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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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第35話 名刀・黒鴉 その②

夜空に奔る閃光を眺める


夜空に浮かぶ星に爪を立てながら

2


「くっ!!」


クロナは背中に走る激痛を堪え、白陀の攻撃を回避した。


ドンッッ!!


地面が粉砕し、砂煙が舞い上がる。


白陀は鋭い眼光でクロナの居場所を把握すると、大顎を開いて襲いかかった。


バクンッ!!


クロナの羽織の端が白陀の口に飲み込まれた。


「あっぶなっ!!」


全身の血液が三度冷えた。


防戦一方のまま、バックステップを踏んで後退する。


白陀が身震いをした。


「来る!!」


白鱗炸裂攻撃。


ドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッ!!!!!!!


鱗が、四方八方に拡散する。


クロナは架陰から借りた名刀・赫夜を高速で振り、白鱗をたたき落としにかかる。


キンッ! キンキンッ!!


弾けたのは数発。


数十発の鱗が、クロナの胸や腹に突き刺さった。


「ぐふっ!!」


血が着物を染め上げる。


クロナが着ている戦闘服だって、柔ではないのだ。特殊繊維で編まれ、並の攻撃なら通さない。


白陀のこの攻撃は、その並を遥かに凌駕しているのだ。


鱗を脱ぎ捨て、黒蛇に変化した大蛇は、シルシルと細い舌を出し入れした後、喉の奥から黒い液体を吐き出した。


「毒液!!」


(体表だけでなく、口からも放てるの!?)


飛び退いたクロナが立っていたところに、黒い毒液が落ちる。


ジュワッ!!と煙を上げ、地面の砂を煙に変えてしまった。


「酸性の毒・・・!」


近づけない。


だが、防御を失った今なら。


「銃弾が通る!!」


クロナは左手に銃を握った。


黒蛇が白陀に変化する前に、引き金を引く。


ドンッッ!!


鉄の弾丸が、黒蛇の柔い腹に命中した。


だが、黒蛇は痛がるような素振りを見せない。


「やっぱり、効いてない・・・!」


鉄の弾丸一発ごときで死ぬわけがなかった。


「連続で撃ち込む!!」


ドンッッ!


ドンッッ!


ドンッッ!


ドンッッ!


ドンッッ!


残りの五発を、一気に発砲する。


「キシャアアアア!!!」


黒蛇が吠えた。


そして、身震いをする。


「くそ、またか!」


一瞬で体表から鱗が生え、黒蛇を覆い尽くす。


白陀へと変化した。


こうなったら、もう攻撃は通じない。


(とりあえず、距離を取りましょう・・・!)


クロナは地面を蹴った。


その瞬間、白陀が胴体を捻じる。


「!?」


その反動を利用して、白陀の尻尾が、半径十メートル以内にある障害物を薙ぎ倒した。


飛び散る木の破片。そして、もろに喰らってしまったクロナ。


ゴキッッ!!


「うっ!」


吹き飛ばされた。


(威力を緩和しないとっ!!)


地面スレスレに吹き飛びながら、地面に刀を突き立て、勢いを弱めた。


「ふっ!」


そのまま、足と手を付き、地面の上を滑る。


顔をあげた瞬間、白陀が目の前に迫っていた。


「しまった!!」


殺られる。


クロナは死を覚悟して、目を閉じた。


「姐さん!!」


白陀がクロナを呑み込む前に、鉄平が鉄棍を投げる。


槍投げの槍のように真っ直ぐに飛んで行った鉄棍は、白陀の右眼球に突き刺さった。


「キシャアアアア!!!」


白陀が顔を仰け反らせる。


「っ!!」


そうか。眼球は柔らかいのか。


「ナイスよ!!」


眼球からなら、攻撃が通る。


そう確信したクロナは、名刀・赫夜を強く握りしめた。


地面を蹴り、白陀に接近する。


そして、左眼球に、刀を突き立てた。


ドスッ!!


「キシャアアアア!!!」


白陀が呻く。


赤黒い血液が吹き出した。


「姐さんナイス!!」


「このまま、脳天ぶち抜いてやるわよ!!」


名刀・赫夜の切れ味は極上だ。


このまま力を込めれば、鋒は、必ず白陀の脳みそを穿つ。


だが、それよりも先に、白陀が【白鱗炸裂攻撃】を発動した。


ドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッドンッッ!!!!!!!


「っ!?」


「くっ!!」


至近距離にいたクロナと、鉄平に、白鱗の雨が炸裂する。


二人は、全身から血を吹き出させながら、吹き飛んだ。


「く・・・、そ・・・」


クロナの体は、すぐ近くの木の幹に激突し、止まった。


ずるりと、地面に倒れ込む。


霞む目で見れば、鉄平も白目を剥いて倒れていた。


(気が流行った・・・)


判断を誤った。


あの時、確実に仕留めようとしてしまった。


あの時は、銃で狙撃するべきだった。


後悔したところで、もう遅い。


黒蛇は「シュルルルル・・・」と満足気に鳴くと、気絶している鉄平に近づいた。まず、彼から喰らうつもりだった。


「さ、せる、か・・・」


クロナは立ち上がる。


白鱗が膝関節に突き刺さっていて、よろめく。


「鉄平は、架陰の、友達だから・・・」


銃を構え、銃口を黒蛇に向けた。肩にも白鱗が突き刺さり、腕を上げれば、肉を抉った。


「死なせる、訳には、いかないのよ・・・」


視界が歪む。


一発で決めろ。


狙うのは、黒蛇の眼球だ。


「お兄ちゃん・・・」


ハンマーを引き、弾を装填した。


「私に、力を、貸してよ・・・」










引き金を、引いた。










その③に続く



その③に続く

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