はどこかへと消えて行ってしまった。
その③に続く
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