当事者、やる気なし?
住民の避難が完了したのが、避難勧告が発令されてから6時間程経った昼過ぎの事だった。
これだけ避難に時間が掛かったにもかかわらず、住民の中に魔物の襲撃による負傷者はいなかった事は幸いだったと言えよう。
これが本当に魔物の襲撃、ならばの話だが……。
『それではこれより、鬼討伐作戦を開始するッ!』
「「「おーーッ!」」」
件の鬼を討伐する為に4パーティーが結集した。
剣聖ダルベルトさんがリーダーを務める『白竜団』。
双子の兄妹、玄と翠の最年少パーティー『玄翠』。
ソロ冒険者で唯一討伐隊に参加しているAランク冒険者の『タイラー』さん。
そして僕が率いる『聖なる盾』の仲間達。
合計13人の冒険者が今回の任務に集められ、僕はそのリーダーに抜擢されたのだ。
「リーダー、まだ街の人が残ってるみたいだよ?」
対象を索敵しながら街を歩いていると、聖なる盾のハナが誰かを見つけたようだった。
彼女は『千里眼』のスキルを持っており、こういった索敵や探索の際は頼りになる存在だ。
「住民の避難は完了している筈だが……」
「私、先に行って、保護してくるねッ♪」
逃げ遅れたにせよ、あれだけ大々的に避難勧告が出されていて、街に残る人が果たしているだろうか?
「……ッ! 待て、ハナッ!」
僕は慌ててハナを追いかけた。
他のメンバーも僕の様子を察し、ついて来る。
***
僕らが到着した時には、広場で眠る町娘をハナが肩を揺すって起こしているところだった。
「ハナッ! その子から離れるんだッ!」
「え?」
僕の言葉にハナは首を傾げ固まっている。
「ふぁ〜あ。やっと来たんか」
町娘は目を醒ますと、大きな欠伸と共にその独特な訛りのある喋り方で僕らの方を眺めていた。
僕の指示で、全員が戦闘態勢になっている事に気が付いたハナは、慌てて彼女から距離を取る。
「待ちくたびれて、寝てもうたやんけ」
再び、欠伸をしながら立ち上がる彼女を見つめながらハナは僕に尋ねた。
「あの子は何なんですかッ?」
「彼女が、今回の『討伐対象』だ」
僕の言葉にハナは目を見開いて、彼女を凝視していた。
【討伐隊メンバー】
【聖なる盾】Bランクパーティー
サンディス :男 24歳 騎士
ヴィンセント:男 27歳 盗賊
エリーゼ :女 19歳 剣士
マルカルロ :男 42歳 神官
ハナ :女 15歳 弓使い
【白竜団】Bランクパーティー
ダルベルト:男 37歳 剣聖
リードルフ:男 35歳 剣士
アルマルク:男 21歳 弓使い
ダミア :女 32歳 魔法使い
セルヴィア:女 25歳 巫女
【ソロ冒険者】Aランク冒険者
タイラー:男 31歳 侍
【玄翠】Bランクパーティー
玄:男 13歳 魔法剣士
翠:女 13歳 魔法使い




