プロローグ
気が付いた私は、暗闇の中に横たわっていた。
ああ、死んでもたんか……
頭に過ったのは、最後に見た光景だ。
私は街で暴れまわり、冒険者に抑え込まれ巨大な火の玉の魔法を喰らった。
「地獄……行きかぁ……」
サンディスの言葉を思い出し、私はポツリと呟いた。
そして最後の最後まで爽やかな美男子だった彼の身を案じた。
そんなことを考えながら私は立ち上がろうと腕を動かした。
「ん? 何やこれ?」
何かに固定され、背中から腕が動かせない。
更に言えば、両足も同じように固定されており、歩くどころか動かす事すらままならない。
「おいコラッ! どないなってんねんッ!」
私は取り敢えず暗闇の中、大声で叫んだ。
すると、次第に辺りが薄暗く照らされ、暗闇でわからなかった周囲の状況がわかるようになった。
どうやら私が横たわっていたのは、四方を石壁で覆われた真っ暗な部屋だった。
そこに窓はなく、唯一私の目の前に鉄製の扉があり、灯りはそこから漏れてきていた。
「うるさいぞ! 静かにしていろ」
扉の向こうで何者かがそう述べると、徐々に灯りは遠ざかり再び辺りを暗闇が支配した。




