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カオル達が去った暗闇の中、空間が揺らぎ二つの影が現れる。
突如現れた乱入者を警戒する様に、二つの影は周囲を見回す。
「奴らは行ったか?」
「行った見たい……はぁ」
影は落ち込む様に肩を落とす。
「私のお人形さんが……あれだけ準備するのにどれだけ掛かったと思ってるの?」
「仕方がない。今回は運が悪かったと思おう」
落ち込む影を見て、もう一つの影は肩を竦める。
予定を大きく狂わされた二つの影はその場に座り込み、途方に暮れていた。
「どれだけ規格外なんだよ『アイツ』は」
「神官の坊やだけなら、何とかなったのにね」
「全くだ。……取り敢えず、僕らも動き出そう。これ以上、時間を掛けると怪しまれる」
男と思しき影は立ち上がり、もう一つの影に手を差し伸べる。
「そうね、そろそろ暖かいベッドで眠りたいもの」
もう一つの影がそう述べると再び空間が揺らぎ、2つの影は消えてなくなった。
…………。
そして暗闇に再び静寂が訪れた。




