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脳筋乙女の異世界花道  作者: 藤沢正文
第4章 避難勧告発令、激戦バーウィッチ! 〜己が力は我が為に〜(前編)
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…………、事情を聞く。



 酒場に担ぎ込んだ、ヤヌックは従業員(おばちゃん)に応急手当をして貰っていた。


 身体中、痣や腫れが酷かったが、大事には至らなかった様だ。



「誰にやられてん?」


「ヘヘヘ。大丈夫ッスよー」



 さっきまで死にそうな声を出していたヤヌック(アホ)は、ヘラヘラと笑いながら喋っている。



「だから、誰にやられたんやって」


「本当、大した事ないんで。姐さんも気に……」



 私はヤヌック(アホ)胸倉(むなぐら)を掴み、もう一度言った。



「誰にやられてん?」



 すると、ヤヌックは私から視線を逸らし、口を噤んだ。


 私はそのままヤヌック(アホ)を壁に()つけて、もう一度訊ねた。



「オラ、誰にやられたか聞いてんねん、ボケ。答えろ」


「……ッ。言いません」



 私はそのままヤヌック(ボケ)を床に叩きつけた。



「カオルちゃん、ダメッ! 坊ちゃんが死んじゃうッ」


「おばちゃんは黙っててッ!」



 止めに入ろうとした従業員(おばちゃん)を睨み、私は(うずくま)ヤヌック(ボケ)の髪の毛を引っ張る。



「おい。質問に答えろ」


「し、死んでも、言いません」



 私はそのまま、顔を床に打ち付ける。



「なぁ、誰にやられたんや?」



 ヤヌック(ボケ)は涙と鼻水を垂れ流しながら、必死に首を横に振っていた。



「だ、だめ……てず」


「あ?」


「いっだら……姐さんが……」


(うち)がなんや?」



 そこまで言うと。


 ヤヌックは、それ以上何も言わなくなってしまった。



「……チッ」


「はぁ、はぁ……か、カオルちゃんッ!」



 私がヤヌック(ボケ)をどうしようか考えている最中に、息を切らしたルクレオが店にやって来た。



「何やねんッ」


「こ、これ! ヴィエンヌ商会から警告文がッ!」



 その名前を聞いた直後、ヤヌック(ボケ)が一瞬だけ反応したのを私は見逃さなかった。



「おい、ルクレオ。ヴィエンヌ商会(それ)、どこにあんねん?」




 ***




 私はアイテムボックスから新しい相棒(金属バット)を取り出す。



 ……ガラ、……ガラガラガラ。


 ……ガラガラ、……ガラ……。



『………ッ!!』



 後ろから、ヤヌック(アホ)が何か叫んでいる。


 しかし、私の頭の中には相棒の笑う声だけが響いていた。




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